寝巻き会
また夜。
この屋根裏部屋個室で過ごす夜じゃな。
前回と状況が違うのはけっこうおおっぴらにガリバーのいたベッドに儂が寝転がり、向かいのベッドにメルが寝転がり、にこにこしていることじゃろうな。
枕元にはコップにお水、儂にはお皿にお水。
あと、どうもメルは奮発したのかなんなのか夕食の時に残していたようで豆を逝った物をベッドの間に箱をおきその上の小さなお皿にいれてお互いにぽりぽりとしておった。
水のおかわりはいっぱいある。
というのも儂が水球で作り出しておるからじゃ。
個人的に酒かジュースが欲しいところじゃがさすがにないようなので贅沢肺炎がな。
じゃが、なんというかこういうパジャマパーティーは前世もしたことないし初じゃな。
ちょっとどきどきする。
こういうのは修学旅行なんかで恋バナとかしたりしてキャーキャー言い合ったり、枕投げしててぃてぃと遊んだりするのかのぉ。
まぁ、儂は猫友の話でメルに至ってはそれ以前のことになるゆえ、少々気まずいし、だからといってこの体では枕も投げれんから魔法の打ち合い?
水の掛け合いなんぞしたら風邪ひくわ。
土の掛け合い?汚れる汚れる。
火は・・・・・いわれんでもやらんわぃ。
ま、光の玉をふわり浮かべてくるくる回してみたりするんはいいじゃろな。
ってなわけで、「にゃっ(ライト)」と光球をいくつも出して回りをくるくるとまわしたあとに念話をする。
『さて、安全安心魔法訓練兼実用試験会開催~』
わーどんどん、ぱふぱふ~
「おー」ぱちぱちぱち
メル、のりいいじゃないの。
ともあれ、何かを話したりするのにお互い共通の話題とすればやはり魔法のことくらいである。
それにわし自身使える魔法の現状把握はしっかりしておきたいからの。
さて、現状使える魔法は
猫魔術(Lv.7)識別の瞳 見切りの瞳 地図の瞳 吸引の瞳
地魔術(Lv.6)サンドショット サンドブラスト ストーンフォール
水魔術(Lv.6)アイス アイスニードル ウォーターボール アシッド
火魔術(Lv.5)ファイアー ファイアーボール ファイアーウォール セイントファイア
風魔術(Lv.1)エアーシュート
光魔術(Lv.1)ライト
闇魔術(Lv.1)シャドウサイト
聖魔術(Lv.6)ヒーリング ホーリーアロー
邪魔術(Lv.1)ペイン
無魔術(Lv.1)アイアンバレット
と、こんなもの。
猫魔術を除くとしても低レベルながら結構な量が使用可能である。
魔術レベルがあがれば当然もっと魔法が使えるようになるわけで、ちょっと把握するにしろ使用頻度にしろかなり差は出てくるじゃろう。
実際、前世においてゲーム内でも途中経過においてけっこう使う魔術、使わない魔術との属性魔術のレベル差は激しいものがあったからな。
最終的にはきちんと全てマックスにしたわけじゃからその努力は推して知るべしというところじゃな。
とはいえ、魔術大全でその全てが見られたらいいんじゃが、まぁ、おそらくは前世のゲームの知識そのままでいけると思うし、そこは臨機応変に対応すればよかろう。
でじゃ、現状攻撃もできれば回復もできるがまだ支援系の魔術はシャドウサイト以外ない状態。
これは正直厳しいものがある。
レベルも8になればどの魔術でもそれ系は出てくるのでそれまでは魔術レベル上げが肝要というわけじゃ。
猫魔術に関してはどうにも特殊枠ということで識別と地図は常時貼り付けておくとすればあがりもよくなろう。
もっとも、瞳は二つしかないので常時使用はその二つが限界のようじゃがな。
それに使い続けると頭痛がしてくることもあるので長時間のウィンドウの常時開放は難しい。
うーぬ、転生などで並列思考や演算処理などに特化したスキルなり魔術なりあればいいんじゃが、そういうものはむろんあるわけはないので、自力で訓練してどうにかなれていくしかないかの。
でじゃ、パジャマパーティーなどというでおるし、親睦を深めるというのも間違いではないが、それ以上に迷宮がしばらく使えない以上、魔術レベル、使用練度をあげるのが必要じゃからな。
で、酒場で確認して思ったことじゃが、うん、経験値とは違う熟練度でこの魔術レベルはあがることは肉を弾いた水球で確認済み。
なればこそ、害のない魔法で魔術レベルを上げるのがベストというものじゃろう。
なお、メル自身のステータスはどういうものかそれ以外のものには見えない部分も見える。
主と使い魔というつながりがあるからより明確に見えるということなんじゃろうか?
ともあれ、それゆえにランクも上がったのでステータスの表記もバッチリ見えるようになったのでそれを基準に頑張っていきたいと思う所存である。
ちなみにメルはこんな感じ。
名前:メルティウス=ダンジェス(12)
職業:魔法使い 種族:人
ランク1 魔法使いの卵
ステータス
魔力 1
スキル
魔法(無) 天凛
正味魔法使いなのに魔力値が1しかないのは少々厳しいものがある。
練度としてもおそらく最低値。
それをあげるのは生半可ではない。で、ステータスレベルに関しては天凛が邪魔をしてあげるのは困難。
ならばこそ、それとは違うアプローチをかけていく必要がある。
それが魔術レベルの向上である。
スキル内においてメルは無属性の魔術が使えるが、この辺、もしかしたら種類も増やせると思う。
わしも魔道書を読むなり、NPCプレイヤーの師匠ポジの人に教えてもらったりして増やすことができたわけじゃ。
で、儂のポジションを師匠ポジとするならやってやれないこともないじゃろう。
魔術レベルを見れないのは正直不安があるが、やらないよりやることがいいじゃろう。
たとえ上がらなかった、種類が増えなかったとしてもプレイヤースキルや魔術に関しての知識を得ることは重要なことじゃからな。
さて、長々となったが、
『とにかく、はじめるぞ』
「うん」
と、二人でまずは光魔術を行うようにしていった。
といっても、メルは光魔術が使えんようなので、まずはその概要からといったところであったが。
さて、どうやって覚えようかの。
まずは確認じゃ。
『のぉ、メル。まず聞きたいんじゃが、無属性の魔術はもともと覚えていたものなのか?』
もし先天的なものであればちょっとほかの魔術を習得する上で難儀することになる。
「ん?うううん、違うよ。ここに入ってきたときに無属性の魔術書っていうのを手に取らされて強制的に得たよ」
ほぅ、なる。
魔道書を読んででなく触れて会得できるのか。
随分簡略じゃな。
「ほかの魔術に関しては先生が講義でイメージを教えて各自自習して覚えていくんだけど。今は火と水、風と土を念入りに教えてもらってるの」
なるなぁ。
うーん、イメージを伝えて使えるようになる。
で、それでなぜに使えないのか。
んー・・・・・ほかは出来るのにメルはできない。
何か壁があるのか?
「ほかのみんなは講義後すぐに使える人もいたんだけど、僕は全然でいっぱい使おうとしてるんだけどできないんだ」
ふむ、なるなぁ・・・・・・ん?
『尋ねるがお主以外で講義後すぐ使えなかったものはいるか?』
「ん?んー、いたけど。でも、しばらく訓練してたら使えるようになったんだ」
むぅ・・・・・となると、ひょっとしたら。
『のぉ、地水火風の魔術は一旦置いとくとして、光の魔術を使ってはみんか?』
「え?でも、四大属性は基本だよ。それをおいてほかの魔術を使うのは難しいんじゃないの?習う手順が違うし」
地水火風は四大属性などと呼ばれておるのかぁ。
ファンタジーの基本じゃな。
じゃが、それはおくとして
『メルは無属性魔術は使えるんじゃから、魔法を使えないというわけではなかろう。であるなら、要は使えん理由は一つじゃな』
「え?ど、どういうこと?さっきの話だけでわかったの?」
まぁ、わかるわからないというよりも魔術の質の大きさからなんだろうなと思う。
とりあえず、今はほかの魔術も使えるという自信をつけてやるのが一番じゃな。
ほんとうは天凛をもっていて年を経てランクをあげれば魔力も飛躍的にあがるというのがいいのかもしれんが、それでは迂遠すぎるし、その頃には卒業して閑職か最悪、魔法使いというものに絶望してしまうかもしれん。
そうなる前に強化計画を推進しなくてはならない。
それがためまずは自信をつけんとな。
『とりあえず、さっきのまずは地水火風を覚えようという先入観は一旦捨てて、光魔術を使ってみよう。理由は使えばわかるから』
「う、うん」
半信半疑といった具合で、メルは首を縦に降ると、わしと一緒に魔力を練り始めた。




