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「博士・・・これ、何の機械だったわけ?」
コリンを消した謎の装置を指さして博士に問う。
「これは意識のみを『精神と時の部屋』に飛ばす異次元転送装置じゃよ。どうやら体ごと送ってしまったようじゃな。・・・じゃから部屋の物には触るなと言ったのに。初めて入ったからといって調子に乗りおって。タダ飯食らいの疫病神め」
言いすぎだろ。てかあいつも入るの初めてだったのかよ。私物に触るなとかさっき言ってなかったか?
なんだかすごく可哀想に思えてきた。
「そんなことよりもこっちのボックスじゃ?」
人を一人消しておいて『そんなことより』はないだろジジイ。
まあコリンから博士に話を振ることはあってもその逆は見たことがないな。
もしまたあいつに会う事があったら施設を勧めておこう。
「で、このボックスはなんなんだ?今みたいに触れたら消えちゃった、なんてのはごめんだぜ?」
メガネみたいに気付いたら異次元だった、なんてのだけはマジで勘弁してもらいたい。
「安心せい。
こっちはなるべく最善の状態で起動するように処置しておいた。
とにかくボックスを開けてみればわかるわい」
なるべくってなんだ!!
・・まあ、乗り掛かった舟ということもあるし、今更引き返すということはないが実際に何の説明もない装置に触るというのは気が引ける。
だが人間とは不思議なもので、危険なものや、正体不明のものを前にするとそれを暴きたくなってくる。
恐怖と好奇心の相乗効果で内心ドキドキしながら、ボックス正面についているドアを勢いよく開けた。




