衝撃の再会…?
「次の角にある扉が脱衣所ね…。」
高行の教えられた通りに廊下を進む。
(あった!)
光は目の前の扉を開け唖然とした。
「あ、あ、あ…。」
「ん?」
目の前にいる1人の少年。
中学生のようだ。
その姿は上半身裸である。
「ご、ごめんなさい。」
光は慌てて扉を閉めて高行の元へと駆けた。
「高行おじさーん。」
「どうしたんだい?まさか家の中で迷子にでも…。」
「さすがに家の中で迷子になりません!!そうじゃなくて、脱衣所に…。」
誰かいる、そう言おうとする前に第三者の声が響いた。
「父さん、その人誰?」
「高成帰っていたのかい?」
「俺の質問の答えになってないんだけど…。」
呆れる少年、もとい高成はくるり光の方を向いた。
「誰?」
「真山光です。光と書いてヒカルです。」
高成は驚いたように目を向けた。
「光君って男だったの?」
「あれ?言わなかったかな?」
え~…、と呟く声が聞こえた。
(失礼な!)
光はよく名前をヒカルでなくヒカリに読み間違えられたり、ヒカルと聞いて男の子だと勘違いされることがある。
そのたびに説明しなければいけないことがこの上なく面倒なのだ。
親もややこしい名前をつけてくれたなと思う。
「悪かったですね、女の子で。」
ちょっとした小言を漏らす。
すると面倒くさそうに高成が返した。
「別に悪くはないんじゃない。ただこれからは確認をしてから脱衣所の扉を開けて。」
(…何故か分からないけどイラつく。)
自分が悪くて注意されていても、ため口を聞かれると無性に腹が立つ。
「わかったわ。そう言う君も年上への口の聞き方は気を付けたら?」
光はそう言い捨てると、今度こそお風呂へ入るため脱衣所に向かった。
「喧嘩しないでね。」
その姿を見て高行はポツリと呟いた。
これが光と高成の再会?である。