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「いや、姉ちゃん。実はちょっと話があるんだけど」
「何よ話って。ご飯できてるんだから早く入りなさいよ。今日はハヤシライ・・・って、え!?
その女の子誰!?とうとう彼女できたの!?てか可愛すぎ!!てか何故ブルマ!?あ、いくら払った!?」
・・・。
振り返ると後ろで背伸びをしながらみさきのいる廊下を懸命に覗こうとしている『それ』がいた。
可愛らしい仕草に少しドキッとしてしまった。
「可愛いだなんてそんな・・・。
あ、私はこの度仏丸さんの彼女になったPX108と申します。
お会いできて光栄です」
え、何勝手に恋人にしてんの?
「ぴ・・ぴーえっくす?
変わった名前ね・・・」
「・・・・・まあ、なんつーか。説明すると長いからとりあえず中入れていい?」
「・・・?
うん、じゃあお飲み物入れるわね。あ、あんたちゃんと靴揃えなさいよ?」
「はいはい、わかってるって」
ったくもー。と呟きながらみさきはキッチンへと向かっていった。
やれやれ、一体姉ちゃんになんて説明していいのやら。
というかこの状況を俺自身がまだ理解していない。
頭の中を一旦整理したいところだ。
はーーーっ・・とため息をつきながら靴を脱いでみさきに言われた通りに靴を揃えていると
『それ』はトントンと肩を叩いて話しかける。
「仏丸さん仏丸さん!」
「なんだよ」
「お姉様はとても綺麗な方ですね」
「そんな事ないだろ。別に普通だよ」
よく自分の兄妹は全く可愛く見えないという話を聞くが、俺の場合はそうでも無い。
むしろ美人すぎるために美の要素をほぼ全て奴に吸収されたと根に持っている。
が、それを口に出して言えるほどオープンな性格では無いのだ。
だがブスとは死んでも言えない。1度言って死にかけた事があるからな。
「私たちもう家族公認ですね?」
何が?
「これで気兼ねなく夜中、声を我慢せずに済みますね」
恐らく夜の営みの話をしているのだろう。
100歩譲って仮にそうなったとしても家族がいて気兼ねなく声出すって頭湧いてんのかコイツ。
ニヤニヤと笑みを浮かべながら『それ』は玄関に上がり靴を整えて軽く会釈をし、リビングに入っていった。
仏丸と『それ』が部屋の中央にあるコタツに座ると間もなくしてみさきがお茶を持って現れる。
「はいこれ。粗茶だけどおいしいわ」
「サンキュ」
「あ、ありがとうございます」
みさきもお茶をテーブルに置くとそのまま急いでコタツに入った。
「それで?レンタル彼女っていくらするわけ?」




