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妖子の剣士  作者: ゆゆ
7/27

終了と結果

お正月前からかなり忙しくかなり期間があいてしまいすいません!!

急いで書いたので誤字があるかもしれませんが大目に見てやってください笑笑

ー焔・薫組ー


「右ッ!左ッ!また右ッ!」


「くっ!本当に数が多いわね。」


薫が焔の指示通りに特大蜘蛛を凍らせ、焔が次々とどめをさしていく。

互いが互いを援護しあい、初めて組んだとは思えないほどのコンビネーションで特大蜘蛛を薙ぎ払っていく。

しかし、数が多くなかなか減らない。


「焔くん!このままじゃキリがない!一旦離脱しましょう。」


「分かった!あの木の上に逃げよう!」


焔たちは特大蜘蛛の群れを抜け、いっそう大きな木の枝に飛び乗った。

ちなみに、二人がいとも簡単に木の枝に飛び乗れたのは、「纏い」によって足を強化したからである。


「はーはー、思ったより数が 多いな。」

「薫!まだ闘気もちそうか?」


「ええ、なんとか…」


闘気の能力もずっと継続して使うことはできない。

闘気は精神力や体力などにも作用するため、人が永遠に走り続けることが出来ないように闘気も使い続けることが出来ないのだ。


「でも、このままだとジリ貧なのも確かね…」


「どうすりゃあいい…、う〜ん。」


こうしている間にも、特大蜘蛛の群れは木に登ってきそうな勢いだ。


「あ!薫、俺いい方法思いついたかも!」


「なに?」


「まず俺が囮になってアイツらを一箇所に集める。んで、そこに薫の闘気で一気に全滅!どうだ?」


「焔くんの危険が大きすぎるわ。それに、もし一箇所に集められたとして焔くんはどうやって私の技から逃れるつもり?」


「心配すんな!どうにかうまくやるよ。」

「背中預け合ってた仲だろ?ここは俺に免じて、な?」


俺に任せとけ!とでも言うような自信満々の笑顔である。


「私、この短時間でそこまで焔くんのこと信頼してないんだけど。」


「やっぱ辛辣ッ!」


「でも、やってみる価値はあるわね。焔くんの実力は少しは私も認めてるし…」


「本当か!」


「怪我しても責任取らないから。」


「おう!怪我なんてしねーよ!」


「その自信はどこから来るのかしら…」


薫は呆れた顔で焔を見ながら言った。


「じゃあ、合図したらすぐに発動できるよう準備しといてくれ!」


「任せて。」


「よし、行ってくる!」


そう言うと焔は、木から飛び降り一回転して蜘蛛の群れの後方に着地すると、大声を出して特大蜘蛛の注意をひき始めた。


「おい!雑魚虫ども!お前らの相手は俺だろが!悔しかったらこっち来てみろ、バーカ!」


狙い通り特大蜘蛛の群れが、焔を追いかけ始める。


「ほれ、こっちだ!」


焔は蜘蛛たちの攻撃をうまく避けながら攻撃しやすい開けた場所まで誘導する。


「よし、この辺かな。」


焔は急に立ち止まり、すぐさま蜘蛛たちに囲まれる。

蜘蛛たちはギギギギッと嫌な音を立てて焔を睨む。


「いいぞ!薫!」


「うまく避けなさいよ!焔くん!」


薫は練っていた闘気を一気に解放する。


「氷槍・氷柱(つらら)ッ!」


すると、蜘蛛たちを囲むように先端の尖った氷の塊が空中に大量に創造され、蜘蛛に向かって発射された。

森全体が揺れるような衝撃と共に大量の土煙が上がる。

あまりの土煙に中の様子が見えないほどである。


「どうなったの?」


薫は木の枝から目を凝らして見る。

すると、だんだんと土煙が薄まり一つの影があらわれた。


「焔くん!」


そこには、倒れた特大蜘蛛に囲まれた焔の姿があった。


「なっ!うまくいったろ?」


焔は笑いながら自慢げに薫を見上げる。


「ええ、そうね。」


そう言って薫は、木から飛び降りる。


「最初はただのアホかと思ったけど、今のはなかなかいい作戦だったわよ?」


「だろ?てか、そんな顔もできんだな!」


「へ?」


「いや、仏頂面より笑ってる方がいいんじゃねぇかなっと思ってさ。せっかく可愛いんだしさ!」


「…なんかキモいわよ?」


「なっ!褒めたつもりだったのに…」


「ぷっ!ふふふふふ!」


「なに笑ってんだよ!」


「だって、ふふふふふ!」


「ちょと笑いすぎだって!」


薄暗い森に二人の笑いが響く。


「!、そういやアイツは!」


「?、ああ、ぐるぐる巻きだった彼はさっき治療藩の人たちに回収されたわよ。」


「やっぱ、死にかけるまで助けてくれねぇんだ…。」

「入隊試験怖ぇー。」


こうして二人は試験最大の危機を乗り切った。








ー志乃・大地組ー


「はぁあ!」


志乃は特大蜘蛛の群れの中を舞う。

華麗に舞うことで炎を纏い、次々と特大蜘蛛を倒していく。

群れを相手に一人で戦っているのだ、かなり無茶をしている。それでも未だに志乃に致命傷がないのは、大地の能力によってほぼ完璧に特大蜘蛛の攻撃を防いでいるからである。


「土壁っ!」


志乃と特大蜘蛛との間に土の壁を作ることで蜘蛛たちの攻撃をうまく防いでいる。


「大地くんナイス!」


志乃はかなり疲労しているはずだが、それを悟らせない笑顔で大地に声をかける。


「志乃ちゃん、全力でガードするからあと少し頑張って!」


「了解!」


そう答えると、志乃は最後のスパートをかける。


「炎の舞・乱舞ッ!」


志乃の舞は、より激しくより情熱的になり、火力の数段上がった炎が残り全ての特大蜘蛛を焼き尽くした。


「やった!」


「ふー、大地くーん!終わったよー!」


志乃は、刀を鞘に納め晴れやかな笑顔を大地に向ける。


「さすが、志乃ちゃん!」

(天使…!?)


「大地くんのおかげだよー!」


そう言って、大地に向かって歩き出そうとする。

その刹那、大地は志乃の背後に突然現れた特大蜘蛛の姿を目で捉えた。


「!、志乃ちゃん!!」


「へ?」


バシッ!!


志乃は何もわからないまま突然何かに弾き飛ばされた。

そしてそのまま太い木にぶつかり、地面に叩きつけられた。


「ううっ…」


志乃は思わずうめき声をあげた。

纏いで体を覆っていたとは言え、かなりの衝撃である。


「志乃ちゃん!!」

「アイツどっから現れた!?」


ステルス機能によって突然現れたかに見えた特大蜘蛛は、その長く太い脚を志乃に向かって振り抜いたのだ。


「アイツ、群れのボスか…!」


大きさなどは他と変わりないが、明らかに漂う空気が違う。


「ずっと隠れてたのか!」


どうやら群れのボスは、志乃たちの戦闘中ずっとステルスで隠れ隙を伺い、攻撃を仕掛けてきたようだ。


「卑怯な奴…」


「ギギギギ!」


大地がボス蜘蛛を睨みつけると、ボス蜘蛛は威嚇するように嫌な音を出したがすぐに体を反転させ、未だ地面にうずくまっている志乃に向き直った。


「アイツまさか、志乃ちゃんを襲う気か!?」


大地の予想通り、ボス蜘蛛は志乃を標的にして素早い動きで接近する。


「まずい!」

(土壁!いや、それじゃ一時しのぎにしかならない。

志乃ちゃんが回復する時間を稼がないと!)


大地は、ボス蜘蛛を全速力で追いかけ始める。

纏いで自身の速度を強化するが、それでもボス蜘蛛の方が早く志乃に到達しそうである。


「くそ!間に合わない!」

(何か考えろ!どうすればアイツに追いつける!?」


そうこうしている間に、ボス蜘蛛はとうとう志乃に到達してしまった。


「に、逃げなきゃ…」


志乃はどうにかボス蜘蛛から離れようとするが、思うように体が動かない。

ボス蜘蛛はそんな志乃に容赦なく脚を振り上げる。

完全に息の根を止めるつもりである。


「志乃ちゃぁん!!!」


ガキン!!!!








志乃は自分がもう逃げられないと思い、目を瞑ってそのうち自分を貫くであろう激しい痛みを待っていた。

しかし、どうにもまだその痛みが自分を貫く様子がない。

ボス蜘蛛はもう目の前で脚を振り上げていたはずで、時間でも止まっていない限りまだ攻撃されていないはずがないのだ。

もしかして、もう自分は死んでしまったのだろうか…

そんなことを考えたりもした。

いやいや、そんなはずはない。そう思い直し、志乃は恐る恐る閉じていた目を開ける。


(一体、何が起こったの?)


すると、そこには刀でボス蜘蛛の脚を防ぎ耐えている大地の姿があった。


「大地…くん?」


「良かった、なんとか間に合ったよ。」


大地はそう言ってニコリと笑った。

しかし、大地はかなり離れていてボス蜘蛛が志乃に到達した時点で間に合っていなかったはずである。

一体どのようにして追いついたのか。

その答えは簡単だ。闘気を使った、ただそれだけである。


〜数分前〜


「志乃ちゃぁん!!!」


ボス蜘蛛が志乃に到達し脚を振り上げたその刹那、大地はあることを閃き、瞬時に行動に移した。


「間に合え!」


大地は、手を地面について能力を発動する。

すると、ボス蜘蛛は一歩も動いていないのに不自然に後方に動き、志乃から少し遠のいた。

大地の能力でボス蜘蛛が立っている地面ごと後ろにずらしたのだ。その証拠に志乃の目の前の地面にズレた分だけ溝ができていた。

だが、これだけでは単なる時間稼ぎにしかならない。

そこで大地は、またもや能力を発動する。


(これで間に合えッ!)


すると、大地の足下の地面が大地を囲むようにヒビが入り、大地を乗せて盛りあがりボス蜘蛛めがけて伸びはじめた。地面というのは何層もの地層からできており、くり抜いて棒状にするとかなりの長さになるのだ。

そして、ある程度接近することに成功した大地は足場から飛び、なんとかボス蜘蛛の攻撃を防ぐことに成功したのだった。


〜現在〜


「志乃ちゃん、下がって!」


大地はボス蜘蛛の脚を払いのけると志乃に叫んだ。


「う、うん、ごめん!」


大地は、志乃が下がったの確認すると刀を構えてボス蜘蛛と対峙した。

志乃の支援が受けられない今、この近距離で一人でボス蜘蛛を相手にしなければならない。


「近距離が苦手なんか言ってられないな…」


「ギギギッ!」


ボス蜘蛛はやる気満々で、逃してくれそうもない。


(大丈夫、さっきみたいに闘気を応用すれば…)


「ギギギ、ギャー!」


(来るッ!)


大地は、素早く地面に手をつくと能力を発動する。


(まともにやりやって勝てる相手じゃない。常に動き続けろ!)


先程と同じように地面を隆起させ、いくつもの足場を創り出す。

ボス蜘蛛を翻弄させるため攻撃を防ぎつつ、足場に飛び移っては創りを繰り返す。

大地の刀とボス蜘蛛の脚とが交差し、いくつもの火花が散る。

しかし、攻撃を防ぐのに精一杯でとても攻撃にうつれそうにない。


(くそ!やっぱ近距離じゃ厳しいか…、このままじゃ俺の体力が尽きて終わりだぞ!)


現に体力はかなり消耗しており、闘気も使い続けているため状況はかなり悪い。


「ギギギッ」

シュパッ!


そんな思案をしていると、ボス蜘蛛がいきなり粘着質の糸を大地めがけて吐き出した。


「ッ!しまった!」


思案にふけっていた大地は一瞬反応が遅れてしまった。


「避けきれねッ!ぐあ!」


避け損なった大地は、空中で足を糸に捕らわれ地面に落下してしまった。


「うっ!」


地面に叩きつけられ転がった後、粘着質の糸が地面にくっつき動けなくなってしまった。

そこにトドメを刺そうとボス蜘蛛が接近する。


「く、くそ!動けねえ…」


刀を使えばすぐに脱出できるのだが、追い詰められて動揺してしまった大地はその考えに至らない。

そんな大地にボス蜘蛛は容赦なく襲いかかる。


「ギギギッ!」


「くっ!」


「させないッ!」

「はぁあ!」


その瞬間、間一髪飛び込んで来た志乃がボス蜘蛛の脚を弾き飛ばす。

反動でボス蜘蛛は態勢を崩し、大きな隙を見せた。

その隙を見逃す志乃ではない。


「大地くん!早く糸を切って闘気を練って!」


「わ、わかった!」


志乃は素早く大地に指示を出すと、ボス蜘蛛の無力化のための行動に移る。


「炎の舞・乱舞ッ!」


「ギギャッ!」


志乃は流れるような動きでボス蜘蛛の全て脚を切り落とした。


「大地くん!お願い!」


「おう!」

「岩砕き・突ッ!」


すると、ボス蜘蛛の下の地面が盛りあがり槍のようなその鋭い先端でボス蜘蛛を貫いた。


「ギ…ギギ」


生き絶えたボス蜘蛛は黒い霧のようになって消えた。


「はぁ〜、勝った〜。」


志乃は緊張が解けたようにその場に座り込んだ。


「ごめん志乃ちゃん、助かった…」


大地も思わず座り込んで言った。


「私も助けてもらったしお互い様だよ!」


志乃は笑顔で答える。


「ありがとう…」

(あれ?天使!?)


「あっ!大地くん、あれ見て!あれ!」


「ん?」


志乃が指さす方に顔を向けると、試験終了を知らせる狼煙が上がっていた。

すると、どこからともなく森全体に聞こえているであろう声が聞こえて来た。


「志願者の皆さん、今をもって陽滅隊入隊試験を終了します。結果を発表するので、狼煙に向かってまっすぐ進み森を抜けてください。全員が集まり次第、結果を発表します。」


試験官を務めていた清水琥太郎の声のようだ。


「やっと終わった〜!やったね大地くん!」


「え?ああ、本当だね!くたびれたよー。」

(あれ?聖女!?)


「ほら大地くん、行こ?やっと帰れるよ!」


「う、うん!行こう!」

(あれ?女神!?)


(…なんでさっきから私の顔見ながらボーっとしてるんだろう?やっぱ変な人だ…)


こうして志乃と大地も危機を乗り越え、試験が終了したのだった。







ー試験場横広場ー


清水琥太郎がモニターを使って試験を監視していたテントの横には、試験を終えた志願者達が次々と森から帰ってきていた。

その中には、焔、志乃、薫、大地、の姿も。


「おーい、志乃ー!」


「焔!良かった焔も無事だったんだ?」


「ったりまえだろ?余裕だっての!」


「本当かな〜?」


「本当だって!」

「…ま、とりあえず志乃が無事で良かったよ。」


「なっ!う、うるさい!」


「なんで!?てか、なんか赤くね?熱か?」


「あ、赤くないし!こっち見んな!」


「ひっでーな、心配してるだけだろ?」


「余計なお世話です!!」


そんな会話をしていると、志乃はあることに気づいた。


「!、そういえばなんか帰ってきてる人明らかに少なくない?」


「ん?まあ、確かに言われてみればそんな気もするな…」


志乃の言う通り、何十人も居たはずの志願者達が今や十数人ほどになっている。

その事実は、この陽滅隊入隊試験がどれほど過酷だったかということを物語っていた。

そうこうしているうちに、試験官の清水琥太郎が志願者達を集合させた。


「さて、どうやら生き残った者はこれで全員のようだね。」

「まずは、ここまで残った君達に敬意を表そう。よくこの過酷な試験を乗り越えた。」


琥太郎が話し始めると、志願者達は顔を引き締め真剣に琥太郎の話に耳を傾けた。


「ま、前置きはこれくらいにして勿体ぶっても仕方ないから君達が一番気になっているものを発表しようと思う。」

「ではこれから、陽滅隊入隊試験合格者を発表する。」


志願者全員に最高潮の緊張が走る。

固唾を飲んで発表を待つ者、神に祈る者、合格を信じて疑わない者、緊張に震える者など、それぞれがそれぞれの想いを胸に琥太郎の発表を待った。

そして、遂に琥太郎の口から合格者が発表される。

果たして結果はー、





「全員合格!」


「へ?」


誰かが思わず驚きの声を上げた。




ええええええええええーーーーーーーーー!!!!

遂に試験編が終わりました(祝)

これからどうなるのか楽しみですね!!楽しみですよね?楽しみにしてください!!!

評価、感想をいただけると作者のモチベーションが上がります。

よろしくおねがいします!!

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