これからについて
「それにしても俺にスキルがあったなんてなぁ」
俺は儀式が終わったあと、シャルと別れ、自宅に戻った。
今日は1日中外にいたこともあり、疲れがどっと出てきた。
俺は布団に横になって、天井を見つめながらポツリと言った。
「これからどうしようか」
スキルがあることもわかったので、学校に行くのもありだし、世界を旅するのもありだな。
それこそシャルと一緒に行くのも楽しそうだな。
俺はついこの前までは想像できなかった未来を考え、つい頬が緩んでしまう。
「そうだ、母さんにも伝えておこう」
俺はそう思い、母さんの眠っているところまで向かった。
庭にある墓石の前に。
「母さん、俺にもスキルがあったよ。これから何をしようか想像するだけで楽しみだよ」
俺は母さんに聞かせるように語りかけ、手を合わせた。
母さんは俺が小さな時に亡くなったらしい。
らしい、というのも亡くなったときの記憶が全くないのだ。
父さんはいたのかすらわからない。
だから今この家には俺一人しかいない。
「また来るよ、母さん」
そう言って俺は踵を返した。
今日はゆっくりと眠れそうな気がする。
次の日、俺は朝からシャルと会っていた。
その理由は俺のスキルを確かめるためだ。
まだ昨日初めてスキルがあることを知って、詳しいないようも分かっていない。
だからそれの検証だ。
「じゃあいったん私に触れてみようか」
「ああ」
俺はまず、シャルの【身体強化】を使わせてもらうためにシャルに触れた。
(……?)
あんまり強くなった気がしない。
「なあシャル、俺の見た目はなにか変わってるか?」
そう言いつつ、シャルの顔を見た。
シャルは驚いたような表情でこちらを見ていた。
「ルイ……髪の色が変わってる」
「え」
近くにある川を覗き込んでみると、普段の俺の髪の色である黒ではなく、シャルのような鮮やかな水色に変わっていた。
(まーじか)
俺もシャルも無意識のうちに顔を見合わせた。
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