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「でじゃ、なぜ仏丸を連れてきたのかと言うとな・・・?
ちょっと待っとれ」
博士はボックスに近づき、ボックスの内側のタッチパネルをいじりだした。
「何やってんだ?」
「まぁ見とれ。あとちょっとじゃから」
博士がなにかの入力を終えるとボックスはプシューっという音と煙を出して
『入力確認。ターゲットの顔登録OK。保存。読み込み開始』
と、Siriのような機械的音声を発した。
・・・ターゲットって何?
死の予感。
「博士・・・。何のためにこれ作ったの?」
「ん?あぁ、目的か?
そうじゃな、最初はラブドールのつもりで作り始めたんじゃがやっているうちに楽しくなってきてしもうての~。
プログラムを細かく設定しているうちに、これは恋愛シミレーションロボットとして売ったら莫大な儲けに繋がると思ったわけじゃ」
つまり性欲を火種に物欲が暴走したと。
死んでしまえ。
「でじゃ、まず彼女ができない仏丸に試作品として使っていただこうと思ったわけじゃ。
クリスマスじゃしちょうどいいじゃろう」
俺に被験者になれと?
「おい、先に言っとくけど俺は使う気ねえぞ?」
いくら可愛くても名前に数字が入ってるような生命体ですらないロボットを好きになれるわけがない。
興味がないと言えば嘘になるが、好奇心と恋愛感情は全く別物だし、何より、俺は人間の彼女が欲しいのだ。
「ん?何を言っておる。もう仏丸をターゲットにプログラム設定しちゃったから、今更変えるのはもう無理じゃ」
「は!?なんでだよ!んなもん入力し直せばいいだろ!」
「はっはっは。一度ターゲットを決めるとその人間以外がPX108を壊そうとしたり改造・強姦しようとしたりすると電圧108万ボルトの電撃を無意識に出すからワシにももういじれん。ボックスも一回キリしか使えなくしてあるしの。ゲームなんじゃからあんまり何度も使えたらつまらんじゃろ?」
いやいやいや後からバグの修正もできない試作機とかありえないから。
なんか正論みたいなこと抜かしてるが全然納得できん。
そもそもターゲットってなんだ!恋愛シミレーションで俺がターゲットで、それを変えられないって・・・。
・・・え?
「じ、じゃあもう俺は一生こいつと・・・。」
「いや、もちろんあくまでもリアルなゲームとして作ったからクリアさえすれば――」
「あ・・あの。割って入ってごめんなさい。この亀甲縛り・・ほどいていただいてもよろしいでしょうか?」
声かわいっ。




