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VSハル リザルト

 

 ハルをキルしてからはあっという間だった。


 既にイリスによって気持ち悪いほどいたプレイヤーのほとんどがリスポーン地点送りにされており、残ったプレイヤーも統率者だったハルを失って戦意を失っていた。


 元々見る専で集まったプレイヤーなんてこの程度なんだろう。それでも、この人数を相手に蹂躙するイリスがおかしいことに変わりはないけど。


 戦意をなくしたプレイヤーを鼻で笑いながら立ち去るイリスに、もはや手を出すようなプレイヤーは一人もおらず、ただ呆然とイリスの後ろを目で追いながら立ち尽くしていた。


 そして、私は【神隠し(コンシール)】を使用してイリスの後を追い、周りに誰もいなくなったことを確認して【神隠し(コンシール)】を解いて、今に至る。


 私は今、イリスの前で絶賛正座中だ。


 「.......シリアルさん。分かってますね?」


 「はい.......イリスさん」


 イリスの目が怖い。怒っているというより、軽蔑しているかのような目で正座している私を見下ろしている。当然だ。私はあの時、理花ちゃんに聞かれた時に「行かない」とそう答えた。それにも関わらず、私は一人で乗り込み、理花ちゃんが助けに来てくれなければ私はリスポーン地点送りにされていた。今の私に何か言う資格なんて無い。


 「なんであの時、私に嘘をついたんですか?」


 「.......すみません。私の勝手にイリスを巻き込むわけにはいかないって思って」


 「シリアルさん、私にゲームでも現実(リアル)でもフレンドだって言ってくれましたよね?」


 「はい.......言いました」


 「あれは嘘だったんですか?」


 「ほ、本心だよ!」


 「なら、一言声をかけて欲しかったです」


 「それはもう.......はい」


 イリスは呆れているのか何も喋らない。謝った方がいい? いや、こうなったのは私のせいだ。もし、イリスが絶交を言い渡しても私に拒否権なんかない。ならイリスの言葉を全て受け入れよう。


 シリアルは覚悟を決めて、落としていた視線を上げ、イリスの顔を見る。呆れていると思っていた。だけど、目の前のイリスは笑っていた。


 「私を思ってのことでしょうからね。責めることなんて出来ませんよ」


 シリアルは胸を撫で下ろした。イリスに絶交されるということはシリアルにとって自分がこれまで培ってきたものを全て壊すことに等しかった。


 自分がこういったゲームをやっている事実。それにのめり込んでいる事実。ゲームとはいえ、3桁を超えるプレイヤーを殺した事実。それに快楽を覚えている事実。


 イリスが許してくれた事は、シリアルにとってとても救いだった。


 そして、そんなことを考えているシリアルの目には、イリスの笑顔の裏に隠れる感情なんて留まるはずもなかった。


 「でも、嘘をついたことは事実ですからね」


 安心しきっていたシリアルは、イリスの一言に肩をビクッとさせる。


 「一つくらいお願いを聞いてくれますよね?」


 シリアルは「ははは.......」と苦笑いした。


 ◇◆◇


 次の日。


 学校に来てみると、男子たちは昨日の話題で持ち切りだった。


 昨日の話題とはつまり「デスリアルがPKクランの一員でそれに上位ランカーであるイリスも加入している」という件と、「ハル率いる100人を超えるプレイヤーパーティがたった2人の手によって壊滅した」という件である。


 特に2つ目の話題はSNSで少し話題になっていたようで、BIOをしていない女子も「調子に乗っていたハルが痛い目にあった」という解釈で知れ渡っていた。


 「茨木さんあれからどうなったんだろう?」


 「あの後、生配信してた動画もすっかり切れてたらしいな」


 「あ、そういや茨木さんが最後に言ってた暴言が切り抜かれて拡散してたよな」


 「あー。流石にあれはなんと言うか.......なあ?」


 「うん。ちょっとね.......」


 「あれはあれで推せるけど」


 男子の話に聞き耳を立てていると、今ハルのネット上での評価が再認識され始めていることが分かった。か弱い少女へのお姫様プレイで売っていた動画投稿者が実は猫被りで本性が露呈した訳である。


 視聴者からは一部を除けば冷められるだろうし、PKクランの話題がなければ炎上していたかもしれない。まぁ、事実今それに近い状態なんだけど。


 昨日の件は私が思っている以上に周りに影響をもたらしているみたいだ。


 少なからず、クラスの雰囲気は変わった。


 ハルを前々から嫌っていた女子たちは因果応報とあからさまに馬鹿にする態度をとっている。


 ハルを囲っていた男子たちは一部を除き、完全に冷めちゃっているみたいだ。それで彼らは次の熱の向け先として私を選んだようで、休憩時間に集まる男子の数がいつもより多かった。単純すぎて少し笑ってしまう。


 そして、当事者であるハルは学校を休んでいた。


 まぁ何となくこうなることは分かっていた。ああなってしまった以上、神格化されていた学校には行きずらいだろうし、これまでの評価が崩れたことによるショックもあるだろう。


 しかし、こうなると少し可哀想に思う。あれだけ鬱陶しくて、正直嫌いだったはずのあの子に、この状況を作った当本人である私が同情しているのだ。人のことを言えない程度に私も単純だ。


投稿期間空いちゃってすみません。明日も投稿しますので是非見てください。


次回が第1章最終話となっております。


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