第12話 決闘を見守るJ
放課後。
俺の予想通り、決闘が申し込まれた事を教師から伝えられ、今は屋外演習場に来ていた。
そして、俺がジュリーに冗談で言った事が本当に実行され、丸テーブルと椅子6脚、そしてテーブルの上に紅茶が用意されており、俺は溜息を吐きながらも椅子に座って紅茶を嗜んでいた。
勇者達とマリアは、いいのかな?という表情で座るのを躊躇いながらも、俺とジュリーが座るように促すと腰を落ち着けていた。
椅子が足りなくないか?と思ったのだが、それはある意味でジュリーの狙い通りらしく、ジュリーはちゃっかり俺の膝の上に座っている。
「おーおー、実力が無くても勇者様とその腰巾着は、やはり違うねぇ!」
屋外演習場に似つかわしくないこの一角に近づいてきて、皮肉たっぷりに言い放っているのが、剣を抜こうとして俺に止められた男でダイクという名前らしい。
俺は正直、相手の事なんてどうでも良かったので、名前やクラスなんかを知るつもりはなかったのだが、決闘を知らせてくれた教師が逐一教えてくれた。
まあ、その中にマリアもいたからというのが一番の理由だと思うが。
そこでわかったのが、俺のクラスは入試時に実力があると判断された者と、貴族の子息・息女 (要はコネ入学をした者)が比較的多いらしい。
そのため、他のクラスからやっかみを受けやすいという事。
そしてダイクと他の4人 (ラッセル、イーサン、レオパル、キリレンコという名前らしい)は、それなりの実力がありながら、そうした俺達のクラスの陰になっている事を、人一倍妬んでいるようだ。
そこに、あの野外授業。
1年全員が森に入ると、人が多すぎて訓練にならないため、2~3クラス毎に分けて別のエリアで行っていた。
ダイク達はもちろん、俺達とは違うエリアで草原だったようだ。
出てくる魔物のレベルは森とそれ程変わらないが、見晴らしが良い分、かなり難易度は低いのだ。
そして、おそらくダイク達の耳には、俺達が逃げ出した魔物がケルベロスの変異種である事が伝わっていないのだろう。
だからこそ、ダイク達は自分達の基準で物差しを計っている。
そしてそれが、俺達を突くいいネタだと考えていたのだろう。
本当の死を目の当たりにした事のない奴の、典型的な発想である。
そんな考えが出来る時点で、頭の中がなんとも幸せな奴らだろうと、皮肉を言ってくるダイクを見ながら思っていた。
そしてダイクに言葉を返す。
「ああ、まあな。でも別に、特別に許可をもらったわけじゃない。羨ましいと思うなら、お前らも自分達で用意すればいいだろう?」
「ふん!お前達のように、軟弱な事をするつもりはねえよ!」
実際、こんな場所で優雅に紅茶を飲むような奴はいないのだろう。
もちろん、禁止されているわけではない。
現に、この場に来ている立ち会いの教師も注意してきたりはしない。
というか、あれは教師のフリをしているが、紛れもなく騎士だな。
明らかに、教師とはレベルが違う。
おそらく昨日の件で、俺の事で何かあればすぐに軍に知らせるようにでも言われていたのだろう。
一学生が、勇者をも逃がしケルベロスからも逃げ切ったのだ。
そりゃ、警戒しないわけがない。
あとは、勇者の成長具合を見に来たとかだろうな。
他にも幾つかの視線を感じる。
おそらく他にも校内に軍などの関係者が紛れ込んでいるのと、これは生徒だろうと思われるがそれなりに実力がある者。
実力があるとは言っても、今の勇者と同じくらいの強さだが。
まあ、別に見られていた所で困るような事はないけど。
そう思い、溜息を吐きながらダイクへと話しかける。
「はあ・・・だったら余計な事を言ってないで、さっさとやればいいんじゃないか?」
「くっ、この減らず口をっ!!」
こいつらは紅茶の件だけでなく、余計な事に気を取られすぎて大事な事に目を向けていなさすぎるが、別に導いてやる必要はないため、俺も余計な事を言うつもりはない。
むしろ、精々勇者達を育てる糧にでもなってもらおうか。
「・・・ちっ、クソがっ!徹底的に叩き潰してやるから、さっさと来い!!」
舌打ちをして悪態を吐きながら、ダイクは教師に扮した騎士が待っている場所へと向かう。
「ああ、さっきも言ったけど、俺じゃなくて勇者達とマリアがやるからな。・・・と言う事で、ダイクだったな。お前の相手はマサキがやる」
「えっ?やっぱり、俺がやるんだ・・・」
マサキは、俺がやらないとは言いつつも、きっと最初くらいは相手するのだろうと思っていたようで、肩を落としながら開始線へと向かって行った。
しかし、そんな考えは甘い!甘いのだ!
俺は誰がなんと言おうと、やらないと言った事はやらないのだ。
まあ、状況にもよるけど。
ダイクもマサキが開始線に向かったことで、俺に恨みがましい目を向けていたが、そんな事は知らん。
向こうから喧嘩をふっかけてきておいて、全てを相手に会わせる必要などはどこにもない。
と言う事で、こっちはこっちでやりたいようにやるつもりだ。
マサキとダイクが開始線に着くと、2人は模擬剣を抜く。
そして、教師・・・騎士が開始の合図を出す。
しかし、両者は動かない。
というより、ダイクは目の前の勇者を相手に、動く事が出来ないというのが正解だろう。
おそらく、何だかんだと勇者達をバカにはしつつも、自分達よりは強いと感じているのかもしれない。
とはいえ、相手が自分よりも強いのであれば、なおさら動かない方が悪手なんだが・・・
なぜなら、自分よりも強い相手に対して受けに回った所で、防ぎきる事など至難の業だからだ。
だからダイクの行動として正解なのは、適度に動きつつ相手を牽制し、相手の隙を作り出して渾身の一撃を叩き込む事だ。
そうはいっても、ダイクにその技量があるかどうかも問題だし、相手が圧倒的に強かった場合は意味の無い事なのだが。
「いい加減、攻撃してきてくれないかなぁ・・・」
全く攻めてこないダイクに、マサキが困ったように呟く。
マサキ自身も攻撃をする素振りを全く見せない。
いつまでもこの状態のままでは、何も始まらないし終ることもない。
まあ実際の所、マサキが先に攻めればいいだけなんだが、それは出来ない理由がある。
なぜならば、俺が最初は攻撃せずに、しばらく回避・防御に専念しろと言ってあるからだ。
どういう事かというと、そもそも俺は思考加速を使うなと言ってある。
思考加速を使って攻撃を避けた所で、何の訓練にもならないからだ。
いついかなる時でも思考加速が使えるわけでもないし、それに俺やジュリーの様な者を相手にした時、思考加速を上回る攻撃を仕掛けられたら防げない。
不意打ちが、または思考加速を使っても俺達の攻撃が防げないのは、勇者達が最初から思考加速を持ってしまっていたというのが原因である。
本来なら自己を研鑽し、技量を上げたその先に行き着くのが思考加速である。
その者達は、不意打ちや思考加速を越える攻撃を仕掛けられても、絶対ではないが感覚で避ける事が出来たりするのだ。
しかし、最初から思考加速を持ってしまっているが故に、完全に目だけに頼りすぎてしまっているのが今の勇者達である。
その為、目に入らない写らない攻撃には、対処しきれないのだ。
だからこそ、思考加速を使わずに回避・防御に専念させ、相手の魔力の動き・空気の流れ・音などの目以外の感覚で捉えられる様にさせる事が目的だ。
その内、目を瞑ってでも避けられるようになるのが望ましい。
じゃあ、俺が相手をする時にその訓練をやればいいのではと思うだろう。
しかし、俺の周りにはそこまで極端に手加減する必要のある者はいないし、任務でもそこまで手加減をした事などない。
だから俺にとっては、手加減をする事ほど難しいものはないのだ。
要は、大人が子供の力がどのくらいなのかわかったとしても、自分が子供と同じ力に合わせようと思った所で、全く同じ力にする事は出来ないという事。
現に、俺が勇者達を相手にしている時も、かなり手を抜いているのだ。
あれ以上となると、小さい虫を殺さないように指で摘まむ程のさじ加減が必要になってくる。
さすがにそれは面倒くさい。
だったら、勇者達が俺の攻撃程度を簡単に避けられるくらい強くなってもらえばいい。
その為に、先の訓練をするにはダイク達は打って付けだったのだ。
その事を説明してあるマサキからは手を出せない。
だからこそのマサキの発言だったのだが、ダイクには挑発と捉えられたようだ。
ちっ!と舌打ちをすると、「いい気になるなよ!?」と言いながら、ようやくマサキへと向かって駆けだした。
ダイクは剣を横に持ち、マサキへと迫る
初手がわかるような剣の持ち方、普通なら悪手であるのだが、俺は(へぇ~)と一つだけ感心した。
というのも、ダイクは間違い無く初手は横薙ぎに剣を振るうのだろうが、それが避けられることを前提に、次の剣撃の準備もしている。
それは動きを見てわかるのではなく、ダイクの身体の中にある魔力の流れでわかるのだ。
今のダイクには、剣を振るう向きとは逆向きの魔力があるのを感じ取れる。
それは、斬り返しをするという事を意味する。
これを感じ取れるようになれば、相手の2手3手を読むことが出来るのだ。
勇者達には、この程度の事を出来るようになってもらわなければ・・・
と、それはいいとして俺が感心したのは、ダイクが思っていた程の脳筋というか直情型ではなかったという点だ。
だからどうだという事は無いのだが、思っていたよりは勇者達の訓練になりそうで安心する。
ダイクが振るった剣を、マサキは後ろに下がって避けている。
今の場合、切り返しが来る事がわかっていれば、最初の剣を止めるか、避けるのであれば後ろではなく剣を振る向きと同じ方向に回り込む方がいい。
ただ、剣の向きと同じ方向に避けようと思うと、一瞬の判断と瞬発力、そして勇気が必要になるだろう。
だがそれ以前に、マサキの場合は目で見て考えてから動いているため、動きに遅れが出ている結果である。
それ故に、ダイクの最初の横薙ぎに振るう剣を避けて安心している所に、ダイクが更に一歩踏み込んで切り返しをしてきたことに驚き、慌てている様子が窺える。
それでも、切り返しも何とか躱してはいたようだが。
相手の魔力を感じながら戦えと口で言った所で、相当難しい事だというのはわかる。
だからこそ、これは経験していくしかない。
ダイクは剣を躱されても動じることはなく、更に突きを放っている。
それをマサキは、紙一重で身体を捻って躱す。
が、それも悪い躱し方だ。
突きの後には、そのまま切り払いをしてくるだろう。
だから、それこそ後ろに下がった方がいいのだ。
流石に、突きの後の切り払いに焦ったマサキは、なんとか剣で受け止めている。
その状態のまま、ダイクがマサキに言葉を投げかける。
「なんでお前から打ち込んでこないんだ!?」
「そうは言ってもねぇ・・・」
「俺をバカにしてんのか!?」
「いや、そんな事はないんだけどさ・・・」
マサキはちらっと俺の方を見ながら、なんと言っていいのか困っているようだった。
それからも、幾度となくダイクが攻撃を仕掛けて、マサキが避けるという事を続けていた。
まあ、そろそろ頃合いかな・・・
「マサキ!!」
「――っ!」
俺がマサキの名前を呼んだ事で、マサキは俺の言いたい事を理解し攻撃に転じる。
そうなると後は、ダイクは防戦一方。
と言うよりも、防ぐのが精一杯になっている。
それはそうだろう。
勇者として召喚された時点で、普通の者よりも身体能力が上がっているのだから。
ダイク達はそれを知らずして、勇者達をバカにしていたのである。
そして、マサキがダイクの剣を弾き飛ばし、振り下ろした剣を当たる直前で寸止めした所で終了の合図が出る。
立ち会いをしている騎士は、その戦いを見てニヤリと一瞬だけ笑顔を浮かべていた。
おそらく、勇者が着実に成長しているとでも思ったのだろう。
しかし、あんなもので満足しているようでは、魔王になど勝てるはずもない。
俺からすれば、及第点すら与えてやれるものではない。
「くそっ!!」
「・・・・・」
ダイクは悔しそうに、拳を地面に叩きつける。
「マサキ!!」
「――っ!!」
マサキがダイクに手を伸ばし、何かを言おうとしているのを見た俺は、それを止める。
「止めておけ。お前達の世界ではどうだったのかは知らないが、ここでは敗者に情けや同情などの声をかけるべきじゃない。語るのなら戦いの最中、武器を交えた時だ。声ではなく武器・・・剣で語り合い、わかり合えなかったのであればそれまでの事。敗者にかける言葉など、かけられた側からすれば侮辱でしかないぞ」
俺がそう言うと、マサキは伸ばしていた手を引っ込め、少し切なそうな顔をしながら戻ってくる。
まあ、もちろん全部に当てはまる事ではないが、それは今ここで言う必要はないだろう。
どちらにしても今のダイクの様子なら、マサキが声はかけない方がいい。
おそらくマサキは、慰めの言葉をかけるつもりだっただろうから。
マサキが戻ってくると、俺は声をかける。
「まあ、平和な世界から来たのだから、慰めの言葉をかけたい気持ちもわからなくはないけどな。・・・そんな事よりも、マサキは目に頼りすぎだ。もっと、相手の魔力の流れなどを感じ取って動けるようにならないと。これはマリアも含めて全員に言える事だが、目をつぶってでも避けれるようになってもらうからな」
「ははっ・・・手厳しいなぁ」
マサキは乾いた笑いを浮かべながらそう言うが、この程度の事は出来て当たり前である。
これが出来なければいくら強くなった所で、不意打ちや暗殺なんかで殺されるのがオチだ。
戦闘だけに限らず、この世界で長く生きる為には必要な能力なのだ。
俺がマサキと話している間に、ダイクが仲間達の所へ戻っていく。
そして、次に名乗りを上げたのはラッセルだ。
「よし、次はマイ。行ってみようか」
「・・・やっぱり、私もなのね・・・?」
俺がマイを指名すると、マイも軽く溜息を吐きながら諦めたように呟く。
「何言ってるんだ?向こうも5人で、こっちも俺とジュリーを除いて丁度5人いるんだから、全員やるに決まってるだろう?」
何度も言うが、俺は有言実行。
やると言った事はやるし、やらないと言った事はやらないのだ。
マリアを含め勇者達が成長するための機会を与えているのだから、感謝されてもいいくらいだ。
いや、本当に感謝されても、それはそれで困るけど。
マイが渋々開始線へと向かっているのに対し、ラッセルは意気揚々と向かっている。
そして2人が開始線に着くと、立ち会いの騎士により合図が告げられた。
マイもマサキと同様に、しばらく回避に専念し続け、頃合いを見計らって俺が声をかけると攻撃に転じる。
俺が教えている中では、マイが一番魔力感知に優れているので、マサキよりは先読みが出来ているようだ。
最初は余裕ぶっていたラッセルは、いくら攻撃しても当たらないと余裕の顔はなくなり、マイが攻撃に転じると疲れと焦りから全く避ける事が出来ず、マイの勝利で終了した。
その後、イーサンとユウコ、レオパルとリョウタが決闘を行い、内容はほとんど似たような感じでユウコとリョウタが勝利した。
ユウコはマサキとどっこいどっこいといった所か。
リョウタは前よりは自粛したとはいえ、まだ調子に乗っている感があるので、後でシメておかないと。
最後にキリレンコとマリアが決闘をする。
「マリアには、流石に勇者達と同じ条件でやれとは言わない。普通に攻撃を仕掛けてもいいけど、出来るだけ相手の魔力の流れを感じ取りながら、最善だと思われる行動を取るようにやってみるといい。言い換えるなら、先に攻撃するのではなく、後の先を取れるように頑張る事だ」
マリアは勇者達とは身体能力など、全てにおいて劣る。
それ故、ずっと回避し続けるのは辛いだろう。
とはいえ、俺達と一緒に訓練しているので、他の生徒よりは大分伸びてきている。
それに、相手のキリレンコは自分の相手が王女と言う事で、戦いにおいては大した事が出来ないと高をくくっている上、下手に怪我をさせるわけにはいかないと考えている顔をしている。
だからこそ、マリアが後の先を取る為のいい訓練が出来るというものだ。
先の勇者達の戦いや、それに対する俺のアドバイスを聞いていたマリアは、俺の言いたい事を正しく理解し、ただ一言「はい!」とだけ答えて開始線へと向かって行った。
魔力感知が大分出来るようになり、相手が油断しているとはいえ、最初はやはり苦戦していた。
相手の魔力を感じ取ろうと集中しすぎるあまり、相手の動きそのものへの対処が遅れている。
そのため、危ない場面は何度かあった。
しかし、少しずつではあるが徐々に慣れてくると、相手の攻撃そのものには簡単に対処出来るようになっていた。
ただ、自分から仕掛ける攻撃に関しては、完全に相手の攻撃を避け終えてから繰り出すので、どうしてもワンテンポ遅くなっている。
しばらくその状態が続いていると、イライラしたキリレンコが剣を振り上げようとした。
その瞬間に、マリアが足を斜め一歩に踏み出し、喉元に剣を突きつけて勝利したのだった。
最後の一撃で、ようやく後の先が出来たようである。
この決闘で勇者達とマリアは、現時点での課題が見つかっただろう。
そう言う意味でダイク達には、決闘を申し込んでくれた事に感謝しなければならないな。
そう考えている内に、マリアが俺達の所へ戻ってきた。
「見ていて下さいました!?やりました!!」
マリアは嬉しそうに、俺に向かって話しかけてくる。
俺はジュリーを膝からどけて、マリアに近寄って声をかける
「ああ、うん。良くやった。後は、最後の様な動きを常に出来るようにする事だ。いずれは、相手の動きを読んで、何をしても無駄だと思わせるくらいに先手を取れるようになるといい」
「――っ!!」
俺はマリアを褒めつつ、これからの目標をアドバイスしながらも、俺は無意識的にマリアの頭をポンポンと撫でてしまっていた。
それにより、マリアが声にならない声を漏らし、顔を真っ赤にして下を向いていた。
それを見ていたマイとユウコが俺を両側から挟むように立ち、ジトーっとした目を向けてくる。
「私達も頑張ったんだけどなぁ・・・」
「そうだよねぇ。これは差別だよねぇ」
と、俺を挟みながらボソッと呟いてくる。
更に後ろの気配に振り向くと、ジュリーが膨れっ面をしていた。
いや、これは俺の身体が勝手にやった事で、俺の意思とは無関係であり、不可抗力だ!!
という俺の思いが無駄な事は、わかりきっている事だった。
そんな感じで和気藹々 (?)としていた俺達に、ダイク達が近寄ってきた。
「・・・ふざけるな・・・ふざけるなよ!?」
ダイクは怒りの顔を俺に向けて叫んだ。
「確かに勇者達の実力は認める!馬鹿にした俺達が悪かった。・・・だけど、お前は別だ!勇者達の陰に隠れて、偉そうにしてんじゃねえよ!!」
ふむ。
思っていたとおり、勇者達だけで終るわけはなかったか。
俺に矛先が向くのは当然だろうな。
最初に言った通り、俺は戦わないを貫き通してもいいが・・・
まあ、こいつらに感謝した事だし、お礼を込めて相手をしてやるか。
それに、そこにいる教師のフリをした騎士や陰から見ている連中も、ここで俺の力を見せておかないと、いつまで経っても纏わり付きそうだというのもある。
「・・・言いたい事はわかった。じゃあ、やろうか」
俺はダイクに向けて、簡潔にそう言い放った。
お読み頂きありがとうございます。
私事で更新が遅くなりました。
申し訳ございません。
これからも宜しくお願い致します。




