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募集活動終了

 

 「それで、こいつどうするんだ?」


 ハルがさっきとは一変した素の声でシリアルとイリスに尋ねる。


 「そうですね.......デスリアルさんと戦っていたところだけ見ると、あの方は3人相手は出来ないと言っていましたけど、私達が加わった所で倒せるとは思えないんですよね」


 確かにイリスの言う通りだと思う。それに、PKを許せないっていう動機で戦ってたなら、自分がキルされる覚悟で相打ち狙いぐらいすると思うけど、実際はやらなかった。


 「多分、あの人が私達を過大評価しているのか、勝算を見つけたから機会を改めたのか、どっちかじゃないかな?」


 「それなら勝算を見つけた、という方が納得いきますね。過大評価というか、ただ自分が負けるからと引くタイプにも見えませんでしたし」


 「そうだよね」


 でもそれならそれで問題が残る。その勝算というのが、デスリアルの弱点を見つけられたのか、あるいはデスリアルの強さのカラクリが分かったのか。それが分からないと、また相手するとなった時に厳しい。


 「まぁ、それは後で考えればいいだろ。それより、そろそろ時間ヤバいんじゃないか?」


 「うん。もうそろそろ限界かも」


 PKを始めたのが22時半、そこから約2時間戦って24時半、さらにそこから30分近く過ぎている。

 時間を見ると、午前0時57分。ハルちゃんはもう深夜だって言ってたけど、正直もう日をまたいで翌日のような時間だ。


 デスリアルがここまで他のプレイヤーを圧倒できるのは、ハルちゃんやイリスのバフや常時回復付与があるからで、ハルちゃんが【効果持続】のスキルを始めとした効果時間延長系スキルを重ねがけしてくれているからここまで長く戦えられている。


 それでも、どうやら約2時間半が限界で3時間はもたないみたいだ。


 「それならさっさと倒さないとだな」


 「でも動く気配ありませんね」


 そう。こんなに私たちが話せているのはあのプレイヤーが去って以降、いっこうに()()が動こうとしないからだ。


 「あくまでも足止めが命令だから、直接向こうから危害を加えられないんじゃないかな?」


 「ああ、確かにそうだな。なら、このまま放置しとくか?」


 「うーん。また戻ってきて再利用とかされても面倒だし、倒せるなら今倒しておいていいと思うな」


 「私もそう思いますね」


 「そうだな。なら、やるか」


 ハルはメイン武器である弓をそれに向けて構える。


 「あ、あとあまり喋るなよ。一応確認したけど、同じようなカメラで動画を撮られている可能性とか盗聴系魔法をかけられた可能性があるからな」


 「うん」って言ったつもりで頷く。


 シリアルの返事を確認したハルは、弓を引き力を込め始めた。



 ◇◆◇◆◇


 みんなの活躍もあり、何とかあの怪物を倒すことができた。


 倒せた直後に私にかけられた付与効果が全て解除されたから本当に時間的にギリギリの戦いだった。


 そのあと、私達はいつも集まっていた場所に戻った。


 本当だったら、すぐにでもあれの対策を練るべきなんだろうし、それ以外でも色々と話し合うこともある。だけど、夜1時を過ぎているということと、次の日も学校ということで、話し合いは明日にして今日は解散となった。


 結果的に一週間以上活動してもクランメンバーは一人も集まらなかった。だけど、今後の課題も見つかったし、私たちの連携も取れるようになったから、結果的にやった価値はあったと思う。



 ◆◇◆◇◆


 昼休み。


 葵達は今日も変わらず、三人揃って食堂で昼食を食べていた。


 そして、それも食べ終わり、一息ついた所で葵は昨日の話を振ることにした。


 「えっと、色々話したいこともあるけど、まずはメンバー募集をどうするかだよね」


 八日やってきたけど、挑んでくるプレイヤーの実力はみんな似たり寄ったりで、候補も現れない今の現状をこのまま続けていいのか正直悩ましい。


 「このまま続けていたら、昨日のようにいつかは強いプレイヤーに出会えると思いますが、それがいつになるのかは.......」


 「そうだよね。私は別にそれでもいいんだけど、クランの活動としてはどうかと思うんだよね」


 「終わっていいと思うぞ。今回までの活動で十分名前は広まったわけだから、あとはあっちから勝手に来てくれるだろうからな」


 「なら、募集活動はひとまず終わりってことで。他に話すことは.......」


 「.......昨日のプレイヤーのことですかね」


 「昨日のプレイヤー.......なぁ。正直分かったことと言ったら、悪魔族(デーモン)の種族であろうプレイヤー、口調や雰囲気から恐らく女なんだろうけど、そいつがヤバいモンスターを引き連れているってことぐらいなんだよな」


 ん? あ、そういえばカメラを打ち上げたのはあれが出てきてからで、それまでのいざこざを春ちゃん達は知らないんだ。


 「ええっと、2人には途中からだったからだけど、あのプレイヤーはネクロマンサーの職業で、すごい数の死霊系モンスターを召喚してたんだ」


 「すごい数? どれくらいだ?」


 どれくらい.......。


 「だいたい200.......いやもっとかも」


 「200!? なんかの間違いだろ?」


 「200の死霊系モンスターですか.......確かにすごい数ですね」


 「凄いなんてもんじゃねぇよ。動画投稿してた頃に一人だけネクロマンサーの職業のやつがいたけど、そいつが言うにはネクロマンサーって職業はダークソーサラー、ダークウィザードの最高職二種を取った上で使役者の職業を取得していて始めて解放されるんだ」


 「そうなんだ.......でも、どこの攻略サイトを見ても載ってなかったんだよね」


 「当然といや当然だろ。ネクロマンサーって職業自体が隠し職業(シークレットジョブ)みたいなもんだし、たまたま取得したやつでも取得条件を誰にでも話すやつの方が稀だろうからな」


 「うん」


 でも、ハルちゃんのその知り合いは喋ったんだよね.......。


 「そこからさらにネクロマンサーの職業を取ってから召喚出来るモンスターを増やすのにはスキルレベルを上げる必要があるらしいけど、そこに至るまでにポイントがかかり過ぎてそこに十分に振る余裕がなくなるんだ」


 「では、あのプレイヤーは相当レベルが高いってことなんですかね?」


 「どうなんだろうな。少なくとも、そいつはレベル50程度で一度に召喚出来るモンスターは10体だったな」


 「確かにそれなら200って相当ヤバいね」


 「召喚数にレベルを全振りしているとかそういうことじゃないですかね」


 「召喚モンスターのレベルとか能力にもポイントが振れるとは聞いたな」


 「でも中級プレイヤー程度の強さはあったよ?」


 「なら分かんねぇな」


 「それに加えてあのモンスターですよね?」


 真っ黒の女神のようなモンスターを思い浮かべる。


 「んー.......もしかしたら、あの人も私と同じなのかも」


 「隠し職業(シークレットジョブ)か?」


 「うん。だったら色々と説明もつくかなって」


 「まぁ一番わかりやすいけどな」


 「ですけど、どの道対策は必要ですよね?」


 「そうなんだよね。それにあそこであの人が引いたのも何か考えがあってのことなら、対策してないと次こそ負けることになりそうだし」


 あのプレイヤーの力の理由が隠し職業(シークレットジョブ)なら、必ず弱点があるはず。【神隠し(コンシール)】も完璧なように見えて攻撃する一瞬は解除されるという弱点がある。それを見つけられたら勝算は十分にあると思う。逆に見つけないとどうしようもないんだけど。


 「対策は後々考えておくとして、募集活動をやめるならこれから何するんだ?」


 「んー、特にこれといってやることはないんだよね」


 「でしたら、レベル上げしませんか? 葵ちゃんがデスリアルとしてキルしている間、私と春さんはレベル上げしていましたし、上げておいて損は無いと思うんです」


 「確かに、私たちが強くなればあれにも楽に勝てるかもだよね」


 「それでいいんじゃないか? あ、でも今日は調べたいことがあるから明日から参加するな」


 「うん」


 「分かりました」


 そんなことを話して昼休みは終わった。


 その日のBIOは、理花ちゃんと二人でレベル上げと、久しぶりに平和に過ごした。


 そして次の日、目を覚ましスマホを見ると、春ちゃんから一通のメールが送られてきていた。


ここからちょくちょくレベル上げを始めます。本編にはありませんが、裏でやっています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今日見つけて一気読みしました! PKもの大好きなんでグサリと来ました 次回更新楽しみに待ってます!
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