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PKクランのメンバー募集活動(初日)

 

 「おはよー!」


 廊下ですれ違う生徒と挨拶を交わす。昨日の朝は最悪の気分で、とてもじゃないけど周りに気を遣う余裕なんかなかった。だけど、今はそれと逆でとても気分がいい。


 昨日は春が学校に来てからずっと春と一緒にいて、周りに意識を向けられなかった。でも、それは昨日で終わり。仲のいい知り合いが出来ても、私が完璧でい続けなくてもいい理由にはならない。一緒にいたい子がいるなら、私はこれまで以上に頑張らなければならない。


 教室に入る途端に来る挨拶と好意に応えながら、私は席に着いた。



 ◇◆◇◆◇


 やっと午前の授業が終わった。


 朝は忙しくて理花ちゃんや春とは他の子と同じような挨拶をしただけで、ゆっくり話すような時間はなかった。


 だけど、話さなくちゃいけないこともある。だから、今ぐらい.......昼休みの時間ぐらいは、仲のいい知り合いと過ごしても文句は言われないだろう。


 「春ちゃん! ご飯行こ!」


 四限の終わりの鐘が鳴ると、すぐに立って教室から出ていこうとしていた春を止める。


 「はぁ? なんで私が?」


 「いや、春ちゃん一人でしょ?」


 「だから何だよ。一人なら一人で食べるし」


 一見、断固拒否の態度を貫いているように見える。だけど、本心では誘ってもらって嬉しいのだと、それぐらい目を見ればわかる。けど、有名人の肩書きを失った春の目をしっかり見ようとする人なんかいるはずも無くて――


 「なにあれ。せっかく柏崎さんが誘ってくれてるのに」


 「酷いよね。自分一人だとなんにも出来ないくせに」


 「なんで学校来てんだろ。まだアイドルぶってるとか?」


 そんな心無い声が聞こえてくる。私が聞こえているんだから、当然春も聞こえている。だけど、春は顔色一つ変えていない。


 今何かしてあげたいけど、春が周りを気にしないようにすると決めたんだから、ここで私が余計なことをするのは違うと思う。


 「春ちゃんさ。あの件についても話さなきゃだよね?」


 葵は誰にも聞こえないような声で春の耳元に囁く。


 「あー、まぁそういうことならついて行くよ」


 「うん。ありがとう!」


 よし。これで.......あ、そうだ。


 「ちょっと待ってて」


 春をそこに待たせて、私はもう一人のクランメンバーの所に向かった。


 「理花ちゃん、お昼誰かと食べる?」


 「え、あ.......いえ、いつも一人なので」


 「ならさ。私達と一緒に食べよ!」


 「え.......いいんですか?」


 「勿論っ! 早く早く」


 オドオドする理花ちゃんを急かして、一緒に春の待つ場所に戻る。


 「じゃあ行こっか」


 そして、三人揃った所で教室から出た。


 流石にこの時間の廊下は、食堂や他のクラスに向かう生徒が多く、人口密度が高い。


 「あ」


 見覚えのある人が、食堂に向かう私達を目にそんな声を出した。


 「げっ.......あんたは」


 「あんた? 随分な口ですね。茨木さん」


 丁寧だけど、一部の人達からは高圧的と捉えられる口調。肩までに揃えたサラサラの黒髪。女子生徒の中では高い方の背丈。


 公明正大の言葉がよく似合う彼女は、一年にして生徒会選挙で風紀委員長に選ばれた、私や春と同じくこの学校で知らぬ者はほとんどいない有名人だ。


 「柏崎 葵っ。こいつは私が休みがちだった頃に学校に来いってしつこいぐらい付けて来たストーカーみたいな奴で」


 「ストーカー? 私は、あなたが休みすぎて出席日数が足りず留年になるという最悪の事態を危惧していたんですよ。それをストーカーですか?」


 私に小声で説明していた春の言葉を聞いて、さらに怒っているみたいだ。


 でも、話を聞く限り悪い人じゃないし、違うクラスでも私と接点を持っておこうと近づく生徒が沢山いる中で、これまで私に関わってこなかった彼女は裏のない本当に真面目な人間なんだろう。


 「すみません。あなたは柏崎 葵さんですよね」


 「うん。そうだよ。どうしたの?」


 あれ、私何かしたっけ? 覚えがない。


 「お噂は聞きました。ありがとうございます。あなたのおかげで、茨木さんも更生したみたいです」


 んんん? どういうこと?


 「私が何を言っても変わらなかった不良生徒の茨木さんを変えてくださったこと、本来風紀委員の仕事を代わりにしてくださったこと、私としても風紀委員としてもお礼を言わせてください」


 あー。そういうことか。


 「いいよいいよ別に。そもそも、春ちゃんは元々いい子だしね」


 「うるせぇ」


 「それでも、私としてはとても助かりました。なので、この件に関してはいずれお礼をさせて下さい」


 そう言うとペコりとお辞儀をして、私達と反対方向に歩いて行った。


 別に気にしないんだけど、無理やり押し付けられた感じがする。


 「あの.......昼休み大丈夫ですかね?」


 理花ちゃんが心配そうに尋ねる。


 「あ。早く行こ!」


 早く行かないと食堂の席が埋まってしまう。


 この後、食堂の席に無事座れてゆっくりご飯も食べれた。そして、肝心の夜の打ち合わせも十分に仕上げられた。









【BIO】皆さん、こんばんは。デスリアルです。


 001 BIOから名無し


 どうもデスリアルです。本日22時30分。予告通り、ダンジョン【エルドラ】にて68名、その周辺から32名キルしました。初日ということもあり、私をキルしようとする者も現れず、無防備なプレイヤーばかりで退屈でした。明日のキルを期待しています。



 002 BIOから名無し


 昨日の奴か。



 003 BIOから名無し


 なんかそれっぽいけど、どうなん?




 009 BIOから名無し


 おい。SNS見ろ。実際にキルされた奴らいるぞ!



 010 BIOから名無し


 >>009

 それ見たわ。マジなのか.......



 011 BIOから名無し


 >>009

 それもサクラの可能性あるだろうが。第一エルドラならここにも実際見た奴いるだろ。




 024 BIOから名無し


 >>011

 実際にキルされました。一瞬あの顔が目に入ったと思ったら、次の瞬間にはシボラのポータルに飛ばされてました。




 036 BIOから名無し


 >>024

 こいつデスリアルだろ。他に見たやついないんか。




 045 BIOから名無し


 >>036

 どの道、明日分かること




 051 BIOから名無し


 そもそもデスリアルって何? 本当に一人のプレイヤーが毎日100人もキルなんか出来るのか?



明日も出します。


気になる点がある方は感想でご質問ください。

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