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動く物  作者: 海月
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いつものように、歌を歌いながら草原を歩き回る。

此処は色々な『動く物』が住む世界、『生き物』が何処にもいない少し変わった場所だ。

綺麗な青空、眩しい太陽、そよ風が吹いては草と私の髪を撫でていく。

『生き物』が住む世界と見た目は一切変わらない、争いと平穏が同居する空間。

『動く物』なんて表現をするくらいだから、当然私も含め此処の住民は皆『生き物』じゃない。

ある子は本であったり、ある子は花であったり、ある子は武器であったり。数え上げていてはキリがないくらい、色々な子たちがいる。


この『動く物』の世界の一番の特徴は、住民の特性だ。

特性には二つあって、一つは『生き物』が絶対に必要とする行動を『睡眠』以外しなくて済む。だから食事で困る事もないし、土やインクなどの汚れ以外でお風呂に入ることもない。趣味の一環としてやっている子もいるけれど、大体の子はそういったことはしない。

もう一つは『それぞれの属性に合わせて不思議な力を使うことができる』こと。属性にも色々あって、さっきも言った通り本・植物・武器といった名称で大きく括られている。その中でもまた色々な括りがあって、それに合わせて身体能力が決まったり、使える力が変わったりする。

もし争いの場があれば、知る機会があると思うけれど、少なくとも私が住んでいる所は争いとは程通い場所だ。

属性によっては向き不向きがあるから、それぞれの属性が固まって生活することが多い。その結果、血の気の多い所から暴力沙汰を一切知らない所まで幅広くある。その中でも一番平和と言われている場所で私は暮らしている。その場所の名前は『春の町』と呼ばれていて、気候も春のような暖かい調子になっている。

他にも『夏の町』、『秋の町』、『冬の町』もある。その中でもトップクラスで荒れている場所は『夏の町』で、武器の子が一番そこに集まっている。でも荒れているといっても、いつでも何処でも戦ったりしているわけじゃない。何かトラブルが起きたり『生き物』の世界で争いが起きたりすると一触即発の状態になってしまう。

そんな感じで、それぞれの町にも特徴があって旅をする感覚で色々な町を転々としている子もいる。


住民たちについては追々話して行きたい、此処で語るにしても本人たちがいなければいけないだろうから。

私のことだったら軽く言えるけれど、此処では詳しく言えない。というのも、私は少し特殊な手の存在で、説明するととにかく長くなる。

とりあえず、名前と属性くらいは言わなきゃいけないと思う。

私の属性は武器、武器の中でも神秘的な方の武器たちの括りに入れられていて、結構便利な力を持っている。体力が必要だから早々使うことはないけれど。

そしてこの武器の名前は『柊』、だから私も柊と名乗っている。

争い事とかが好きじゃないっていうのと、春の気候が好きだからという理由で『春の町』に住んでいる。

好きなことは歌う事と本を読む事。

顔は広い方で、何か困った事が起こると相談を持ちかけられやすい。


「柊ー!ちょっといいー?」


早速相談をしにやってきた子がいるみたいだ、遠くから声がかかった。


「今行くよー!」


そう叫び、駆け足で声の方へと向かっていく。


―この瞬間から、私はもう巻き込まれていた。

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