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ヲタッカーズ15 あんまりなアンマリィ

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!


聖都の危機にアキバのCharlie's angels

"ヲタッカーズ"が立ち上がる!

オトナのジュブナイル第15話です。


今回は"リアルの裂け目"から襲来した特異生物が防衛組織司令官の大叔母さんに寄生し意識不明にw


大叔母さんの意識が迷い込んだ不思議な蒸気の世界で、彼女が超古代にスーパーヒロインだった事が判明しますが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 あんまりな夢


大雷雨の中、無言でそびえる摩天楼。


その頂上にある大アキバ空中港を目掛けて上海からの旅客飛行船が慎重に接近スル。

風雨強まる中、サーチライトを浴びつつ鮮やかに回頭し、乗組員が(もやい)を投げて着桟。


直ちにタラップがかけられ、男も女も強風に帽子を押さえながら下船が始まるが…真っ先に下船して来たのは担架に乗せられた女子←


「空の旅は如何でございましたか?アンマリィお嬢様」

「貴女は…誰なの?」

「オボローナ。看護担当の人造人間でございます」


アキバは、全てが蒸気機関で動く機械都市。


「ココは何処なの?」

「汎アジア同盟の首都、大アキバ市。大丈夫です。熱が下がれば全て落ち着きますわ。お着替えなさいますか?」

「え?貴女の着ているのは…上海でママが着てた服ね?何処でソレを?」

「お可哀想に。コロナの高熱で怖い夢を御覧になったに違いないわ。でも、もう大丈夫です。ココはアンマリィ様の祖国(ホーム)でございますから」

「ココは…秋葉原なの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、嵐は嵐でも"太陽嵐"が吹き荒れてる中で、大混乱に陥っているジャドー司令部w


「史上最悪の太陽嵐が発生中!ジャドー全ステーション、コンディションレッド!」

「衛星軌道上のコンピューター衛星"シドレ"を地球の影に隠せ!高密度プラズマの太陽風が来るぞ!」

CME(コロナ質量放出)が通過するまで無線封鎖スル!よろしいですね?レイカ司令官」


ところが、当の司令官は、プライベートのスマホをイジりながら浮かない顔をしているw


「司令官!無線封鎖しますが?」

「え?あ、ROG(了解)!"死海ダイバー"は今、何処かしら?」

「東京湾内に侵入しました。浦賀水道にて"死海1"発進待機中。デフコン4」


華麗なコスモルックに身を包み、紫ウィッグをキメてるレイカ司令官はフト声を落とす…


「あ、やっと電話が通じたわ…ミユリさん、朝から大叔母さんと連絡が取れないの」

「え?でも、太陽嵐で朝から携帯の電波が乱れてるから…」

「もしかして、私を避けてるのカモ。ミユリさん、ちょっちホテルまで見て来てくれない?ホラ、貴女は大叔母さんのお気に入りだから」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


突如開いた"リアルの裂け目"からアキバを護る秘密組織ジャドーのレイカ司令官は沈着冷静…だが大叔母さんには頭が上がらないw


「でも、その大叔母さんの定宿が、貴方が支配人をやってるホテル"24"で助かったわ」

「…」

「レイカさんが、一晩中電話しても出ないらしいの。特に変なニュース報道もないみたいだけど…何か嫌な予感もするわ」


知り合いだけど、恐ろしく無口な支配人と共にメイド服のママ、居室に急ぐミユリさん。

彼女は御屋敷(メイドバー)のメイド長なので…相変わらず無口な支配人がマスターキーでドアを開く。


「ああっ!何てコト?!」

「…」

「大丈夫。息はあるわ。救急車、大至急!」


大叔母さんは、ガウン姿で大の字になって床にノビてるが、その胸にピザが置いてアル?

ん?ピザ?違う!生物だ!触るとグチャグチャする円盤が大叔母さんの胸に吸い付いて…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「意識なし!謎の有機体、恐らく"リアルの裂け目"から来たと思われる生物が胴体に吸着!」

「あら?貴女は…民間人?ココで何してるの?」

「付き添いです!」


ホテルが呼んだ救急車は、病院や神田消防(アキバファイア)に逝かズにパーツ通りへ向かう。

ソコには、とあるゲーセンの地下深く秘密裡に作られたジャドー司令部が…


「ココは、極秘施設だぞ。ヲタクは出てけ!」

「え?あ、メイド服だったわw殺さないで、ダメ、ゼッタイ」

「ベイビーメタル?そー言えばメイド服がゴスだが」←

「コレはTO(トップヲタク)の好みで…ソレより大叔母さんのコト、救ってあげて!」

「元よりそのつもりだ。おい!この民間人の記憶を消して基地の外へ追い出せ!」


かくしてムーンライトセレナーダー変身前でメイド服のミユリさんは基地外追放となる。

ソコへ、レイカ司令官が駆け付けるが、タッチの差でミユリさんとはスレ違ってしまう。


「え?民間人が?保安対策の再チェックが必要ね…で、容体は?」

「刺激に対する反応ナシ。脳波は正常。恐らく、本人は特異生物に取り憑かれてるコトに気づいてナイと思われます」

「ソレにしても…この特異生物は何?」

「…知ってそうな女がいますが」


捕虜収容エリアの責任者が意見を具申スル。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部の独房No.19。


「あら?レイカ司令官?会いに来てくれたのは…もしかして、初めてかしら?」

「私を怒らせないで、ラズゥ博士。今度は気味悪い生き物に私の大叔母さんを襲わせたわね?」

「ホメられて光栄だけど、何の話かサッパリわからないわ」

「忠告します。私に協力なさい。貴女が黒幕ね?どーなの?え?どーなの?」


興奮したレイカ司令官がマッドサイエンティストに食ってかかり、部下に引き離される。


「おやめください、司令官!彼女は如才ナイ女です。関わっていれば、その内に自分から話すハズ」

「フン。アンタみたいなセキュリティに助けられるとはね」

「おい。お前が黒幕なら、今度は司令官を1人でココへ寄越すぞ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夜のアキバを謎の車列が走り抜ける。


人類(にほんあし)は、私達の狙いを知らないわ。計画は進めるけど、今は太陽嵐で電波障害が出てる。ネットワークが落ち着くのを待ちたいの」

「気が滅入る。で、スーパーヒロイン対策はどーなの?」

「今回ソレは大丈夫」

「何をしたの?アンマリィに危害は加えるなと言ったハズ」

「ソレは厳守してる。彼女は今、最高に幸せな気分を味わってるわ。だって、願望が全てかなってルンだから」

「…もしや"黒ジャンキー"を使ったの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、ジャドー司令部メディカルエリア。


「チタン合金製のアームです。コレで、胸に吸着してる特異生物を除去します」

「患者を固縛。特異生物の除去を開始!」

「…心拍数、急上昇!」


巨大なロボットアームで大叔母さんの胸に取り憑いた特異生物の引き剥がしを試みるが…


「危険です。緊急停止!」

「構わナイわ!出力を上げて。一気に引き剥がして!」

「骨髄レベルまで完全に寄生されてます。力ずくで引き離せば…患者は死にます!」


第2章 蒸気の国のアンマリィ


再び、蒸気機関で世界が動く不思議な世界。


「ガソリンもディーゼルも無い世界。空には飛行船が飛んでるwありえないわ。現実に帰らなきゃ」

「落ち着いて、アンマリィ」

「太陽が赤い!そして、私のスーパーヒロインとしてのパワーも消えた…」

「あのね。気候が温暖化してナイから太陽は赤いの。現在の大気中CO2濃度は…」

「誰かが私の記憶を利用して、人類の未来を操ろうとしている。あの天使のオブジェ。私が8歳の時、ママに作った。翼がうまく作れなかったけど」

「いいえ。貴女のママは完璧だと言って喜んでいたわ。貴女を愛してるから」

「あ、ママ!ママは、いつも私を褒めてくれたわょね?いつもそうだった。うれしかったな」

「でしょ?ホラ、コレは現実ょ?」

「でも、上海を立つ前に、ママにお別れを言って、秋葉原を守ると約束したの。ママと抱き合った。ホントは、離れたくなかった。あの日から、ズッと元の生活に戻るコトを夢見てたわ…こうなった原因を探り、突き止めて私は家に帰る」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


大叔母さんの胸から特異生物を剥ぎ取り損ねて意気消沈のジャドー司令部。

市ヶ谷(防衛省)からのホットラインを切って、異様に長い溜息をつくレイカ司令官。


「宇宙作戦群のマイン将軍からお呼び出しだわ。大叔母さんが大変な時に、平気なフリって結構キツいカモ」

「司令官にとってジャドーは人生ソノモノだからね。僕達が貴女の仕事を守らないと」

「ありがと、テリィたん。最近、宇宙作戦群と予算をめぐってギクシャクしてるの。実はテリィたんの会社のプロジェクトが絡んでるンだけど…」


あ、僕は昼は第3新東京電力のサラリーマンなんだけど最近関わってるプロジェクトは…


「え?まさか、衛星絡みの話?僕のトコロには、太平洋の向こう側から、お金やら金髪やらがヤタラと飛んで来るンだけど…」

「その誘惑はダメ、ゼッタイでしょ!日本人なら襟を正して!ってかミユリさんは知ってるの?」

「あっ」


げ!そー逝えば話してなかったwミユリさんの永遠のライバルは、金髪、巨乳、床上手←


「ほーら、やっぱりテリィたんはスキだらけナンだから…ってソンなコトより!"リアルの裂け目"の監視には、衛星回線が必要不可欠ょ。復旧を急いで」

「司令官!お怒りはわかりますが、太陽嵐はやり過ごす以外に方策がありません!」

「お黙り!貴官は営倉行きっ!」


とても司令部要員の手に生えないw


彼女は、ジャドーやアキバに貢献してきた。僕達には司令官の居場所を守る責任がある。


で、どーしたら良い?


「司令官。僕達に何か出来るコトは無いか?」

「ありがと、テリィたん。貴方は全く役に立たないケド、でも…ミユリさん!私のフリしてマイン将軍に会って来てくれない?ホラ、貴女ってコスプレで鍛えてるから、変装は得意でしょ?」

「え、私?コスプレって変装じゃ無いし…」

「同じょ!で、マイン将軍は油断のならない古狸なの。ミユリさん、親父転がしの経験は?」

「一応、アキバで永くメイド長をやってるから、ヲタクのアシライなら何とか…」

「OK!貴女なら出来る!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


市ヶ谷の宇宙作戦群HQ。


衛兵が居並ぶ厳重な警戒の中をフラフラと歩くヤタラと頼りなげなレイカ司令官?

いや、実はバイオマスクを被ったミユリさんで…マイン将軍に逢いに逝くトコロw


「おぉ。やっとレイカ司令官の御姿を見られて感激だょ。今や君はヒーローだからな。いや、ヒロインか」

「将軍、御用件は?」

「地球上のあらゆる経済活動と人々を脅かしている太陽嵐の中、ワザワザお運び頂き光栄だ」


皮肉屋の将軍の前でミユリさんは直立不動w


「その皮肉は、もー伺いました。もっと具体的に話をしてくだされば、将軍の防衛省内での評判も良くなるのでは?」

「率直な意見を言ってくれて嬉しいょ。貴官は、今まで本当の自分を隠してたのだな?でも、今日ハッキリ見えた。貴官の本性がな。では、予め言っておく。本日は…例の衛星の件だ。覚悟せょ」


ミユリさんは、今やトレードマークとなったとも言われている?長い&長い溜息をつく。


「やれやれ。毎夜のヲタク相手の方が遥かに楽だわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


さて、思いがけズ肩の荷が下りたレイカ司令官は、ますます絶好調になって吠えまくるw


「あの特異生物の正体は何?どの次元?どの星の生き物なの?」

「司令官、あらゆるデータベースに当たりましたが、全て該当ナシで情報がありません」

「大叔母さんが苦しんでるのに打つ手がナイなんて!何とかしなさい。大叔母さんは、私を頼りにしてるの」

「ソンナに大切な方なのですか?」

「最初から良い姪になるのは無理だった。以前の私は、大叔母さんがうとましかった。彼女は、少し変わっていて、親戚の集まりでもいつも浮いてたわ。でも、今では私の大事な大叔母さん。そして、私を必要としている。だからお願い。誰か、大叔母さんを助ける方法を教えて」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その肝心の大叔母さんは蒸気な世界にいるw


「ナゼ私はこんなトコロに?」

「何も問題ないわ。アンマリィ、貴女は自分の家にいるのょ」

「いいえ。ココは私の家じゃない。家は…私の家は…秋葉原にある」

「山手線で何駅もの彼方にある原始的な街よ?ねぇ貴方?」

「そうだょアンマリィ」

「パパ?!そ、そんなハズない。コレって、絶対に現実じゃナイわ!」

「あぁアンマリィ。またコロナ性の発熱だね?お前は、このダイニングで良く遊んだ。このイスの傷は、お前ががつけた傷だ。ウッカリ転んで…」

「でも、転んだ後で立ち上がった。アンマリィ、貴女は強い子ょ」


ソコへ最悪の役者が加わる。


「アンマリィ!」

「えっ?ああっ…貴方は!」

「このカプセルトイ、開かないンだょ?開けられる?アンマリィ」


渡されたカプセルを難なく開けてみせる。

その瞬間、初恋の甘酸っぱい匂いがして…


「ホラ開いたわ。もぉ甘えっ子ナンだから」

「ありがと!御覧ょアンマリィ。とても綺麗な夕焼けだょ!」

「ええ。とても」


大叔母さんが恋する乙女の顔になって、ウットリ見上げる空には、月が7つ浮かんでいるw


第3章 赤いケープマントの魔法使い


その時、ジャドー司令部の空気が揺らぐ!


「お、お前は?!」

「次元魔法使いオボローナ。"リアルの裂け目"より現れし者」

「何?捕まえろ!」


忽然と現れた真っ黒なフード付きケープマントの女子は…確かに一目瞭然に魔法使いだw

司令部のセキュリティが電波銃や熱線銃を抜き一斉に飛びかかる寸前で…時間が止まる。


全てのモノがピクリとも動かズ完全静止w


その中で、レイカ司令官だけが素早い動きで拳銃(ベレッタナノ)を抜くや弾倉が空になるまで連射スル。

弾丸は、真っ黒なケープマントに次々と命中するがオボローナ?の高笑いは止まらない。


レイカはアンクレットに隠したナイフで切りつけるが壁に叩きつけられ首を絞められる。

ケープマントを翻す瞬間"中"がチラ見えたら真紅のブラ&パンティで思わずブラボー←


「アンマリィのために来た。話を聞け」

「大叔母さんを殺そうとしてるくせに」

「アンマリィには借りがある。今、彼女を襲ってるのは異次元の寄生生物"黒ジャンキー

"だ」

「え?大叔母さんは、意識はナイけど、脳波は活発なママなのょ?」

「だから!今、リアルな幻覚を見ている。彼女が望む理想の暮らしだ。そして、その夢はどんどん現実味を増して特異点を過ぎると…もうリアルに戻れなくなる」

「廃人?まるでヲタクじゃない。目覚めさせるには?」

「夢の中で本人が拒否するしかナイ」

「夢の中にいると知らないのに?」

「方法を教えるわ。私を信じて」

「モチロン信じられない」

「信じなかったクロマニヨンは、種が滅んだけど?」

「クロマニヨン?」

「ねぇ。憎しみで耳を閉ざさないで。聞く気はある?どうなの?私は"姉"とは違うわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「司令官が大叔母さんの夢の中に?ダメです!医師団として許可出来ません!」

「コレしか方法が無いの。私が大叔母さんの意識の中に入って夢を拒むように説得するわ」

「罠でしょソレ?」


再び、時間が動き出したジャドー司令部。

全員が無謀な司令官を止めようと必死だ。


「その方法で患者が受ける影響はどーなんですか?天国から引き戻されルンですょ?トラウマじゃ済まないでしょ?」

「だから…せめて目覚めた時は、テリィたんに側にいて欲しい」

「この民間人を?…わ、わかりました。しかし、保安上の問題が…」

「構いません。もともとヲタッカーズとは民間軍事会社(PMC)に準じた契約がアル。テリィたんにも適用を」

「良いのですね」

「モチロンょ。ミユリさんも呼び戻さなきゃ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、当のミユリさんは、古狸マイン将軍を相手に軍服コスプレで四苦八苦している。


「将軍、お話が。私のせいで心理的苦痛を受けたのなら謝罪の準備があります。私もまた苦しんでいますが」

「おや?ジャドー司令官辞職のスピーチか?」

「いいえ。関係がギクシャクしてるので、ココは少々お休みをいただいて…」

待て(ホールドオン)。録音するから…」

「正直に申し上げます。私は、心から残念に思っています。将軍のコトは尊敬してますし傷つける気はなかった」

「レイカ。女の君を司令官にした時、何が1番大事だと話した?」

「実は腐女子だとバレるな?」

「違う。仕事に涙を持ち込むな、だ。嘘泣きに至っては言語道断。そんなサル芝居で私を騙せると思ったか?無理だ。まぁ良い。今日はもぅ帰れ。うぅ胃液が逆流してきた…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部メディカルセンター。


"黒ジャンキー"に取り憑かれた大叔母さん

のベッドサイドに専門家集団が集められる。


「ミユリさんは?」

「未だ戻らない。とりあえず、コッチの問題に集中ょ。準備はOK?」

「司令官、患者との意識の融合は初の試みです。技術的なハードルが高い上に十分な時間がない」

「恐らく、今回の魔法使い?は太陽嵐を予測する技術を持ち、その予測を踏まえてアキバ攻略のタイミングを計っている。しかも、動きがステルス。どうやら、姉がいて姉妹らしいが、ココらで一打逆転スル必要がアル」

「ソレで私を呼んだのね?テリィたん」

「ラズゥ博士、力を貸してくれ」

「お返しは?例えば…早期釈放とか」

「無理」

「では、炭酸飲料とネット動画のセット」

「わかった。今なら初月無料だし…繰り返す。我等幼き人類は"リアルの裂け目"から来た魔法使いの姉妹より攻撃を受けている。この姉妹は、人類共通の敵ナンだ」

「で、私にどうしろと?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"リアルの裂け目"の異次元空間では、姉妹の魔法使いが弟子を集め檄を飛ばしている。


「悠久の時を経て"リアルの裂け目"より再びリアル秋葉原へ攻め込む時が来た!前回、我等を退けたアンマリィは、既に無力化してある」

「超古代に成し遂げられなかった偉業を、今こそ我等が達成スル。攻撃の準備を」

「えぃえぃおぉー!」


超古代にも侵略に来たせいか、ヤタラと古風な鬨の声を上げ続々と弟子が出撃して逝く。

見下ろす赤いケープマントはふたつ。やはり次元魔法使いオボローナは姉妹だったのだ。


「オボローナ妹ょ。さっきはどこへ行ってたのか?」

「え?オボローナ姉、私に詰問?」

「コレから人類(にほんあし)と戦おうと言う時、黙って姿を消した。だから、あえて詰問スルのだ」

「私に何を聞きたいの?」

人類(にほんあし)と戦う気はアルのか?」

「この計画が完了すれば、人類(にほんあし)はオボローナ姉の前に跪き、青き地球は救われるでありましょう」

「オボローナ妹ょ。人類(にほんあし)に寝返ったかと思った。疑ったコトを許してくれ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジャドー司令部メディカルエリア。


「テリィたん。お願いがアルの」

「え?何?キスする?」

「バカ…司令部のみんなは、私に何かあればリアルに引き戻そうとするわ。でも、ソレを貴方が止めて。私は、大叔母さんと一緒でないと戻らない。OK?」


ソコへヤタラとコードやアンテナの出っ張ったヘッドギアを持参しラズゥ博士が現れる。


「テリィたん、やっと完成したわ!このヘッドギアを装着すれば、大叔母さんと意識がつながり、頭の中で起きているコトが共有出来る。さぁ!大叔母さんの意思で悪魔の世界を拒否させるのよっ!」


ウムを逝わせズにレイカ司令官の頭にヘッドギアを装着するラズゥ博士。うーん強引だw

でも、うっかりココで躊躇うと僕が被らされかねないから、その強引さにソッと後押し←


「レイカ司令官。必ず戻って来てくれ。人類には君が必要だ」

「ROG。だから、テリィたんも約束を守って」

「うん。で、ラズゥ博士。うまく逝くの?」


すると、彼女は逝う。


「さあね。じゃ…良い夢を」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕は、ジャドー司令部に要員を集める。


「太陽嵐で回線が遮断している。しかし、どんな動きでも捉えたい。魔法使いと弟子達の次の動きは、大体想像がつく。衛星回線が使えない間に、人類の技術を利用して攻撃して来るハズだ」

「なるほど。興味深い御意見です。全員で探ります」

「僕は、メディカルエリアで司令官達の側にいる。司令官の不在中にアキバを守り切ればレイカ司令官は喜ぶぞ!」

「おおっ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


全く同時刻?の悪魔なパラレル蒸気世界。

大叔母さんは蒸気家族に囲まれ幸せそうw


「さっきもアンマリィに会いに誰かが訪ねて来たわ」

「待って。今は、私のリアル彼が訪ねて来てるのょ?」

「そうだった。君は良い青年だ。私も気にいった。君も同じ気持ちだろう。私達家族は、いつも一緒だ」

「パパ」


ココでストーリィは突然に始まるw


「大叔母さん!」


蒸気な家族が一斉に振り向く先にレイカ。


「どなた?」

「私です。レイカ。貴女の姪」

「私の知人にヲタクはいないわ」

「"黒ジャンキー"と言う特異生物が大叔母さんに幻覚を見せてるの。さぁ(ホーム)に帰りましょう」

「私の(ホーム)はココょ。消えて」


大叔母さんは、蒸気家族とうなずき合うや、天使のオブジェでレイカ司令官を殴り倒す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


間違いなく同時刻(次元は違うけど)。

ジャドー司令部メディカルセンター。


「引き戻せ!司令官が激しく痙攣!心拍低下!」

「残念だ、テリィたん。運がなかったな」

「未だだ。邪魔するなょ馬鹿野郎」


ドクターのコメカミに拳銃(ワルサーP38)を押し付ける僕。

セキュリティーが一斉に短機関銃(サイレンサー付MP5)を構える。


「ヤルわね、テリィたん。コレは見モノだわ」

「手伝えょラズゥ博士」

「テリィたん。我々医師団には、司令官を守る義務と責任がある」

「僕もまた、司令官命令で動いてる」

「何だと?」

「司令官は、こーなるコトを予測して、僕に貴方達を止めるよう頼ンだンだ」

「私も司令官を救いたい。何としても」

「そうでしょう。でも、大叔母さんを救う機会を奪ったら、司令官から一生恨まれますょ?」

「患者を見殺しには出来ません」

「ソレは医者の思い上がり。司令官は、ヲタクだ。ヤルと決めたら廃人になるまでのめり込む。僕達は、必ず次のステージに進む。信じるべきです」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、悪夢の中では既に蒸気な裁判中だw


「異次元から来たスパイに判決を言い渡す。蒸気による蒸し殺しによる死刑!」

「大叔母さん!私が極刑になったら終わりょ!私達は殺されるわ!」

「アンマリィ、惑わされるな!これでまた、私達家族は平穏に暮らせるのだぞ」

「ダメょ大叔母さん!この蒸気な家族は、私の言葉を恐れて話を遮ってる。嘘で混乱させる気ょ!」


被告席?から絶叫するレイカ。


「真実を思い出して。人生は完璧じゃない。辛い日々もある。ヲタクは特にね。大きな犠牲を払い、多くを失い、家族にも愛想をつかされた。誰かが止めてくれればと思ってもコレは現実じゃない。心の奥で気づいてるハズょ。今後も痛みはつきまとうの。でも…その痛みは人を成長させ、大叔母さんをスーパーヒロインにしたわ」


蒸気な守衛が一斉にレイカに襲いかかり、被告席から引き摺り下ろす。

だが、レイカはモミクチャにされながらも決して語りかけを止めない。


「苦しんでるヲタクを救うために、貴女は闘ってる!」


両手両足を掴まれ床に引き倒されるレイカ。


「覚えてるハズょ。どうか思い出して。お願い!秋葉原には、スーパーヒロインが必要なの!」

「スーパーヒロイン?私が?」

「そうよっ!テリィたんやヲタッカーズのみんなが待ってる!一緒に秋葉原に帰ろ?アンマリィ大叔母様、後は貴女が自分で決めるしかないのっ!」


殴られても蹴られても繰り返し叫ぶレイカ。


「お願い!秋葉原に帰って来て!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


手術台の上でガバッと起き上がるレイカ。


「私を引き戻したの?バカ!どうして?止めてって頼んだでしょ!テリィたんの役立たズ!」

「止めたょ!」

「あと少しで大叔母さんは戻って来れたのに!なぜ途中で…」


手術台で泣き叫ぶレイカを囲むのはセキュリティに取り押さえられた僕とヘッドギアを手に茫然と立つラズゥ博士。そして医師団だ。


「…レイカ。成功したょ。君は大叔母さんを説得出来たンだ。ホラ」


取り押さえられてる僕が、辛うじて指差す隣の手術台で大叔母さんの胸をスルリと離れた"黒ジャンキー"がタコのように床を這う。


「わ!逃すな!」

「この野郎!」

「喰らえ!」


セキュリティ全員が口々に叫び僕を放置し、電波銃や音波銃や光線銃や擲弾筒やロケット弾を次々と発射、室内は大噴煙に包まれる。


さらに、誰が呼んだのか最後に火炎放射器が入室して来て跡形も無く完璧に焼き払うw

うーんアレが全部僕に撃ち込まれるハズだったのかと思うと思わず背筋がゾッとして…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「こちらコンピューター衛星"シドレ"です。秋葉原全域の衛星回線の走査を終了。Cバンドの周波数帯に極秘の通信記録を発見。送信者の車列は、目下、地下アイドル通りを北上中。ブルーのレッドの3」


衛星軌道上のスーパーコンピューターからの報告にジャドー司令部は第1級非常態勢だ。


「おい!"シドレ"は、太陽嵐を避け地球の裏側に避難してたンじゃナイのか?」

「ソレが…自律コマンドで勝手に静止軌道に割り込み、全衛星回線をハッキングして発信者を突き止めたンだw」

「"シドレ"のプログラムが、レイカ司令官の危機を察知して、司令部の命令を無視して勝手に走査したのか?…おい!俺達もコンピューターに負けてられないぞ!ジャドー特殊部隊、全力出撃(アルファストライク)!」


アキバの夜空に続々と武装ヘリが飛び立つ!


第4章 姉妹タッグの魔法使い


衛星放送の中継車みたいなパラボラアンテナを背負った車の前後を真っ黒なSUVで固めた謎の車列が真夜中のアキバを疾駆している。


「グラマラスウェイトレスからスキニーシェフ。お客は席を予約した」

「ROG。オーブンに火を入れる」

「支払いはカード。繰り返す、支払いはカード」


車列の先頭車が地下アイドル通りを左折スルや真正面から消防のハシゴ車が突っ込んで来て車列を遮断、パラボラ車の前に立ち塞がるw


襲撃時のお約束でパラボラ車はスピードを落とさズにハシゴ車の横腹に突っ込んで大破。

後続のSUVはハンドルを切り損ねて横転、火花を散らしながら路上をゴロゴロと転がる!


「GO GO GO!」


上空から舞い降りた武装ヘリがホバリングして完全武装のジャドー特殊部隊を吐き出す。

銃を乱射しつつパラボラ車に取り付いた隊員がドアをこじ開け閃光手榴弾を投げ入れる。


パラボラ車の全ての窓が光る!


特殊部隊が突入…ん?押し返されてる?何?彼等を押し返すように車内からワラワラと…

ありゃ?タータンチェックのアイドルグループが踊りながら続々出て来て…延々続々と…


「いったい何人出て来るンだ?そもそも、あの車の中ってソンなに広いのか…ま、まさか?あの車はターディスの親戚か?」

「現時点で148個体を確認!し、しかし!あのダンスは、何処かで見たよーな…」

「"恋せぬフォーチュンクッキー"だwとゆーコトは彼女達は…"下り坂148(ワンフォーティエイト)"?!」


数を頼みに踊りまくる国民的アイドルグループだ!紅白で姿が見えないと思ったら、こんなトコロに!赤穂浪士より100人も多いょw


魔法使いの弟子達がアイドルグループに扮しMVそのママに踊り狂っている。

一旦は突入したジャドーの特殊部隊も押し返されパラボラ車に近づけない。


「見ょオボローナ妹!ヲタクを持ってヲタクを制す!」

「見事な作戦ですオボローナ姉!このママ一気に秋葉原を我が手中に!」

「そうはさせないわ!」


パラボラ車の上に立ち高笑いスル黒いケープマントのオボローナ姉妹w

ソコへビルの谷間を縫うように飛び抜ける妖精とロケット兵!おおっ…


ヲタッカーズのエアリ&マリレだ!


そして、ふたりに抱き抱えられ、颯爽とパラボラ車に飛び降りたのは…

ミユリさん変身!黒ビキニにニーハイのムーンライトセレナーダーだ!


「何?お前達もスーパーヒロインなのか?秋葉原のヒロインは、アンマリィを最後に絶えたかと…」

「私達は、アキバのヲタクの進化形"ヲタッカーズ"ょ。この街は、私達の故郷(ホーム)。だから、私達が守ります!」

「こしゃくな!アンマリィも私達姉妹を止めようとして失敗したのだぞ!それっ!」


パラボラ車の上でファイティングポーズを取るムーンライトセレナーダー!

オボローナ姉妹もケープマントを投げ捨てると…おぉ真紅のランジェリーw


「オボローナ妹、先ず時間を止めょ!然る後にこのヒロインを2人がかりで仕留めようぞ!」

「御意、オボローナ姉!ソレッ!」

「ああぁ何コレ?!」


オボローナ妹が指を鳴らすと、時間が凍りつき、あらゆるモノが完全に静止!

地下アイドル通りに溢れてたアイドルグループも特殊部隊もヲタッカーズもw


「何?みんなに何をしたの?うぐっ」

「時間を止めたのさ。次はお前を始末してやる!」

「ホラホラ、ボディがガラ空きだょ!」


驚くミユリさんの背後から姉がフルネルソンをキメて、素早く前に回った妹が腹パンチ!

反則姉妹の合体攻撃に必殺技の電撃ポーズが取れズにサンドバッグ状態で息も絶え絶えw


「ふ、ふたり攻撃なんて卑怯ょ!」

「勝てば良いの!ローリングソバットを喰らいな!」

「ぐげっ…テ、テリィ様…」


その時、僕はジャドーの特殊部隊と一緒にアイドルグループに囲まれニヤニヤしてたが…

なぶり殺しに遭ってる"推し"の苦悶の声にフト我に帰ると…あれ?僕は静止してナイ?


「ミユリさん!そのママだ!動かないで!」

「はい!テリィ様!」

「え?零距離射撃だと?!ダメ、ゼッタイ!」


アイドルに鼻の下を伸ばしたママ静止してる特殊部隊員のパンツァーファウストを拝借w

実は撃つのは初めてだけど、説明書き通りに照準器を立てて後方確認、発射姿勢をとる。


ん?対悪魔祓い用成形炸薬弾頭だと…?


凄まじいロケット噴流を上げながら弾頭が飛んで逝く!

その先には真紅のブラ&パンティ姿の魔法使いの姉妹w


その唇が動く…え?お姉さんはアッチ?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


結局、僕はオボローナ妹を撃っちゃったみたいだけど、まぁ、その、ゴメンな、妹w

ドチラにせょ、ジャドーの特殊弾頭は姉妹を退けはしたが、退治スルには至らない。


だから、いつかまた僕達は、あのオボローナ姉妹と相まみえるコトがアリそうだ。

でも、その時には、姉妹の時間静止は愛する者には効かないコトを覚えておこう。


「レイカ。私を蒸気な夢から引き戻してくれてありがと」

「オボローナ妹が教えてくれたの。だから、大叔母さんの夢の中に飛び込めた。でも、なぜ彼女は私達に?」

「私は、あの妹には超古代で闘った時に貸しがあるの。ソレにしても…葛藤は闘う者の宿命ね」


僕達は、蒸気の国からの生還を果たした大叔母さんアンマリィのベッドサイドに集まる。


「みんなに話しておきたくて。私が見た夢のコト」

「もう良いのでは?」

「いいえ。話さなきゃ。モチロン、秋葉原は好きょ。ただ、最近私は寂しさも感じてた。秋葉原に来たばかりの頃みたいに。だから、当時と同じ夢を見た。夢から戻って来たのはヲタクが大好きだから。みんなは家族。そう実感したわ。やっぱり秋葉原(ホーム)が1番だって」


僕は、頃合いを見計らい…宣言スル。


「アンマリィ大叔母さんのヲタク度はレベルアップした。僕達は最高のヲタクだ」

「えぇ。もぅ超最高のヲタクね」

「じゃ…餃子パーティだ!」


新々勝楼は、一見何処にでもアル街中華ナンだが、鉄板焼きの棒餃子が恐ろしくウマい。

僕が、隠し持ってた餃子のラップを取るとパッと病室一杯にニンニクの匂いが広がって…



おしまい

今回は海外ドラマでよくモチーフになる"夢の世界に迷い込むヒロイン"を軸に、黒幕の次元魔法使いの姉妹、実際に迷い込む大叔母さん、その蒸気な家族、魔法使いの弟子、防衛組織特殊部隊などが登場しました。


海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、2回目のコロナ宣言発出に揺れる秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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