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幕間 召喚された少女  ー今回、ほとんど出番が無いんだJー

1話だけ幕間を挟みます。


 



 私はようやく・・


 憧れだった女優に・・・


 いや、女優の卵として第一歩を踏み出そうとしていた・・・


 せっかく掴んだチャンスだったのに・・・・


 それなのに・・・


 どうしてこうなったの!?



 確か私は今日、女優になるために忙しくなるから、学校に休校届を出しに行って・・・

 しばらく会えなくなるクラスメイト達と話していたはずなんだけど・・・


 なのに気がつけば私・姫木舞は見知らぬ場所にいた。


 周りには私だけじゃなく、彼もTVに出ていてもおかしくない程に整った顔立ちをしている(スメラギ)正樹くん。

 自信家で行動力のある田中亮太くん。

 私と仲が良く、いつも明るい橘裕子ちゃん。


 そして、あまり話した事はないけど、1人で小説読んでいたり友達とゲームの話をしたりしていた佐々木洋平くんまでもが、この場に佇んでいた。


 彼らも私と一緒で、何がなんだかわからないといった表情を浮かべていた。


 そして最初から周りにいた見た事も無いような服装の人達に、訳もわからないまま促され・・・


 今、私の目の前には、漫画に出てくるようなあからさまに王様だと思われる人物が、これまたあからさまに高級そうな椅子に座りこちらを見ている。


「突然の事で驚いているであろうが、我らが召喚に応じてくれて感謝する。勇者達よ」


 ・・・何を言っているの?

 召喚?応じる?感謝?


 この人の言葉を理解するのに、かなりの時間を要してしまう。


 そして、以前読んだ事のある漫画の中に、こんなシチュエーションが合ったのを思い出した。

 まさか・・・と思いながらも、目の前に広がる現状では、それ以外考えられない。


 それを理解してくる内に、少しだけ腹立たしさを覚える。


 誰もこんな所に来たいなんて、一言も言っていない。

 私には女優になるという夢があるの!


 なのに、勝手に感謝だのなんだのって・・・


 それに・・・勇者!?


 私達全員が!?


 私にはそんな力もないし、そもそも普通勇者って1人だけじゃないの?


 そう思いながらも、目の前の人物の話の続きを待つ。


「おそらく、其方達が感じているだろうが、この世界は其方達のいた世界とは別の世界なのだ。そしてこの場所は、この世界の国の一つ、セントフォール王国の我が王城である。申し遅れたが、私がセントフォール国王のウィリアム・ルーベルトである」


 その後、この世界における情勢や勢力関係、そして私達が呼ばれた理由などが説明されていった。


 要約すると、こういう事らしい。


 基本的に剣と魔法が蔓延る世界だという事。

 街の外には魔物がいて、中には人間を脅かす魔物もいる事。


 人間以外に別の種族もいて、国や領域がある事。

 仲はそれほど良くなく、人間の国同士も含めて互いに牽制しあっている事。


 ただ、今は魔王という脅威が現れた事で、一時的に協力関係になっている事。

 さらに、その背後には悪の集団組織(・・・・・・)“トランプ”が絡んでいるという事。


 トランプという名前だけ聞くと、なんか可愛らしいと思えるけど、どうやらそんな可愛い組織ではないらしい。

 悪逆非道の限りを尽くし、さらには簡単に手を出せない程に強い集団なのだとか。


 だから。魔王と・・・その“トランプ”を倒すのに協力して欲しいとの事だった。


 本当に全部を信じていいのかは疑わしい。

 ある事ない事言って、私達を都合良く使いたいのかもしれない。


 ただ、今は王様の言葉しか情報がないので、いくら疑わしくともそれを信じるしかない。


 ・・・でも、はっきりいってそんな事はどうでもいいと思う。

 それよりも・・・


「突然口を挟み失礼ですが、お話はわかりました。でも、私に戦う力はないし戦いたくもない!そんな事よりも、元の世界に返して!」


 私は元の世界に未練がありすぎる。

 だから、戻りたい一心で段々と強い口調になり、最後は大声で叫んだ。


 だって普通に考えてみても、これは悪質な誘拐だよ!


 私が声を荒げた所を見た事のない裕子ちゃんは、驚いた表情を見せていた。


 私の言葉を聞いた王様は、無礼だとか言う事は無く、ただ顔を沈ませるだけだった。


「・・・それについては、本当にすまない。今は戻す事が出来ないのだ」

「どうして?呼ぶ事が出来たのなら、こちらから送る事だって出来るはずですよね!?」


「・・・送り返す手段は、確かにある」

「だったら!」


「しかし、それを行うには膨大な魔力が必要なのだ。現に君達を呼ぶために、100名以上の魔道士が魔力枯渇により犠牲になっているのだ」

「・・・なんで・・・なんでそこまでして・・・」


「言ったであろう。其方達が必要であったからだ。そのために彼らは自ら進んで犠牲になっていったのだ」

「そんな・・・」


「だが、其方達が魔王を倒し、背後に潜む“トランプ”を壊滅させる事さえ出来れば、魔王が持っているという膨大な魔力を溜め込んだ魔石を手に入れる事が出来る。それさえあれば誰も犠牲にする事無く、其方達を送り返す事も出来るのだ。それに犠牲になった彼らも報われる」

「・・・・・」


 そんな事を言われてしまっては罪悪感が出てくる・・・


 今の話が本当であれ嘘であれ、私達には最初から選択肢が用意されていなかったんだ。


「それと、戦う力がないと言っていたが・・・技術は別として、其方達は世界を渡った時点で、我々を越える力を身につけておるはずなのだ」


 そう言われても実感ないし、どうしようか迷っていた所・・・


「・・・わかりました。俺はやります!その代わり、必ず元の世界に戻してくれる事を約束して下さいますか?」


 と、皇くんが勝手に返事をしてしまった。


「ちょ、ちょっとそんな勝手に・・・」

「大丈夫だよ。俺が絶対に皆を守るから!」


 そういう事ではないんだけど・・・


 皇くんの発言を聞いて、田中くんと裕子ちゃんも乗り気になってしまった。


 ここで私1人が我が儘を言うわけにもいかない。

 仕方が無いので、私も賛同せざるを得なかった。


 その中で、佐々木くんだけが何かニヤニヤと嬉しそうにしていたけど・・・


 それからは話がトントン拍子に進んでいき、最後に私達に付き添ってくれる事になった王女を紹介された。


「私はマリア・ルーベルトと申します。この度は、私共の身勝手な都合により、貴方達を巻き込んでしまった事を深くお詫び申し上げます」


 マリアと名乗った王女は、深々と頭を下げていた。

 彼女は他の人達と違って、本心で話してくれているみたい。


 それよりも、彼女の美しさに目が引かれる。


 それは男子達も同じだったようで、皇くんと田中くんは顔を赤くしながら、ボォーっとした顔をしている。

 佐々木くんは、やはりニヤニヤしていた。


「うわぁ、綺麗な人だねぇ。舞、いいの?皇くんを取られちゃうよ?」

「あの人とはそんなんじゃないから・・・」


「でも、2人はかなり仲がいいじゃん?」

「私は別に普通に仲良くしているだけなんだけど・・・」


 確かに何度も噂になった事はあるらしいけど・・・

 別に皇くんの事は友達としては好きだけど、それ以上は考えた事はない。


 その事はいいとして、私達と接してくれるマリア王女は意外と堅苦しくなかった。

 言葉遣いは丁寧でありながらも気さくな感じで、私達の事を常に気遣ってくれる優しい性格をしていた。


 それは、自分の事は敬称も付けずにマリアと呼んで欲しいと言ってくれた事でもわかる。

 その言葉を素直に受け取り、私達は彼女をマリアと呼ぶ事にした。


 マリアの事は置いといて、その後は今後の事を考える事になる。


 これから戦う事になるのであれば訓練をしないといけない。

 それに色々な知識も身につけないといけない。


 それを考えた時、お城で訓練させるよりも学校に通わせる方が都合いいだろうと考えたらしい。

 それに、時間軸が違うのか、たまたまなのかはわからないけど、丁度入学の時期だという。


 それよりも、お城で訓練した方が早く強くなれるのでは?

 と思ったけど、どうやら同世代がいた方が私達の気も少しは紛れるだろうと、王様が気遣ってくれたみたい。



 そして数日後、入学試験があり見学しても良いと言う事だったので、私達は全員見学させてもらう事にした。


 案内はマリアがしてくれた。



 近くで見ていると受験者が萎縮してしまうかもしれないという事で、離れた場所に移動して見る事になった。


 私は目が悪い方では無いけど、だからといってこんな遠くから見えるのだろうかと疑問に思ったけど、それは杞憂に終わる


 遠視という力で、遙か先まで見る事が出来るようになったらしい。

 そのおかげで、普通なら顔がぼやけそうな距離でも、全員の顔をはっきりと見る事が出来た。


 マリアにはそこまでの力は無いそうなので、お付きの人が魔法を使って見えるようにしていたみたい。


 その中で、どことなく不思議な雰囲気を持った人を見つけ、その人の顔を見た私は固まった。


 綺麗な顔立ちなのに、どこか可愛らしい。

 私達と同世代の子供らしい印象を受けながらも、どこか大人びている。


 異世界にはこんな人もいるんだと、見とれてしまった。


 そのまま見ていると、彼がこっちを向き・・・


 目が合った!?


 と思った次の瞬間には、彼は別の所を見ていた。

 私が見ている事に気がついたのかと、ドキドキしていた。


 この距離で、そんなわけないのに・・・


 そして試験が始まり、その彼が最初に試験を受けるみたい。

 彼の魔法を見て再び固まる。


 どんなすごい魔法を放つのだろうと、わくわくしていたのに、チロチロと可愛らしい火が的に向かっていく。

 正直、拍子抜けしてしまい、そのあまりに可愛らしい炎に笑いそうになってしまった。


 でも、彼が魔法を使うのを見て一つ気がついた。


 彼は詠唱をしていなかった!?


 と驚いたのは、この世界に来てから魔法を使うには詠唱が必要だと、何度も聞かされていたからだ。

 現に、さっきマリアのお付きの人が使った魔法も詠唱をしていた。


 マリア曰く、「無詠唱で魔法が使えるのは、高位の魔術師くらいです」との事。


 でも彼は詠唱を唱えていなかった。


 だから私はマリアに言った。


「あの人は詠唱せずに魔法を使っていたよね?やっぱり無詠唱で魔法が使えるんじゃない」


 正直、詠唱無しで魔法を使えるなら、その方がいい。

 だって、詠唱って何だか恥ずかしくない?


 と思って喜んでいたのだけれど、マリアの反応は(カンバ)しくはなかった。


「いえ、私達の年代で無詠唱魔法を使えるなんてありえません。だからこそ、あのような可愛らしい・・・」


 そこまで言って、マリアは途中で口を閉ざさざるを得なかった。


 チロチロとした火が的に当たった瞬間、ものすごい火柱が立ち上ったのを見て、私達だけでなくマリアもポカーンとしてしまったからだ。


 佐々木くんだけが、「なるほど、確かにそういうのも面白い」とかブツブツ言っていたけど・・・


 さらには、次の子が放った魔法にも驚かされる事になった。


 でも、やっぱりあの子も無詠唱で魔法を使っていたよね?


 とは思いつつも、それ以降の人達は詠唱をして魔法を放っていたのを見ると、あの2人だけが特別なのかな?とも思っていた。


 あの2人以外は、みんな似たような感じで想像通りの魔法だったので、それ以上見る必要はないと考えて次の実技試験が見える場所へと移動する。


 最初の印象と先程の魔法の事もあり、やはり他の誰よりも彼の試合だけが気になるから絶対に見たい。


 見える場所へ着くと、彼は再び最初だったらしくて、ちょうど開始線に着こうとしていた頃だった。

 危なく見逃す所だった。


 試合が始まると、彼の相手がなんだかゆっくりと動いている。

 遊んでいるのかな?とも思ったけど、これも私達が授かった力によるものらしい。


 聞いた所によると思考加速というもので、動体視力や反射神経が上がるというよりは、思考速度が上昇するらしいんだけど・・・


 うん、何言っているのか、さっぱりわからない。


 とにかく、集中するとその状態に出来るらしい。


 それはいいとして、今は試合を見る事にする。


 彼にゆっくりと近づいた相手が、ゆっくりと剣を振り下ろす。

 彼もゆっくり動くんだろうなぁと思っていると、彼は避ける瞬間だけ普通の速度で動いた。


 私は目をこすりながら再び見ると、その時以外は相手の人と同じくらいの速度で動いていた。


 私の目の錯覚かと納得させていたのだが、彼が攻撃に転じたその瞬間。


 相手の人がお腹を押さえて蹲っていった。


 恐らくお腹に一撃いれたのだろうとは思うけど、私にはその攻撃が見えなかった。


 この世界の人の強さはわからないけど、受験者の中では彼は異常に強いのだろう、という事だけはわかった。


 彼が同級生になるのなら、彼に教えて貰えば早く強くなれるのかもしれない。


 そして少しは仲良く・・・


 ううん、違う。

 そうじゃないでしょ、私!


 少しでも早く強くなれば、それだけ帰れる日も近づくんだから。


 だから、彼に教えて貰って・・・


 仲良くなって・・・


 って、だから!!

 何考えてるの私!?


 バカみたいな考えが頭を駆け巡らせている間、裕子ちゃん達が「どうしたの、舞?大丈夫?」と心配してくれていた。


 うん、大丈夫・・・大丈夫、私!!


 と、自分に言い聞かせていた。

 とりあえず、彼が同じクラスになるのを願うばかりであった。



 そして、入学を明日に迎える日の夜。


 5人で集まって、明日から楽しみだの頑張ろうだのと話していると、急に佐々木くんが立ち上がった。


 そして・・・


「俺は学校には行かない。そして、この国を出る」


 と言い出した。

 そして止める間もなく。


「俺は主人公だあああああ!!ひゃっは~~~!!」


 いや、ひゃっは~!とは言わなかったかもしれないけど、でもそんな様な訳のわからない事を、嬉しそうに叫びながら窓の外から出ていった。


 あっけにとられる私達・・・


 ・・・まあ、あの高さから飛んでも、今の私達なら大丈夫らしいけど。


 1人でやっていけるのか心配ではあるけど、止める間もなく自分から行ってしまった訳だし、ただただ彼が無事でいる事を祈るしか出来なかった。



 そして入学日。

 担任の教師に呼ばれ、教室の中に入った私の目に写ったのは・・・・





試験後

ジョーク:「そういや、ジュリーが開けた穴をそのままにしてきちゃったな・・・後で文句言われそうだな」

ジュリー:「大丈夫。文句言ってきた奴を、あの穴に詰めればいい」

ジョーク:「いや、それ全然大丈夫じゃないだろう・・・」

ジュリー:「ううん、大丈夫」

ジョーク:「いや・・・」

ジュリー:「大丈夫!」

ジョーク:「・・・はい」


というやり取りが、あったとかなかったとか。


出番がほとんど無かったので、後書きに登場させました。




お読み頂きありがとうございます。

次回は2,3日後の予定です。

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