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ニコイチート~チート持ちとニコイチで異世界転生させられたので、手探りで冒険します~  作者: 桐山じゃろ
後日譚

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187/219

ボディーガード3/3



「どうだ?」

「ドアの向こうで二人が揉めてます」

「会話の内容は分からないか」

「掻い摘むと、やるかやらないかって話ですね」


 ハリダは命を狙われている。首謀者は先王派の人間たちだ。

 恥ずかしいぐらいバレバレな相手の策略を、少年王は逆手に取ることにした。

 ところが、国内に信用できる人間が少なく、自分の命を守るだけで手一杯だ。元を断つためには駒が足りない。

 困っていたところへジュノ国から結婚式への招待が届いた。

「祝い事を利用することについては、大変申し訳無いと思っているのだが……ジュノ王もタルダ殿も、君まで揃って人が良すぎる」

 僕が先王にされたことは、他の国にも伝わっている。特にオーカやイーシオンには、会う機会を得るなり愚痴った。

 それがジュノ王やタルダさんにも伝わっていた。

 ハリダに手を貸すのは、先王とその一派をなんとかしたい人たちの総意だ。

 だから皆、ハリダのヘルプ要請に殆ど無償で応えることにした。

 人が良いというのは、そのことを言ってる。

 少なくとも僕は打算で動いているから、違うと思う。 


「君にかかれば、どんな企みも筒抜けだな」

 中学生に重々しい口調で話しかけられると、微笑ましい。

 今まで会ってきた年若い王様たちは、年齢相応の雰囲気を纏っていた。しかしハリダには、老齢な王の風格と威厳がある、というのがヴェイグの印象だ。

 僕から見たら中学生なんだけどなぁ。

「普段はこんなことしませんから、企まれていても分からないです」

 中学生とはいえ王様だし、頑張って威厳を出そうとしてるのにこちらが子供扱いするのは失礼だから、僕もなるべく丁寧語で話す。気をつけないと、うっかりタメ口になりそうだ。


 このあと僕がやることは、ほぼ決まっている。

 護衛が冒険者一人になったところへ乗り込んでくるであろう暗殺者をとっ捕まえる。以上だ。



 客室から外へ出た側近さん二人の会話はすぐに途切れた。

 最後の会話は「いかに伝説(レジェンド)と言えど所詮は人間ひとり。寝込みを襲えば取るに足らない」だそうです。

 残念、僕にはヴェイグがいるから厳密にひとりじゃない。

〝そういう意味ではない〟

 ヴェイグの突っ込みがよくわからない。

 側近さんの会話をハリダに伝えると、寝たふりをすることになった。


 寝る場所は打ち合わせ通り、ハリダがベッドの上、僕はその横のソファーで座ったままだ。

 座ったまま寝る術は高校時代に身に着けてある。一晩中ってのは始めてたけど、どうせ寝たふりだ。今の僕なら本当に寝ても大丈夫。


 僕とハリダがわざと寝息をたてると、部屋のドアが音もなく開いた。足音すら殺した人間がひとり、音もなく僕に近づく。

 僕を先に消すつもりなのだろう。


 頸動脈を正確に狙った刃物を、短剣で止めた。

「!?」

 相手が驚いたと同時に、相手の手首を捻って身体を押さえつけた。

「アルハ殿、怪我は」

「ありません」

 ハリダも起き上がって、僕が抑えている男を見下ろす。

「……お前も我が父の手先になっていたのか」

 冷たい声は、悲しそうでもあった。

 暗殺者は顔をしかめ、そのまま舌を噛もうとしたから、ヴェイグの睡眠魔法で眠ってもらった。

「ありがとう、アルハ殿。後はこちらで処理させる」

 別の側近さん達に暗殺者を委ねて、僕の護衛の仕事は終了した。




 一旦エイブン国へ戻ってから、ジュノ国へ到着した。

 エイブン国王ハリダ一行はジュノ国王へ挨拶にいく前に、僕は彼らと別れてトイサーチへ帰った。

 今回、僕がハリダの護衛をした事は、オーカとイーシオンには内緒だ。僕がそうしてほしいと頼む前に、タルダさんから「私とジュノ国王は同意見です」とお願いされた。お祝いに水を差したくない気持ちはみんな一緒だ。


 オーカとイーシオンに内緒にするためには、あまり多くの人にこの話をしないほうがいい。僕がトイサーチの家を空けたのは、普通に高難易度の魔物の討伐のためと説明してある。

 家に帰ると、メルノが僕の礼服を完成させてくれていた。

「どうかな」

 早速試着してメルノとマリノの前に立つ。

「アルハ(にい)、かっこいい!」

「ありがとう、マリノ」

 マリノはきゃいきゃいと喜んでくれた。メルノの方は、僕を見上げたまま動かず、言葉も発しない。

「メルノ、変かな?」

 僕が声をかけると、メルノはハッとして、下を向いた。

「すみません、作り直します」

「えっ!? いい出来なのに」

 自分の体をひねって、あちこち確認する。僕の体格に合わせて作ってくれてあるし、ほつれも見当たらない。格式張った服だから普段の服より動きづらいけど、思ったほどじゃない。

 僕が不思議がっていると、メルノは下を向いたまま、殆ど目を閉じた状態になった。


「花婿様より目立ってはいけませんから」


「?」

〝ふっ……っ……。アルハ、少し代わってくれ〟

 ヴェイグが何故か笑いを押し殺している。

「メルノ。婚礼の衣装はもっと荘厳なものだ。この程度なら目立つことはない」

「そ、そうですか。ヴェイグさんがそう仰るなら……」

〝え、何? 何の話?〟

「自覚しろと、いつも言っているだろう」

〝そんな事言われても……〟


 とにかく作り直しの話はなくなり、衣装は完成ということになった。

 あとは式の日を待つのみだ。


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