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ファンタジー 寄生

ある日、地球に小さな隕石が落ちた。


その隕石は、本来であれば大気で燃え尽きるほどの大きさのはずだったが、地表まで届いてしまったのだ。


落下したのはヨーロッパの山岳地帯。幸い、人が住んでいない場所だった。


すぐに調査隊が送られる。


「なんだ、これは……?」


調査隊が見つけたものは、ただの隕石では無かった。大人が一抱えするほどの大きさで、それは何より真っ白だった。


「これ、本当に隕石か? 何かの卵だって言われてもおかしくはない見た目だが」


「でも、このクレーターを見ればこいつが隕石で間違いないと思いますよ」


一人の調査隊がその隕石に触れようとした時、その卵の様な隕石がガパリと割れ、中から蔓の様なものが複数飛び出す。


「なっ!?」


その隕石から伸びた蔓には、先端つぼみの様なものがついていて、調査隊の顔の前にくると開いて粉を噴き出した。


「ゴホッゴホッ、何だ? 何か胞子の様なものが出てきたぞ」


「それよりも、まさか、そいつは生きているのか? 世紀の大発見だぞ!」


「何があるのか分からん、一旦退避するぞ!」


「いや、他の国に取られる前に確保すべきだ!」


調査隊の中でも意見が割れるが、粉を吸い込んだ調査隊の隊員に変化が訪れたため息を飲む。


「な、なんだ? 体が銀色の胞子で包まれていく?」


「か、体の自由が効かない! 誰か、助けてくれ!」


助けてくれと言われても、初めて見るその現象に対応できるものは誰も居なかった。そして、みるみるうちにその隊員の全身が銀色に包まれる。


全身を覆うものは鎧にも見えるが、頭部はほぼ口だけであった。


「変身か……? おい、大丈夫か?」


銀色の鎧になった隊員に不用意に近づいた隊員は、一瞬後には頭部を喰われていた。


「うわあぁぁ! 逃げろ、逃げろ!」


隊員たちは散り散りに逃げ出すが、そのうちの何人かは隕石から伸びた蔓に掴まり、残りは銀色の鎧になった隊員に襲われ、殺された。


蔓に掴まった隊員たちも、顔に粉を吹きかけられ、銀色の鎧に覆われていく。そして、それらは隕石を持ち上げると、どこかへと去っていった。


「かはっ、はぁ、はぁ、俺は、こんなところで死にたくない!」


調査隊の隊長は、致命傷を受けてはいたがまだ生きていた。隊長は、唯一銀色の鎧に抵抗し、一欠けら程度ではあったがその鎧に傷をつけていた。


「なんなんだ、これは」


何の気なしに掴んだその欠片は、固いかと思っていたが、キノコの様に柔軟であった。そして、あの銀色の鎧に包まれた隊員を思い出す。


銀色の鎧に包まれた隊員は、逃げた隊員を殺して回った後、元の隊員の姿に戻っていた。ただ、表情は何かに乗っ取られたかのように虚ろではあったが。


「ここで死ぬくらいなら、化物に成ってでも生き延びてやる」


隊長は、その欠片を口に運ぶ。まるで無味なエリンギを食べているような感触であったが、胃の中に入ると異変が起こった。


「ぐああぁぁぁ!!」


胃の中に入った欠片は、自身が溶かされる感覚に恐怖を覚え、暴れた。それと同時に、隊長にテレパシーを送る。


(やめて、殺さないで、殺さないで。あなたの命、助ける、殺さないで)


隊長は、激しい異物感によって、喉の奥に指を突っ込むと、無理やり欠片を吐き出した。吐き出された欠片は、隊長の傷口を塞ぐ。溶かされる恐怖と、実際に溶かされてしまった事による変異によって欠片は隊長に従順になっていた。


「これは、本当に俺の体なのか?」


隊長は、自身の体に、何か別の器官が出来た違和感を覚えた。全身に張り巡らされた欠片によって、隊長は超人的な力を得る事出来ていた。そして、全身を銀色の鎧で包むことも自分の意思で行う事が出来ていた。鎧で包まれている間は、さっき以上の超人的な力と、山の寒さすら感じない防寒性を発揮していた。さらに、超能力ともいえる力すらもたらされていた。


それから数年の月日が経ち、地球では散発的に異形の銀色の鎧に襲われる事件が発生していた。そして、それに対抗するために作られた騎士団があった。その隊長は、元調査隊の隊長である。







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