第十一話 ランク
「…ふむ、あなたはBランクと言う所かしら」
慎吾はBランクと告げられる。
「び、Bランクって、そんな…え?S、A、B、C、Dの順で?」
「当然でしょう。はい、これとこれ」
慎吾は強引に二つの荷物を渡される。
慎吾は袋の中身を確認する。あったのはよく分からない武器らしきもの一つと、ランプだった。
「何に使うんだこれ……?」
ランク毎に人を分けて与えるものを変えている。日本では考えられないのとだろう。しかし異世界なら普通なのかもしれない…と慎吾は考え方を前向きにした。
女神に与えられたランクをそれぞれ分けると──
Cランク
伊藤緑
加藤亜紀
清水亮太
緑谷紳助
戸部真奈
次いでBランク。一番多い。
Bランク
安藤棘男
峰連
飯島正義
柘植あかり
高橋あゆみ
宮田慎吾
七条和也
田中慎介
次いでAランク。
天野朱雀
女子生徒。
慎吾の印象は、ほぼない。また、たった一人だけである。
Sランク。
輝翔哉
最上圭一
橋口京子
忍浅葱
佐々木真也
そして。
SSランク。
伊藤徹
の、計二十名である。
「まぁ、ランクをどういう基準でつけたかは知らないが、おそらく才能的なやつなんだろうなー…今の実力が違うとは流石に思えないが…」
慎吾は徹に耳打ちすると、それを見透かしたように女神が言った。
「…このランク付けですが、既に今現在、ランクCとSでは天と地の差があります」
「…」
慎吾はそこで、唐突に疑問を持った。それは単純なものであった。
慎吾は女神に質問をする。
「すみません、女神様、何故俺達は普通に会話が通じるのでしょうか?」
「ん?…あぁ、それは私にだけ通じるのです」
女神はどうでもいい事のように言った。まるでたまたま思い出した、だけど意味の無い事のように。
「…え?」
「まず、わたくしはあなた方を召喚しました。あなた方はおそらく召喚のルールを分かっていないと思うので、説明しますが、そもそも召喚された者は召喚した者に本来なら完全従属しなければなりません。しかし、今回は例外それがありません。しかし、あと一つの方は適応されたようですが」
「あと一つの方?」
「ええ。えー、召喚のルールでですね、召喚した者と召喚された者は会話が通じるようになるのですよ」
気だるそうに女神は言う。
「なので、恐らく国外で話が通じる者はいません。頑張って言語を学んでください」
────。
静寂が、訪れる。
「なんだよ…その絶望の追加情報は……」
「質問は以上ですか?ならば、ここからはわたくしが話させてもらいますが…まず、あなたたちのこれからについて──」
女神が、Cランクの方を向いて、ニィ、と微笑んだ。
◇
「くっ、失敗か…」
ブラッドは荘厳な神殿のようなものの前に召喚される。そこは、ラディア国の王宮から数キロ離れた場所に位置する。
「犯罪者四人組は?」
「えっへへ、呼びました?ブラッド様…」
「はぁ」
いつ逃げ出すかわからないので、ブラッドは四人を監視していた。
「しかし、面倒なことになったのは、事実であろう?」
最高位騎士のデレウスがそう言う。
「あぁ。異界召喚がかなってしまった。由々しき事態…っていうかうん。まぁ、面倒くさいことになった」
「ふーん。で、どーすんの?」
(ぐ……)
反耳長族のアルペの言葉が重い。
「どうする、か。とりあえず今から攻め込んでも恐らく返り討ちにあうだけだからな」
(女神と熾天使それぞれ単騎ならば可能性はあったんだがな…)
「?というか上位天使は来なかったのか?」
ブラッドは犯罪者四人組に聞く。
「いや、来ませんでしたぜぇ」
「熾天使王が魔力を使いすぎたんでしょ」
ブラッドより少し背が低いくらいのアルペは、ブラッドを見上げる形でそう言う。
「魔力の残滓から、どんな魔法が使われたかくらいなんとなく解るだろ?」
「えぇ、神話には聞いたことがあったけど、まさか実在するとはね」
「なんだ?」
「恐らく、Lv11魔法、時間停止。」
「…時間、停止?」
「えぇ、あと、あの王宮を囲っている光の柱のバリア。あれは、光柱の天盤。これは、Lv10魔法」
人類の魔法限界値はLv7までと言われている。
ほか種族を含めていくと、魔法に長ける耳長族がだいたいLv9、反耳長族だとちょうどLv10くらいか。
これが、何故か、こと天使族、悪魔族、神族だけはLvに限界が無い。当然、ブラッドはLv7までの魔法しか使えないようになっている。
「とにかく、どうすんの?」
「また、立て直して攻め入るしかない。が、次は向こうも待ち構えているからな。正面切って挑めるくらいの戦力を整えないといけない…」
「ふーん、じゃあそれまでは、何が召喚されたかくらい拝みますかねェ?」
「…超強い猛獣とかだったりして…」
「可能性もなくはない。かの、龍王でも、生物最強、液状生物には大苦戦したらしいからな。国が二つ滅んだとかなんとか」
「たしかに私も液状生物にだけは会いたくないわね。あれは獄門と同じだわ…」
アルペがおぞましいという顔をする。
「まぁ、一旦戦力の補給の為に紅炎帝国に行こうと思うのだが」
「いいんじゃないか?」
デレウスが言うが──
「少なくとも、何を召喚したか見てからにしない?もしかしたら女神がやられているかも」
「まぁ、特殊な事例だからありえるか」
「それに、帝国に行くということはこの国を一旦でも捨てるという事よ?」
一応はブラッドの生まれ育った故郷である。
「ふん。ここに大した思い出はない」
「あっそ!」
アルペは少し逆上して、どこかに行く。
「…」
ブラッドは思い出す。
そういえば、と。
アルペと、出会ったのは、いつだっただろうか。
この戦果の中、そんなことを考え始めた。




