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ぼっちな俺だがラブコメな日常  作者: こめっこぱん
毎日が大変で騒がしい
30/58

咲久野と水瀬の帰り道

 俺たちは学校に向かう。咲久野と水瀬は楽しそうに話していた。その輪に入れなかった俺は、一歩下がって歩く。まぁ、周りからこの光景を見られたら、水瀬が可哀想だしな。ただでさえ俺は目付きが悪いんだしな。噂のこともあるしな。

 そう思った俺は、話に夢中になっている二人から徐々に離れていった。二人は俺が居ないことに気づかないでいたため、話ながら学校に向かっていた。

 これでいいんだ。水瀬に迷惑かけたくないし、咲久野にも、これ以上迷惑はかけたくないしな。


 途中で水瀬が俺が居ないことに気づいたのか、周りをきょろきょろしていた。


 「晴香、野雫目くんがいないよ?」


 「一人で学校に行ったんじゃないかな?いないってことはそういうことなんじゃない? 」


 「そっか......うん、そうだよね」


 水瀬は少し落ち込んでいたみたいだった。そのため、咲久野は水瀬のことを慰めていた。


 「大丈夫だよ。帰りも光太と一緒に帰ってるから、帰り、三人で帰ろうね」


 「うん!そうだね」


 元気を取り戻した水瀬は学校に行くために咲久野の手を引っ張った。


 「ほら、早く行こっ!」


 「う、うん!というか、そんな慌てなくても大丈夫だよ、梨花」


 ーー学校に着いた俺は、自分の席につく。机を見てみると、そこには一枚の紙切れがあった。

 『お前のせいで負けた! 教室から出ていけ、そして消えろ! 』

 などと書かれていた。幸いなことに、紙に書かれていたため、捨てればいいだけだったからよかった。これが机とかに書かれていたら、消すの面倒くさいしな。ていうか、ここまでするかよ普通。内容的に小学生みたいだぞ、全く。

 俺は、紙切れをぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に捨てた。席につくと今度は笑い声が聞こえてくる。聞こえないように笑っているやつもいたが、普通に聞こえてくる。最後らへんから、俺じゃなく水瀬や咲久野の悪口まで言っていた。俺はその事に腹がたち、思っていることを言った。 

 

 「なあ、そんなに俺をいじめて楽しいか?あっ、聞くだけ無駄か。お前らは自分よりも弱い相手だと思ったらすぐにいじめるもんな。なぁ知ってるか?いじめることなら猿にだってできるんだぞ?お前らは猿以下の頭しかないんだな。まぁ要するに、バカだってことだな」


 言い終えた俺は、机に頭をつけ、寝る体制に入った。俺的にはまだまだ言いたいことがあったが、また今度言おう。そう決意した。


 「なにあいつ、マジでムカつくんですけど」


 「それな。水瀬さんたちも可哀想だね。もしかしたらこいつに弱味でも握られてるんじゃないの?」


 「それあるかもな。どうにかして、助けてやりたいな」


 それでいい。いじめの対象を俺に移してくれただけでもよしとしよう。これであいつらは悪く言われないだろう。

 その事がきっかけで、俺はこの教室にいる場所がなくなった。いや、なかったんじゃない、なくなったんだ。


 ーー午前の授業が終わり、今は昼休みだ。俺は、いつものところに向かう途中自販機により、アイスココアを買う。

 やっぱ、ココアは旨いな。この程よい甘さが俺の脳を働かせる。この一時が俺は好きだ。なににも邪魔されず、のんびり食べる昼食は素晴らしかった。


 午後の授業も適当に受け、あとは帰るだけになった。俺は、咲久野との待ち合わせ場所に行かずに一人で帰る。

 その頃咲久野は、俺が来ることを楽しみにしていた。それでも、一向に来る気がしなかったので、帰ったのだと思い、水瀬に伝える。


 「多分、光太は先に帰ったみたいだから、もう帰ろっか」


 「......そうだね。寮に行けば会えるしね!」


 「それにしても、なんで今回はなにも連絡がなかったんだろう?いつもなら、用事の場合連絡くるのに」


 寮に帰る途中、ふと咲久野はそんなことを言った。


 「多分、私のこと避けてるんだと思う。多分、今回連絡がこないのも、私がいるからなんじゃないかな」


 水瀬は泣きそうになっていた。それを見て、咲久野は慌てて慰める。


 「大丈夫だよ。光太があんなに楽しそうに話してたの、始めてみたもん。だから、水瀬は嫌われてなんかないよ!」


 「そう......かな......」


 「うん!そうだよ! もっと自分に自信持ってもいいんだよ! 」


 咲久野からの、暖かい言葉に嬉しくなった水瀬は、さっきまで元気がなかったのに、今はすっかり元気になっていた。

 咲久野はそんな姿を見て安心したのか、ほっと胸を撫で下ろす。

 その後は、色々な会話をしながら二人は帰っていった。


 「野雫目くん、もう寮にいるかな?」


 「うーん、いつもならいると思うけど、今日はわかんないかな」


 「そ、そうなんだ」


 「そんなに心配しなくていいよ。多分帰ってると思うからさ」


 「う、うん!」


 ころころ表情の変わって面白い。そう思った咲久野であった。


 「また、沢山話したいなぁ」


 などと水瀬は嬉しそうに言っていた。


 「沢山話せたらいいね」


 咲久野も後押しをする。そんなことを話していると寮についた。まだ野雫目は帰ってきていないみたいだった。

 二人は野雫目が帰ってくるのを楽しみにしていた。

 でも、水瀬はまだ知らない。野雫目に酷いことを言われ、突き放されることを。咲久野はまだ知らない。光太と仲たがいすることを。

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