【スキル保持】
初めてファンタジー系書きます
俺――ルイス・シューリ――に何か特別な力があると最初に気づいたのはまだ俺が小さい頃だ。
時たまに体が、と言うか心?が温かくなる時があったのだ。
でも俺は特に気にすることもなくのほほ〜んと生きて今日16歳になった。
この世界では16歳になると同時に成人となり、自分が【スキル持ち】であるかを調べてもらえるのだ。
【スキル持ち】とは1万人に1人の確率で生まれるという特別な人間である。
ちなみに国の騎士団はほとんどが【スキル持ち】のいわゆるエリートである。
俺でもスキルがあるかも……!と思って意気揚々と調べてもらってもほとんどの【スキル持ち】が幼少期の頃に自覚をするらしい。
だからそんな自覚のないおれには無縁の話なのだよ。
そもそも確率的には俺の唯一の幼馴染と俺の知り合い……いや、その部類にするのも嫌なやつがすでにスキルを持っているのが確定してるからな。
だからちゃっちゃと成人の儀式を終えてゆっくりしたいな。
「やっほ〜ルイ〜!」
そう言いながら肩を叩くのは俺の幼馴染であるシャル・ソーラだ。
振り向かなくても誰か分かるのは俺のことをルイと呼ぶのはこいつだけだからだ。
「おはようシャル。今日で俺たちも成人だってよ」
「早いよね〜私たちが初めましてしてからもう十何年経つのびっくりだよ……」
こいつとは親が元から仲良くてかなり小さい頃から仲良くしてるからかなりの時間をともにしている。
ちなみにこいつが【スキル持ち】の1人だ。
おそらく【身体強化】とかそこら辺である。
小さい頃からスポーツ関連をするとあり得ない動きや力を発揮することをお互いに認知している。
【スキル持ち】は態度のでかいやつが多い(噂と実体験)のにこいつはいつも俺となにも変わらずに接してくれている。
そんな面では本当にいいやつだよな。
「さ、時間も時間だしそろそろ行こうか」
「そうだな」
俺達は2人並んで成人の儀式が行われる広場へとむかった。
広場に到着した俺たちは儀式が始まるまで日陰になっているベンチで談笑することにした。
とは言いつつもあまり時間もないので実際休憩するのがメインだが。
そんなこんなで座ってから10分もしないうちに儀式が始まった。
神父が前に立ち何かを喋っていたが真面目なシャルはともかく俺はてきとーに流していた。
俺はふとシャルの方を見ながら、
(こいつも衛兵とかになっちゃうのかな……)と、幼馴染が俺と離れてずっと前を行く未来を考え悲しくもなった。
そんな視線に気づいたのか、シャルはこっちを見ると、目を細め微笑んだ。
「それではこれよりスキルの調査を行います」
(とても)長かった神父の話の後、そんなアナウンスがなった。
「さ、シャルのスキルを改めて確認しに行くか」
「これでもしスキルじゃなかったらどうしよう」
「その場合は男勝ってるだけだろ」
「誰が野蛮な性格をしてるって?」
「聞き間違いにも程があるだろ」
緊張感はどこへいったのやら、ラフすぎる雰囲気のまま会場へと向かった。
調査と言っても調べるのはとても簡単で、神父の持っている水晶に手をかざして、その色が変わると【スキル持ち】、変わらないとスキルを持っていないということになる。
もし色が変わると、更に水晶に文字が浮かび上がるという仕組みだ。
前の通り、ほとんどがスキルを持っていないので全体を通しても2,3時間ほどで毎年終わっている。
だからほとんどが急いで先頭に行こうとせずに歩いて向かっている。
少し歩いて到着した会場ではすでに調査が始まっており、続々と壇上に上がっては笑いながら壇を降りるを繰り返している。
俺達も列に並んでその時を待った。
「そういえばあいつ、見かけたか?」
「あいつ……?」
「あぁ、【スキル持ち】確定の……あ、あれか」
話していると、「おおぉ!!」と一際大きな歓声がなった。
そちらに目を向けるとほほえみながら変色した水晶を眺める男が壇上に立っている。
彼の名前はグラン・モール。
俺のことをなぜか嫌っておりひたすら嫌がらせをしてくるヤバいヤツ。
こんなやつが【スキル持ち】とか神も狂ってるよな。
『グランのスキルは【身体強化】です!』
―――まだ仮定だけどシャルと同じじゃね?
そんなことを思っているとシャルの番になり、予想通
り水晶は変色した。
『シャルのスキルも同様に【身体強化】です!!』
「この中から2人も【スキル持ち】出て、2人とも同じ能力とかどんな確率なんだよ……」
「今年は当たりすぎるんじゃないか?」
などの声が聞こえてくる。
が、そんなことは聞こえてないふりをして俺も壇に上がろうとした。
下りてくるシャルが口パクで『がんばれ』と言ってきた。
何を頑張れば……と思いつつもすこし心が楽になった気がした。
『ではここに手をおいてください』
「はい」
俺は指示に従って水晶に手を置いた。
すると、『ん?』と聞こえた。
俺も「え?」と言った。
なぜなら水晶の色が変わったからだ。
(あれ??もしかしてスキルあったの?)
神父の方も(え、3人目?)のような顔で固まって、お互いに間抜けな顔で見つめ合ってしまう怪事件が起きた。
『と、とりあえず進行しますね……』
そう言って神父が、水晶に向かって念を込めた。
(へ〜こんなふうに文字が出るんだ)
そんなアホみたいなことを考えながら文字がしっかりと認識できるようになるまで待っていた。
そしてついにはっきりと読める文字となった。
そこには
【スキル保持】
そう書いてあった。
俺はどんなスキルがあるのかほとんど知らないのでどんな能力なのか神父に聞こうと顔を上げると、
「ん………?」
と何がなんだかわからないとでも言いたげな表情をしていた。
そして告げられた。
『あのー……新スキルです』
「へ?」
『……まあ、細かいところは考えなくて良いのでとりあえず詳細を確認して欲しいです……はい』
「えーーっと……?なになに」
【スキル保持】
・見たスキルを自分のものにできる
※保持できる個数に上限はない
「「……」」
え……っと……強すぎん?
俺も神父も黙っちゃった✩
下の☆を押してほしいです
モチベになります