転校につき制服が新しくなりました
家が変われば学校も変わるわけで…。
光は今日から新しく通うことになった高校の制服にきがえながら鏡を見つめていた。
(ブレザーだ。)
ふふっと頬を緩ませる。
舞絵の高校はセーラー服だった。
中学校から代わり映えしない制服だったため、ブレザーの制服に密かに憧れていたのだ。
指定の制服には珍しい赤の下地のチェツクのプリーツのスカートが何とも可愛らしいこと!
まるでアイドルの衣装のようである。
次にカッターシャツの上にスカートとおそろいのベストを着て、ブレザーを羽織った。
スカートとはうってかわって、黒を基調とした落ち着いたもので胸ポケットにあるエンブレムを引き立てている。
「思ってたより素敵なデザインじゃない。」
制服に身を包んだ姿が映る鏡をうっとりと見つめる。
「いつまで見つめているつもりだ?」
(え?)
振り返ると後ろに高成の姿がある。
機嫌が悪いのはその表情から読み取れる。
「光がいつまでも自分の姿を見つめるのは構わないけど、俺まで遅刻させる気?」
光は自分の行動を見られていた恥ずかしさに顔を赤くした。
「いいじゃない。新しい制服可愛いから嬉しかったのよ!それより勝手に部屋に入らないでよ、一応私の部屋何だから。」
「ノックはした。気づかなかった光、お前が悪い。」
昨日言った年上に対する言動を直さず、上から目線の態度に光まで機嫌が悪くなってきた。
勿論、自分の非は棚に上げている。
素直に謝ることが癪だからだ。
「まあいい、いい加減家を出ないと本当に遅刻するぞ。」
光がはっと時計を見ると針は8時5分前を指していた。
「ここから学校までどのくらい?」
「歩いて15分。」
「登校は何時まで?」
「15分まで。」
光の背中に嫌な汗が流れる。
このままでは本当に遅刻になりかねない。
「自転車はある?」
「俺のしかない。」
「貸して。」
「ムリ。」
「このままじゃ私遅刻しちゃう!」
「それを言うなら俺だってそうだ!」
(ああ、最悪だ。)
転校初日から遅刻するなんて恥ずかしいが、どうしようもない。
オロオロしている光に高成は呆れた表情で見つめていた。
(制服に見とれている場合じゃなかった。)
そう思っても後の祭りである。