幕間 集い
人里離れた誰も知らない場所。
その薄暗い部屋には畳が敷いてあり、いくつかの脇息(肘掛け)が置いてあるだけの味気のない空間だ。
空席が目立つその部屋の上座には、背中の辺りまであろうかという長髪の美丈夫が肘をついて座っている。
男の眼前には、両側にこれまた同じように脇息に肘をかけ座っている人影が内側を向いて並んでいる。
そして、男の隣には白い着物に青い帯をしめ、人間離れした美しさの女性が控えている。
「ぬらりひょん様、皆さまお集まりになりました。」
白い着物の女性は涼やかな声でそう言い、長髪の男に向かって頭を下げる。
「ちょっと待て。これのどこが集まってるって言うんだ?雪女!」
すると、ぬらりひょんと呼ばれた男の向かって右側に座っていた男がそれを遮るように声をあげた。
「この場にいない方々には、欠席の言を頂いております。」
女性は眉をピクリと動かした後、何事も無かったようにすまし顔に戻るとそう答えた。
「奴らが来ないのはいつものことだろう。気にすることでもない。それより本題を話してもらおうか。」
今度は向かって左側に座っていた男がそう言うと、本題に入るように促した。
「実は、今日お集まり頂いたのは皆さまのお耳に入れておきたい情報がございまして…。よろしいでしょうか?ぬらりひょん様。」
皆の注目がぬらりひょんに集まり、その場にビリビリとした緊張が張りつめる。
「これは白姫、お主が設けた集いじゃ。許可する、つつがなく進めるのじゃ。」
「・・・・・・・・・・。」
白姫と呼ばれた白い着物の女性は、驚いたように目を見開き固まっている。
「なんじゃ?わしは何かおかしなことを言ったか?」
「い、いえ。その…、無理に話し方を翁に寄せる必要はないかと…。」
「・・・・・・・・・・。」
その場の緊張が最高潮に達する。
「ゴ、ゴホンッ。これは白姫、お前が設けた集いだ。許可する。つつがなく進めよ…。」
「は、はい。では、そのように…。」(言いなおした…。)
白姫は、再度姿勢を正すと本題を話し始めた。
「では、簡潔に結論から…。九尾の妖気を持つ者が現れたとの報告が入りました。」
「何!?」
白姫の言葉に誰かが驚きの声をあげ、幾人かが驚きの表情を浮かべていた。
「九尾の妖気を持つ者…。含みのある言い方だな?」
「ええ、さすがはぬらりひょん様。確認されたのは九尾の狐ではなく、九尾の妖気を持った人間の子供です。」
「人間の子供だと…?」
「はい。その詳細は不明。現在は、陽滅隊に属しているようです。」
「ほぉう…。くっくっくっ!しかし、そうかやはりヤツは完全には死んでいなかったか…。」
ぬらりひょんは少し考えた後、愉快そうに笑って言った。
「九尾の狐の方の行方は未だに不明です。いかが致しますか?」
「どのようにしたかは知らんが、ヤツがその子供に関わっていることは確実だろう、捕らえて情報を引き出せ。知らぬなら、妖力と魂を抜いて殺してしまえばいい。」
「はっ。かしこまりました。」
ぬらりひょんの言葉に、白姫は深く頭を下げる。
「それともう一つご報告があります。新たな霊脈をまた一つ発見致しました。」
「良くやった。霊脈の確保には砕岳が向かえ。」
「御意。」
砕岳と呼ばれたゴツゴツとした男は、ぬらりひょんの呼びかけにまるでロボットのような声で応えた。
「私からの報告は以上です。他に何もなければここで終わらせて頂きますが…。」
白姫は他の参加者の様子を伺うが、何か意見のありそうな者はいないようだ。
「では、以上とさせていただきます。」
白姫がもう一度深くお辞儀をすると、ぬらりひょんが姿勢を正して座り直す。
「百鬼夜行は必ずこの国を墜とす。貴様らの活躍を期待しているぞ。」
はっ!!!!
ぬらりひょんの言葉にその場にいる全員が頭を下げ、百鬼夜行の集いは人知れず幕を閉じた。
アニメ・マンガあるある、敵組織の集会の雰囲気….。
今回は、お茶濁しならぬ筆濁し的な短いお話でした!
これから物語が進む上で百鬼夜行はそのメンバー含めバンバン出てきますのでお楽しみに〜
百鬼夜行出てくるの楽しみ!という方は評価・コメント等していただけると嬉しいです!!!




