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29/62

29 その頃、王都では

■■■王様視点


 勇者アシュレイがルミナス村に住む若干十二歳の子供に惚れたという情報が入った。まさかの事態に王宮に激震が走っている。しかも神殿から入手したかなり精度の高い情報とのこと。


「どうなっているのだ宰相。勇者アシュレイは少女愛好者だったのか!?」


「道理でテレシア姫の猛アタックにもなびかないはずでございます」


 テレシアは我が娘の中でもとびっきりに美しい姫だ。テレシアもアシュレイに好意を抱いていただけに二人の結婚を楽しみにしていたというのに。まったくテレシアは何をやっているのだ。我が娘の中で一番歳が若いのもテレシア。テレシアがもう少し若ければ可能性はあったのだろうか……。いや、何としてでも二人を結婚させなければならない。


「勇者ともあろう者が村の小娘などにほだされおって」


「勇者アシュレイですが、最近では冒険者を辞めたいなどとギルドで話しているようです」


「そんなことは断じて許さん。王宮からの指名依頼で、ルミナス村に近づけさせないようにするのだ」


「もちろんでございます王様」


「それで、アシュレイは今どこにいるのだ」


「そ、それが……ルミナス村でございます」


「宰相、お前は何をしている!?」


「申し訳ございません。件のミルフィリッタ教会の除幕式で挨拶をすることになっておりまして……」


「それぐらいのこと他の者に変更できなかったのかっ!」


「申し訳ございません。勇者アシュレイが小娘に惚れる前に決まっていた行事でして、剣聖も賢者も里帰りしている今、しがらみのない者で他に代わりとなる者がおりませんでした」


「ちっ……。それで、その、どうなのだ。その小娘の反応とやらは?」


「は、はい。神殿からの情報では全く興味を持っていないとのことでございます。どちらかと言えば勇者アシュレイは嫌われているのではないかと」


「ほほう。それは唯一の救いじゃな」


「誠にございます。それでなのですが、その小娘に金を渡して勇者アシュレイをこっぴどく振ってもらおうかと考えております。傷心のところにテレシア姫を向かわせれば上手くいくかと」


「なるほど。悪くはないが……そうだな。それならばその小娘を殺せばいい。惚れた小娘が死ねば勇者アシュレイも目が覚めるのではないか。ふむ、どうせなら目の前で殺した方がインパクトがあっていいだろう。傷心の男を手懐けるぐらいはテレシアも心得ておる」


「勇者の前で殺すとなるとかなりハードルが上がりますな。滞在期間はあと三日でございます」


「そうか。ならばその三日の間に手を打てばいい。ちょうど闇ギルドにA級の奴らが戻ってきていただろう。こういうのは手慣れた奴に任せた方が上手くいく。いいか、神殿には気取られるなよ。あいつらは金を生み出すルミナス村にご執心だからな。こういう話は嫌がるだろう、観光地というのはイメージが大切らしいからな」


 闇ギルドは犯罪者やその予備軍の者達で構成された組織。罪を重ね一般的な冒険者ギルドでは仕事をさせてもらえない者の集まりだ。表立っては仕事にありつけない奴らだが、こういう汚れ仕事を頼む場合には役に立つ。


「か、かしこまりました」


 勇者は強いが倒そうと思えば方法はいくらでもある。例えば惚れた少女を人質にとって身動きを封じるとかな。


 勇者絡みの案件で王宮が動いていることを知られるわけにはいかない。勇者の血は是が非でも王家に残さなければならぬ。優れた血は重ねることで絶大な力となって還ってくる。


 これは平和な国を作るために必要なこと。その為ならば勇者が好意を持った者など全て殺せばいい。お前にはテレシアしかいないのだよ、勇者アシュレイ。

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