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短編闇鍋

天才がイケメンに嫉妬すると多分こうなる

作者: トカゲ

S県にマガハラ研究所と呼ばれる研究所がある。

そこでは総勢50人程の研究員が新薬の開発に日々勤しんでいた。

そんなマガハラ研究所には2人の有名人がいる。(有名人といっても一部の関係者内で、だが。)


天才ゲルゲロ博士とその相棒であるイケメン助手だ。



ゲルゲロ博士は顔こそゲルゲロだが、世界に並ぶ者がいないとまで言われた天才だ。

イケメン助手はその名の通りイケメンだ。


一人は頭脳でもう一人は顔で・・世界に並ぶ者はいないと言われている。(一部関係者の間で。)


・・・


「ついに、ついに完成したぞイケメン助手!」

「ゲルゲロ博士!最近ずっとゴソゴソ何かやってましたが、ようやく出来たんですね!それで何が完成したんですか?」


ここはゲルゲロ博士の研究室だ。

1週間程前からゲルゲロ博士はイケメン助手に何も教えずにある薬を作っていた。

その間ゲルゲロ博士はイケメン助手に何の指示も与えなかったので、イケメン助手は部屋の掃除以外は自分の研究に専念していた。

それはラッキーだったが、ゲルゲロ博士が何を作っているのか教えてくれなかったのでイケメン助手はずっともやもやしていたのだ。


「まぁ待ちなさい。それよりイケメン助手よ、完成祝いに乾杯と行こうじゃないか。」


ゲルゲロ博士はそう言うとジュースをイケメン助手に差し出した。


「お前の好きなパインジュースだ。乾杯が終わったら何の薬が出来たか教えてやろう。」


イケメン助手はそれならばとジュースを貰いゲルゲロ博士と乾杯する。

ゲルゲロ博士から貰ったパインジュースは良く冷えていて美味しかった。イケメン助手は一気にコップに入ったジュースを飲みほす。


「くくく・・飲んだなイケメン助手よ!それこそ私が作りだした新薬【パイパイパイン】だ!」


ゲルゲロ博士はイケメン助手がジュースを飲みほした瞬間に大きな声で笑い出した。


「お、おっぱい?おぱいぱい!?」

「ふははは!実験は成功の様だな!!」

「おぱい!!おっぱいぱい、おっぱい!!」


イケメン助手はとつぜん『おっぱい』以外の言葉を喋る事ができなくなった。

これはゲルゲロ博士の仕業なのかと聞きたいのにおっぱいとしか言えない。


「もうお前はこれから『おっぱい』としか喋れなくなったんだよ!ザマーミロ!!」

「お、おっぱいぃ!?」


イケメン助手は混乱しながらも文字を書いてこのおっぱい地獄の理由を聞こうとする。

しかしイケメン助手がどんな文章を書こうとしても『おっぱい』としか書くことができない。


「おっぱいっつ!?」

「ははは!無駄だ無駄!!今のお前は文字は勿論、絵もオッパイしか書けないぞ?新聞等の文字を切りぬいて文章を作ろうとしても無駄だ。オッパイ以外の文章は作れなくなっている!」


イケメン助手は愕然とした。なぜ自分はこんな目にあっているのか分からない。

自分はゲルゲロ博士を怒らせる様な事はしていないはずだ。

博士の事を尊敬しているから無茶な実験にも文句も言わずに付き合ってきたし、嫌な仕事も進んで引き受けている。


「なんで自分がこんな目に?と思っているようだね?確かにキミは優秀だし、優しい子だ。気配りもできるし、嫌な事も率先してやる。」

「おぱ、おっぱい!」

「だがね、イケメン助手、キミはイケメンなんだよ。キミがいる限り私に春は訪れないんだ。だから・・キミには変態に堕ちてもらう事にしたんだ。」


イケメン助手はゲルゲロ博士の余りにも自分勝手な言い分に怒りを通り越して呆れの感情が生まれた。

ようするに今回のオッパイ地獄は自分が女性にモテている事への嫉妬が原因らしい。

イケメン助手は確かにイケメンだが、それだけでモテている訳ではない。

色々な気配りとかそんな日々の積み重ねの結果でモテているのだ。


「おっぱい!おっぱい!!」

「なにを言っているのか分からないな!因みに解毒剤は作っていないよ。では私は帰る。またな、オッパイ助手。」


ゲルゲロ博士は高笑いをしながらその場を去っていった。部屋の「おっぱい」という大きな叫び声を背にしながら――


・・・


翌日、ゲルゲロ博士は沢山の女性研究員に囲まれていた。

全ての女性研究員の顔には怒りの般若が張り付いており、どうにも歓迎はされていないようだ。


「ゲルゲロ博士、イケメン助手を元に戻してください。」


一人の女性研究員が代表してゲルゲロ博士の前に出る。

ゲルゲロ博士は何故バレたのか分からない。証拠はないはずだ。


「何の事だね?」

「イケメン助手がおっぱい以外言わなくなりました。これはあなたの仕業でしょう?」

「証拠はあるのかね?言いがかりは止めてくれないか?」


どうやら確証はないようなのでゲルゲロ博士はこのまま知らないフリを通す事にした。

イケメン助手はおっぱいとしか喋る事ができないのだからばれる事もないだろうと考えたのだ。

そんなゲルゲロ博士を見て女性研究員はため息を吐いた。


「そんなんだからモテないのよ。まじゲルゲロ。」

「なんだその言い方は!温厚な私でも怒るぞ!」


ゲルゲロ博士が怒りの咆哮を上げようとした時、一人の女性研究員がゲルゲロ博士の前に小型の録音機を取り出した。


「―――くくく・・飲んだなイケメン助手よ!それこそ私が作りだした新薬【パイパイパイン】だ!」


録音機から昨日のゲルゲロ博士とイケメン助手のやり取りが一部始終音声となって流れだす。


「イケメン助手はね・・あなたの事を尊敬しているから博士の言葉を聞き逃さないように研究室にいる時はずっと録音機を作動させているのよ。」


ゲルゲロ博士の顔が青く染まる。

悪い事はするもんじゃないな。ゲルゲロ博士は怒りの形相の女性研究員に囲まれながらそう思った。


ボコボコにされたゲルゲロ博士が解毒薬を作った後、パイパイパインの作り方を教わったイケメン助手がこれをジョークグッズとして売りだして巨万の富を得る事になるのだが、それはまた別の話――



後悔しかないけど書いてて凄い楽しかったです。

もうちょい会話多くしてもよかったかもしれん。

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