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空の歌(スカイ・ソング)  作者: 碧桜 詞帆
一章 光の代償
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12.灰色の空

 小走りで(ゲート)へと向かう。その手前に小型戦車が数台止まっており、同行する兵士達が待機していた。

「お待たせしました!」

 一時間後に戻ると言っておきながら三十分も過ぎてしまった。途中から気が急いで走り出したわけだが、待機していた兵士達は特に咎めることもなく。淡々と出発の最終点検に取りかかった。

 その片隅で小型戦車に身体を預けて佇立している青年が、こちらに気付いて顔を上げた。ユリエナも笑い掛ける。

「ワモル、お待たせ」

 年齢は十七と成人には満たないが、長身の体躯は大人に負けず劣らず鍛え上げられている。それに切れ長の双眸が相俟って、まさに武人といった風情と威圧感を醸し出していた。

「会えたか?」

 落ち着き払った男声が一言尋ねる。

「うん。久しぶりだからまだまだ話し足りなかったけど、……でもちゃんとお別れ言えた」

「そうか」

「これで、よかったんだよね」

 泣き笑いのような表情で俯くユリエナ。それはワモルに同意を求めるというより、自分自身に言い聞かせているように見えた。

「姫様! すみませんが少しよろしいですか」

「あっ、はい! 今行きます!」

 ぱっと明るい顔に戻って、兵士の方へ駆けて行く。残されたワモルは口を閉ざしたまま天穹を見上げた。空はまるで自分達の心を映し出しているかのように、どんよりと灰色に覆われている。

「……あれから二年、か」


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