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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
異界召喚編
20/83

第十九話 その名は治神

女神の目の前に、幾多の異界者が召喚される。

彼らは皆驚いた表情をして、何が起きているのか理解出来ていないようであった。


「あの──」


集団転移(マステレポート)!」


そして、それらを全員転移させる。

瞬時に彼ら約二十名が世界各地へ飛ばされた。どこへ飛ばされたのかは女神も把握はしていない。


それは、女神にとっての保険であった。


もし我々が負けてしまっても、彼らを転移させておけば良いと思ったからだ。


彼らの無事こそ、女神の願い。

そして、そこで女神は口を開き、疑問に思っていたことを問う。


「……あなた達は、何なの…?」


「……この国に住んでるものからしたら、あなたの様なヤツを放ってはおけないと思うけど」


「……そういうことじゃない……それだけの理由なら、こんなに感じるはずが無い」


「何を?」


「────悪意を」


「は?」


「あなた達からは、感じる。この上ない悪意を。この世の掃き溜めのような悪意を。憎悪の権化のような悪意を──」


「何を言うかと思えば世迷言か…」


エーデルガンドの一人が言う。


「貴様は、どんな理由であれ、我らがエーデルガンドの一人を殺めた。この罪から何人も逃れることは出来ないぞ」


「…何なの?この執念は……」


女神は言う。


「そうね。まぁ、あなたの本質は悪ではないのかもしれない。でもあなたが善と思ってした行動も、私からしたら悪になるかもしれない」


「?」


「まぁ、正確には私ではなく、彼の私怨なのだけれど」


アルペは遠くを見て言う。


「復讐かしらね……まぁ、悪意のある」


「……ふん」


女神は諦めた様な声を出して、瓦礫の上にへたりこんだ。


「……やっと諦めたか。阿呆め。はは」


エーデルガンドの一人がそう言って近づいて──


「馬鹿」


アルペが押しとどめる。


「あなた達感じないの?この女は諦めてなんかいないわよ」


「……こ、れは」


彼らは感じる。

この上ない、天上の殺意を。


天上の装備に身を包んだ女神は嗤う。


「きしゃァァァ!」


奇声を上げながら、エーデルガンドの一人に、天上の剣で斬りかかる。


「そんな大振りの技当たるわけが──」


空間転移(スペーステレポート)!!」


アルペが慌ててその一人を転移させる。


「…アルペ殿、一体何を?」


「……今の攻撃、何かやばいわ。言葉にはできないけど、恐らく神族しか使えない何か」


「何か……って」


「来るわよ!」


目を紅く光らせた女神は彼らを捉える。


「……ッッ!?」


アルペは両手で口元を押さえる。


「……アルペ殿?」


押さえた両手から血が漏れ出る。

どうやら、鼻血のようだ。


「…な」


「分か、らない……不可視の、攻撃?」


神聖騎士団の加護ブレスオブホーリーナイト!」


アルペを囲うように、一メートル四方の空間が展開される。


それは、神聖騎士団の加護ブレスオブホーリーナイト。効果は、一メートル四方の空間に対象を保護するというもの。

内からの攻撃などは一切干渉できないが、外からの攻撃も完全遮断するというもの。


かなり汎用性が高いが、一部の高レベルな魔法使いしか使えない魔法だ。


だからこそ、最高位騎士、エーデルガンド。


すぐさまアルペを保護する。


「治癒は自分で頼みます…私は、女神と剣戟してきましょう」


アルペは思った。

今の女神と一騎打ち、或いは剣戟で立ち向かうのは到底不可能、というより勝てないと。


女神が纏った装備は全て一級品。対してエーデルガンド達のもつ武器はせいぜい三級、高くて二級程度のものでしかない。


故に、波状攻撃を仕掛けても、確実に勝てるとは言い難い。


と、そんなことを思いつつ、アルペは己に治癒の魔法をかけると同時に、どんな攻撃をされたのか、探知する。


上級治癒(グレーターヒール)傷跡解明(スカーアナライズ)


アルペの出血が止まる。


「……ん?これは、女神の赤眼(ゴッデスレッドアイズ)による効果…?」


女神の瞳(ゴッドアイズ)は人間種全般に対して、弱体化(デバフ)系の効果を発動させるというものだが、この女神の赤眼(ゴッデスレッドアイズ)はあらゆる種族に対して効くらしい。


効果は、出血、嘔吐、一部種族は石化、魔力吸収。


などらしいが。


「……お前たち…行くぞ…ッッ!」


エーデルガンドの一人が呼びかけ、それに呼応するように、彼らは一人一人動き出す。


それぞれ役割が、まるで最初から決まっているように。


神格化(ゴッズ)した彼らの攻撃は、全てが女神に通用する。


故に、彼らには、彼らなりの自信があるのだろう。


爆裂(エクスプロージョン)


女神へ爆裂魔法が炸裂し、爆風と、赤き炎が王都の中心に、竜巻のように舞う。


「…加速(アクセラレータ)…!」


そして、一人が加速しながらその炎の中へ行く。


武器強化(ウェポンストロング)


また一人は、武器を強化しながら突入する。


一人はそれを眺める。


計四人となったが、上手く連携がとれているようだ。


褒めるべき点であろうか。


だがしかし──


「──!?」


竜巻の中から二人が吹き飛ばされる。


「ぐぼはっ!?」


炎の竜巻は消え去る。

中から、なんら変わっていない、天上の鎧を纏った女神が出てくる。


「あの鎧、硬すぎんだろ…」


四人の気力は、かなり下がった。

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