溜息 1
「は~・・・」
た・・・溜息しか出ない・・・
ベットの上で、体育座りをして溜息を吐く少女、彼女の名前は、岡田希、ごく普通の女子高生である彼女、しかし、それは、つい、さっきまでのこと・・・
どうしたらいいのよ・・・
バラバラと鳴り響くヘリコプターの音、その数、約6基、彼女の自宅の上を飛び回っていた。そして、彼女の視線には、テレビが・・・
緊急速報!!異星人との交渉相手が決定!!
彼女の家の前が映っていた。
「現在、異星人が交渉相手として、指名された岡田希さんの自宅前にいます。極普通のお宅のようですが、現場には、ご覧のように、警察官が立っており、これ以上近づくこともできませんし、中の様子もよくわかりません。そして、今回、交渉相手として指名された・・・」
ブチュン!!
そんなリポーターの話声が耳に入って来た瞬間、彼女は、テレビを消した。そして、自らの足に顔をうずめた。
もう!!いい加減にして!!
この心の叫び声は、誰にも届かなかった。すると、彼女の横から声がした。
「はよぅ!!決めてぇ~な~、さもないとあんたの星がなくなるでぇ」
そんな言葉をかける一人の少年がいた。その顔は赤く鼻は長い・・・まるで天狗を幼くした感じの少年がそこにいた。
「うう・・・」
当然返事に困っている私は、その辺にいる女子高生なんだから、そんな私にこの星の運命を託すなんて絶対無理だし~と思っていても、相手は容赦ないようだった。地球の宇宙になんやら巨大なものがうつっていた。彼らが言う、地球破壊装置だそうなんだけど、そんなこと言われても・・・
「だったら私を納得させてよ」
とまで言ったのだが、彼らが提案したのは、鬼ごっこだった。しかも、1週間で私が鬼として捕まえるっていう。と言われてもそこまで私に体力はない。ごく一般の女子高生だ。日本国政府の矢部総理は、全力で君を支援する。とのたまったのだが、真意は不明。というわけで、私は、鬼ごっこにおける鬼として、1週間以内に相手を捕まえないといけないという緊急事態になってしまった。ただし、捕まえることが出来たら、地球には手出ししないという条件・・・
というわけで1日目、私は、その相手を見てびっくりした。その相手は、この星を侵略する星の皇太子様だった。ということは、私が捕まって彼に凌辱されるというのが一般的な常識なんだけど、何故か、私が彼を捕まえないといけない。これほどのハンディがあるのだろうかと思うくらいなんだけど、これが現実だった。ただ、彼には、地上しか逃げることしか出来ないというハンディがあった。こうして、私が鬼という、鬼ごっこが始まった。
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どう見ても私が不利なのは明白、だって、女の子だもん、相手は男よ!どう考えても勝てるわけないもの、と思っていると、目の前に、座りこんでいる皇太子の姿が・・・・これは、どういうことと思って、恐る恐る彼に近づいて行った。そして、その様子を見ていると、ゼイゼイと息を切らせて、身動きが取れない様子だった。どうみても、演技?と思って、ままよとばかりに彼の背後から抱き着いて、確保を試みた。
「えい!!」
「わぁーーー!!」
何の反撃もなく、私に抱き着かれ身動きが取れない、敵の皇太子、すると、おもむろに起き上がって、
「抱き着くとは、それほど世のことが好きか?」
いえいえいえいえいえいえいえ・・・・
絶対そんなことありません。と言いたいのだけど、手は放すことはできない。まだ判定員が来ていないからだ。しかし、そんな私に災難が・・・皇太子の言葉を聞いたマスコミが私の言論の自由を奪い去っていた。
「めぐみさまは、皇太子さまにご興味があったのですか」
「あ・・いえ」
と言おうとするものなら、あからさまに、大声を上げて
「ご興味があったのですね!!そうですよね!!」
って、お前ら・・・と思っていると、私に抱き着かれたままのというより、鬼ごっこに負けた皇太子は、既に開き直っていたのだろうか。といっても未だ判定員が来ていない。何しているのよと彼を離すまいと必死に抱き着いていると
「そうでしたか、彼女は、私との婚姻を望まれていたのですね」
はぁ~?
なに勝手なこと言っているのよ。私はどうなるのよ!!と思って力が抜けた瞬間に、彼が動こうとしたのを感じた。実は、彼はこの隙に逃げようとしているのかもしれないと思うと抱きしめた手にさらに力を込めた。しかも、判定員は、まだ来ていない。
「はなさないわよ!!」
この一言がいけなかった。マスコミは、殺到した
「そうでしたか。めぐみ様は、皇太子さまにご厚意があったと」
「スクープです!!」
報道陣がやけに忙しそうに中継を始めた。未だに、私は、皇太子を抱きしめた状態で
「何つべこべ言ってるのよ。判定員は、どこ?早く来てー!!!」
しばらくして、判定員がやって来て、私が鬼として勝ったことが証明された。こうして、皇太子を離すことが出来たのだか、その後で、この皇太子の口からとんでもない言葉が出てきた。
「光栄なことです」
という訳で侵略の危機にあった地球としは、貢物?のごとく私は、そのまま、はいどうそ・・・と言わんばかりに、ご結婚おめでとうございます。 !!
という、意味不明な状態が始まっていた。んだけど、そのことに、何故か、皇太子は乗り気だった。
どうしよう・・・・
このまま・・・皇太子と結婚しないといけないのだろうか