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第5話 城塞都市アレン

「はぁ…はぁ…はぁ…」


 彼女は走り続ける。足はすでに悲鳴をあげ、心臓ははち切れんばかりに鳴っている。


 ここは城塞都市“アレン”のスラム街。スラム街は迷路のように入り組んでおり迷子になりやすいがここに長く住んでいる彼女にとっては迷子になる可能性はほぼない。


「はぁ、ここを曲れば…」


 この曲がり角を曲って少し行けば大通りに出る。大通りはスラム街と町の境目で人が多いためここで人混みに紛れようと思いついたのだ。


 そして曲がり角を曲る。そこにあったのは大通りへ続く道ではなく行き止まりだった。


「…そんな。行き止まり?」

「へっへっへ。ようやく追い詰めたぜシエラちゃん」


 彼女こと“シエラ”は地上げ屋に追われていた。


 スラム街の人々は貧しい者が多いため、業者から金を借りる者も少なくない。だがその業者はほとんどが悪徳で、その借りた金には高い金利がかけられていることが多く、たとえ少ない金額を借りてもその高い金利ですぐに支払えないレベルの借金になるという仕組みだ。


 そして返せないほどの借金が生まれたことで地上げ屋が回収に出向く。少しでも一定の期間で返せる人は様子見でしばらく放置しておき、完全に返せない輩は捕まえてそのまま奴隷行きになるという訳だ。

 

 そしてそれはシエラにとっても同じだった。


 シエラの家庭は特別裕福だったわけじゃないし、スラム街でも下から数えた方が速い程貧乏だった。父親は1年前の戦争で亡くなったし、母親は病気にかかり寝たきりの生活になってしまった。


 最初の借金は母親を救うためだった。その病気に効く薬はとても高いためついに業者にお金を借りてしまったのだ。お金を借りたことで薬は買えたが、スラム街は衛生環境が悪いため薬を使ってもたいして良くならずにそのまま母親は亡くなってしまった。そしてその時の借金が少しづつ増え続けて今シエラは地上げ屋に追われている。


 シエラはスラム街で生まれスラム街で育ってきた。父親は生まれてからほとんど見たことがなかったがかっこいい装備をしていたことから父親は冒険者だとすぐに分かった。母親は父親に関して何も言わず2人でひっそりと生きてきた。そんな彼女がいくら迷子になりやすいスラム街だからといって道を間違えるはずがない。実際道を間違えてはいなかった。


「シエラちゃんはここの事をよーく知ってるんでな。ちと魔法を使わせてもらったぜ」


 そう。地上げ屋は土魔法を使って大通りへの通路をふさいだのだ。


「シエラちゃんはかわいいからな。奴隷にすれば高く売れるぜ」

「いや…やめて…。誰か!誰か助けて!」


 シエラの悲痛な叫び声はスラム街の住人にも聞こえただろう。だが誰も助けないのは自分達の生活で手一杯なのが理由の一つだが、それよりもこの地上げ屋たちが元Bランク冒険者だということにある。地上げ屋は元冒険者のものが多いがその中でもこの地上げ屋たちは強い方だった。


「叫んで助けを呼んだところでここらには俺らに勝てる奴なんていねぇよ。さて、おとなしく捕まってもらおうか」


 地上げ屋たちがじりじりとシエラに詰め寄る。シエラは逃げられないだろう。このまま捕まり死ぬまで奴隷として働かされるだろう。シエラ自身も覚悟を決めていた。スラム街に生まれた以上いつかは奴隷になる日がくるのだ。そう思っていた。


 ――彼と出会うまでは…


「大の大人が寄ってたかって少女をいじめるとは…情けないな」


 だが彼はそんな状況を良しとはしなかった。元Bランク冒険者を前に余裕な態度ができる者など限られているだろう。それも地上げ屋を簡単に敵に回せるような人はこの広い世界を見ても彼ぐらいだろう。ソーマだ。



~時は1日前に遡る~


「ここが城塞都市アレンか。でかいな」

「うむ。我も初めて来たがなかなか立派な壁じゃな」

「ここは治安もそこそこいいんですよ。あと、ご飯がおいしいです!」


 城塞都市アレン。ここは魔王城から一番近い場所にあるため町の周囲は4mほどの壁に覆われている。それが城塞都市の名前の由来でもある。魔王城から一番近いといっても軽く200kmは離れている。城があるわけでもないのに城塞と呼ばれているのはよくわからないがその辺は気にしなくてもいいだろう。


 俺の前世の感覚だと200㎞は遠く感じるのだが、ここでは普通にそれぐらいの距離だと長い時間をかけて馬車などで移動するらしい。


 俺たちはシェンの竜化で一気に飛んできた。これで魔王城とアレンならいつでも一回行ったことがあるところであれば何回でも行ける便利な転移魔法〈ワープ〉で行けるようになった。


 俺はふと気になったことを亜人化しているシェンに問いかける。


「あのさシェン。前々から思ってたけど亜人化してもなんで尻尾生えないの?」

「ん?竜人族は角はあるが尻尾はないぞ。まぁ、生やせんこともないがそうすると新種の魔物と認識されるか、怪しまれるかだろうが…マスターは尻尾があった方がいいのか?」

「いや、ならいいんだ」


 知らなかった。竜人族っていうからてっきり尻尾あるもんだと思ってた。やっぱり本物の異世界ってラノベと違うな。ラノベを元に変な憶測をたてると怪しまれるな。気を付けよう。


「ソーマさん。見てないで早く入りましょうよ!ちゃちゃっとやることやって宿でゴロゴロしたいです」

「ゴロゴロする時間はないと思うが、こんなところで道草食ってないで入るか」

「マスター。宿へはどれくらい滞在するつもりなんじゃ?」

「そうだな…冒険者ギルドへの入団手続きとかしなきゃいけないしそれに、アレンの事も詳しく知りたいからとりあえず1か月ぐらいかな?」

「なるほど。了解した」


 俺たちは東にある冒険区の門からアレンに入る。 


 アレンには円形の城砦にケーキのように3つの区に分かれている。南東側にあり、冒険者ギルドなどたくさんのギルドがある冒険区。南西側にあり、武具やアイテム、衣服に装飾などありとあらゆる物が集まっている商店区。北側にあり、宿泊施設や一部に貴族の家などが固まっている宿場区だ。それぞれの区に1つずつ外へと通じる門と区と区を分ける壁にある区間を出入りするために門の2種類設置されている、とミラから聞いた。


 冒険区の門は冒険者などが入りやすくするために身分が低くてもどんな種族でも荷物検査ぐらいで通り抜けられるため指輪に全部の持ち物を入れている俺たちは何の問題もなく通り抜けられた。


 門を通り抜けた俺が見たものはとても大きな建物だった。


「でっけー!なんだこの建物!?」

「これが魔大陸の冒険者ギルド本部ですよ!」


 冒険者ギルド。それはこの世界に無数にあるギルドの中でも一番規模の大きいギルド。どこの場所にも大抵は冒険者ギルドの支部が置かれており、多いところでは1日あたりに数百件もの依頼が殺到することもある。そんな支部をまとめるのがここ冒険者ギルドアレン本部である。本部はここと聖大陸にもう1つある。


 冒険者が命を懸ける職業なのにもかかわらず人気なのはやはりランク制度が大きいだろう。ランク制度は冒険者が自分の力量に合わない依頼を受けてしまわないように作られた制度であり、ランクはE~SSまである。


 冒険者ギルドに入団したものはEランクから始まり、E(初心者)→D(初級)→C(中級)→B(上級)→A(超級)→S(伝説級)→SS(英雄級)にランクアップできる。高いランクに行くほど高難度の依頼を受けられたり、宿屋や店の料金が下がったりする特典が得られる。

 

 ランクを上げるためには依頼を一定数こなすか、あるいは不定期で入ってくるギルドの緊急依頼や特別な魔物を討伐することで得られる称号を集めることであげられる。ちなみにSSランクに上がるためには桁外れな実力が求められるらしく、いまだ到達したものはいないため、本当は存在しないのではないか。などの憶測が飛び交っているとかいないとか。


 あらかたの説明をミラから受けた俺たちは早速本部の中に入る。


「うっわ。すげーなこりゃ」

「わー!初めて入りましたけどすごくきれいですね!」

「ふむ。さすが本部といったところか。清掃が隅々まで行き届いておる」


 中は想像した以上にきれいだった。例えるなら一流ホテルのロビーだろうか。磨きつくされた大理石の壁に床は絨毯。受付は個別化されているがまさにホテルの受付のそれだ。掲示板には依頼の紙がきれいに貼られている。おそらくあれをはがして受付に持っていくのだろう。


 きょろきょろと周りを見回していると案内人の人だろうか?が駆けつけてくれた。


「何か困ったことでもございましたか?」

「えっと冒険者ギルドに入りたいんですがどこで受付したらいいんですかね?」

「もしかして3人で受けられるんですか」

「その予定ですが…何か問題でもありましたか?」

「すみませんが冒険者ギルドは安全性の関係上4人以上のパーティじゃないと入団できないんですよ」

「「「えっ…?」」」


 まじか…。知らなかったわ。2人とも知らなかったみたいだな。4人以上じゃないとは入れないならしょうがない。諦めよう。


「そうだったんですか…。すいません。お騒がせしました」

「いえいえまたのお越しをお待ちしております」


 そういって俺たちは踵を返した。外に出たところでミラが今にも泣きそうな顔で謝ってきた。


「…ソーマさん。すいませんでした。私が何も知らないばかりに恥をかかせてしまって…」

「いや、気にしなくていいよ。俺も知らなかったし」

「そうじゃ。別にミラが気にするようなことではない。旅に失敗はつきものなのじゃ」

「うう…ありがとうございます」


 だからそんなに泣かなくてもいいじゃん。それにしても冒険者ギルドに入れないとなると、次は宿取りかな。いい宿見つかるだろうか…。


「入れないならしょうがない。いつまでもくよくよしてないで先に進もう!」

「うう……そうですね。いつまでも悩んでても何も始まりませんもんね!よーし次は宿を取りに行きましょう」

「うむ!そのいきじゃ。ミラはムードメーカーなのじゃからしゃきっとせい」

「宿を取りに行くとしてミラ。なんかいい宿あるか?」


 宿屋区にある宿屋は安くて良質なものから高くて悪質なものまでいろいろとあるためちゃんとした宿屋を選ばないと痛い目に合うらしい。ミラも何回かそういう目に合ってきたらしい。

 

 ミラはいい店を知っているようだ。


「そうですねぇ。安くていい宿やならやっぱり“和み亭”でしょうか?」

「和み亭?なんか和風な感じがする名前だな」

「そうなんですよ!この宿は()というものをモチーフにしているようなんです。和って何でしょうかね」

「…ま、まさか」


 俺はミラとシェンにしか聞こえないぐらいの小声で話しかける。


「ミラ、シェン。よく聞いてくれ。おそらくその宿を作った人は異世界人だ。それも俺と同じ国の人だ」

「つまりソーマさんの他にも異世界人がいると言う事ですか?」

「異世界人?何を言っておるんじゃ?」

「詳しいことは宿で話そう」

「分かりました」

「よくわからんが宿をとることが先決じゃろう」


 俺たちは宿屋区へ向かうため冒険者ギルドを後にした。


 宿屋区についた俺たちを迎えたのは多種多様の宿だった。みるからにボロボロの宿もあれば、冒険者ギルドに引けを取らないぐらい豪華な宿もあった。

 

 そしてアレンに入ってから思っていたことが一つ。


「…なあシェン。やっぱりお前人の目を惹きすぎじゃね?」


 シェンの美貌に人の目が集まり過ぎてしまうのだ。竜人族は差別的な目で見られないらしい。俺はそれを危惧したからこそミラを人目を惹きすぎない程度の姿にしたのだがシェンを呼んだことでその意味が無くなってしまった。


「そんなこと言われてもどうしようもできないのじゃ。亜人化の時の姿は生まれたときから決まっているのでのう」

「そうかもしれんがなぁ…ミラが縮こまってるぞ」

「うう…あまり注目を浴びるのは慣れてないんです」


 ミラは魔王軍幹部だとバレないように行動してきたから人目に触れる機会がなく、慣れていないのは当然だろう。シェンはこの姿だからこれから少しづつ慣れていってもらうしかない。


「これからも人目を惹くだろうが少しづつ慣れていこうな」

「…はい。頑張ります」

「こればかりは我でもどうしようもできない事じゃから勘弁してもらいたい」


 そんな会話をしながら宿屋区をミラの案内で歩く。


「ここが和み亭です」


 ミラが指を指したのは瓦の屋根に木造の外観をしたどう見ても日本の旅館だった。


「おいおい…まじか」

「やっぱソーマさんはこういう宿の事を知ってるんですか?」

「ああ、これは旅館だ」

「「旅館?」」

「旅館っていうのは俺の国に昔からある宿の事だ」

「ということはやはりこの宿はマスターの国の者が作ったという事か」

「そういうことになるな。とりあえず中に入ってみよう」


 中に入ってみる。中はやはり想像した通りの内装だった。木を主に使っている壁や床、見たこともない魚が泳いでいる池や着物のようなものを着ているスタッフなどまさに旅館だった。

 

 俺たちは受付へと向かい着物のような服を着ている女性に話しかける。


「和み亭へようこそいらっしゃいました。本日はご宿泊ですか?それとも日帰りですか?」

「その前にこのりょ…ごほん。宿のオーナーさんはいるかな?」

「オーナーに何か用事でも?」

「もしかしたらそのオーナーさん、俺の知り合いかもしれないんだ」

「分かりました。オーナーを呼んできますのでしばらくお待ちください」

「あー、呼ぶときに「あなたは日本人ですか?」と伝言を頼めますか?」

「?何のことかわかりませんがかしこまりました」


 そういって受付のお姉さんはパタパタと奥へ消えていった。


 2分ぐらいしただろうか。さっきのお姉さんと一緒におそらく中年の男性が出てきたと思ったら全速力で駆けつけ耳打ちをしてきた。旅館内は走ったらだめですよ。


「君。あの伝言をすると言う事は本物かね?」

「この話をここでするのはどうかと思いますが…答えはYESです」

「そうだな。とりあえず私の部屋に案内しよう。ついてきたまえ」


 そういって案内されたのは応接室のようなものだった。入る前に男性に釘を刺された。


「君は見たところ本物だろうがそこの女性2人は本物か?あとこのことは他言無用でたのむ」

「いえ、違います。私の仲間です。ですが私の存在は伝えているので他の者にバレることはまずないでしょう」

「そうか。君の言葉を信じよう」


 シェンには詳しく話していないし、2人にはこの対談ではいてもらうが男性と俺と2人だけで喋らしてほしい。とお願いしてあるし、他言無用と伝えてあるので大丈夫だろう。


 応接室に入る。中には書類の入っている棚と対面するように置いてあるソファとその間にテーブルがあるだけの質素な部屋だった。


 俺たちは男性の座ったソファの反対のソファに腰掛ける。すると男性が落ち着いた口調で話し始める。


「まず、お互いに自己紹介しよう。もちろんあっちの名前でね。私の名前は“藤原 創介”。向こうの世界でも旅館を営んでおった。こっちの世界ではジェームズという人の体を使っている。この世界ではジェームズで通しているのでジェームズと呼んでほしい」

「了解ジェームズさん。俺の名前は夏風 蒼真です。向こうでは学生をやっていました。気楽にソーマと呼んでください。こっちの前の体は言うといろいろ面倒なので控えさせてもらいます」


 次にこの世界に来たきっかけを話し合った。どうやら創介さんは向こうで死んだと思ったらジェームズさんになっていて、混乱しているとその部屋に偶然あったこの世界について書かれた本を読んでなんとなく状況を把握したらしい。それでジェームズさんが営んでいた宿屋を改装し、長い時間をかけて無名の旅館からアレンで泊まるなら和み亭と言われるほどの大人気の宿にしたんだとか。


 次に俺の話をするとジェームズさんは驚いたように目を大きく見開いて聞いてきた。


「なんと!たった数日でこの世界について理解し旅に出る決心をしたのか!?なんとも最近の男の子は勇気があるな」

「いえ、たまたま俺がこういうファンタジーの世界に詳しかったのとこの体が万能だっただけですよ」

「それで旅に出るついでに情報収集を兼ねてこのアレンにしばらく滞在するためにこの宿に泊まりたいと…」

「ミラがおすすめと言っていたので。ダメですか?」

「いや。願ったりかなったりだ。同胞のよしみだ。普段なら1泊1銀貨だが1泊大銅貨5枚で1か月だから銀貨15枚ってところでどうだ」


 うーん。半額か。ちょっと安すぎるな…しかも今銀貨持ってないから金貨2枚ぐらいで許してもらえないだろうか。あと3人しかいないけど4人じゃないと冒険者ギルドに登録してもらえないから4人部屋でお願いできないだろうか…。


「今はちょうど銀貨を持ち合わせていないので金貨2枚で勘弁してもらえませんか」

「それだとソーマ殿が損する計算だがいいのか?」

「はい。でも1つだけ約束をお願いしてもいいですか?」

「できるかぎりの願いなら叶えられるぞ。例えばナニをするために防音機能のついている部屋にしてくれとかだったら叶えられるが…」

「いや…そんなことじゃなくて…ミラ!シェン!そんなに恥ずかしがるな!えっと今は3人しかいないんですけど4人部屋に滞在させてほしいんです」

「ん?何故だ?」

「俺らは冒険者ギルドに入りに来たんですが4人じゃないと入れないらしくて…そのため増えたときのために4人部屋にして欲しいんです」


 この話は4人目が出来てからでいいのだが、いつになるか分からない。もしかしたら出来ないかもしれないし、明日にでも出来るかもしれない。今のうちにとっておいた方が後でとれないよりもいいだろう。幸いお金はたくさんある。


「なんだ、そんなことか。それぐらいなら大丈夫だ。ちなみに部屋は和室だがご飯は1階の食堂でビュッフェだったか?そんな形式でいいか?」

「はい。構いません」


 よし!作戦成功。しかし、ビュッフェか…和室のような場所に泊まるのも小学校の時におじいちゃんの家に行った時以来だな。ということは布団で寝れるのか。楽しみだな。 


 ジェームズさんと契約を交わした俺たちは再び受付に戻り、金貨2枚を払い部屋へ移動する。


 部屋はやはり和室で畳の床に障子のドアに、一体どこで作ったのだろう掛け軸のような物までかけてある。


「うわー!和室って言うんでしたっけ?初めて泊まるけどすっごく綺麗ですね!」

「そうじゃな。この床の触り心地が何とも癒されるな…」

「それは畳だ。ジェームズさんが言ってたが布団は自分で敷いてくれってさ」

「「布団ってなんですか?(なんじゃ?)」」


 俺は押し入れから布団を3セット取り出して敷く。布団を敷いたことがなかったが意外とうまく敷けた。


「これが布団だ。この敷布団と掛け布団の間に挟まって寝るベッドとは違う、俺の国独自の寝具だ」

「これに挟まって寝るんですか!?もふもふしてて気持ちよさそうですね」

「うむ。我の寝床より気持ちよさそうじゃな」


 竜化していたシェンが寝ていたところが気になったがあえて聞かないでおく。どうせ洞窟の奥とかそんな感じだろう。


「そろそろ暗くなってきたしそろそろ寝るか。明日情報収集しようと思うけどどこかいい場所ある?」

「そうですね。スラム街でお金を渡して情報を集めるのが効率的じゃないですかね」

「我は特に知らんな」


 スラム街か…日本のホームレスみたいなものか。あまり気乗りしないが行ってみるか。もしかしたら結構いい情報を持ってるかもしれないしな。


 そして俺たちはビュッフェを楽しみ、おなか一杯になったところで寝た。ちなみにビュッフェは肉や魚、それに何やらラーメンみたいな物まで出てきた。ちょっと味が違ったけどうまかった。ジェームズさん恐るべし…。


 さて、明日はどんな物語が待っている事か…。

 この小説には原文があるのですが、その分はほとんどの話が1万字を超えている場合がほとんどでした。ですのでいい感じで切ろうとしたために以上に短くなったり、今回のように切るほどの長さがなかった場合は普通よりも長い感じになります。その辺はご容赦ください。


 ちなみにですがプロローグや今までの話も含め、この先数話は最近のストックと書き方が違っています。私としては最近書いたほうがいいと思っているので投稿する前に直そうと思ったのですが…面倒でした…。ごめんなさい。

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