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第4章  フルスロットル・アウェイクニング  〔限界力覚醒〕

今回は、前回と比べて見てわかるほどの全開戦闘だった。

ナミリは今回弓を使用しているし、グレアは異能を生かすために爆弾を持ってきている。

俺はというと、特に特別用意するものはないので、前回と同じ剣一つだけ持ってきた。

対象となる凶竜は、「炎光飛竜(ブライトドラグネル)」といって身体から発する炎によって眩しく輝き、翼で飛んで敵を撹乱するものでとても厄介だ。

危険度も高く、連鎖率が低いながらも時には死人が出ることもある。そのため普通なら十人単位で戦うのだが─────

「三人、か」

まあそれも仕方ないというものだろう。

俺がレイン=セルライドだったということを知るのはギルドのトップとこの二人だけなのだから、もしもう一つ二つパーティを引っ張り出そうものなら、俺の正体に勘付く者がいてもおかしくない。

それに俺はずっと、このくらいの凶竜を一人で狩っていた。だから別に戦力不足が否めないわけではない。

「そおらっ」

やることはやはり同じ、子分狩り。だが当然成体が強いのだから、子分も強い。一体たりとも気を抜くことはできない。

体力ペースにも気を遣わなければならないので、子分狩りから全開で行くことはできない。

なんとも、皮肉なことだ────

「・・・炎熱察知」

ふいに、グレアが呟いた。

後ろには、巨大な炎の塊。

さらにその後ろには、まばゆく光る炎の塊。

そしてそのまた後ろには────

炎光飛竜(ブライトドラグネル)

とうとう、ボスの登場、というわけだ。

荒野に現る、炎を纏いし竜。

「いざ、勝負」

俺は小さく呟き、剣を構えて走り出した。

「ゴアァァァァッ」

炎光飛竜(ブライトドラグネル)が、低く吠える。だが、怯むものか。

俺は一直線に駆け抜け、右上から袈裟斬りをお見舞いする。

だが、実体がつかめない。炎のせいもあるが、なにより光っているためどこに何があるのか分からない。だがら、特定の部位を狙おうにも狙えない。

────関係あるものか。俺は、これよりも強いやつを、ずっと一人で倒してきたんだ。

走り抜けた勢いを生かし、反転。

そのまま、左下にあった剣で返し切り。

続けて斬り上げ、斬りおろし、刺突────

反撃の隙を与えぬ、連撃。



その流れるような斬撃の数々は、まさに見事と言わざるを得なかった。

俺、グレアから見てもそうだが、きっと剣術の達人が見ても唸るだろう。

それくらい、アルト、もといレインは強かった。

異能をまだ使っていない(使えないのかも知れないが)のにも関わらず、炎光飛竜(ブライトドラグネル)を圧倒している。

「なら・・・俺たちもやらないと、な」

俺は静かに呟き、靴を鳴らし駆け出した。



(これが・・・"無敵の独剣"の実力!?まだ、本気じゃないのに・・・)

わたし、ナミリもグレア同様驚きを隠せなかった。

今は生きるか死ぬかという場面なのに、つい考えてしまうほど圧倒された。

おそらく、異能を絡めた戦闘はすさまじいものなのだろうが、それ以前に剣の冴えだ。

軽く剣術をかじっただけのわたしはおろか、グレアやもしかするとサブギルドリーダーも凌駕しているのではなかろうか。

まあわたしはもともと射撃援護が本業だから敵わないのは当然といえば当然なのかも知れないが、それでもこの剣技は一朝一夕で習得できるものではないはずだ。

「その気なら・・・地獄ででも援護するわよ」

不敵な笑みが、こぼれた。

今後、アルトという存在がギルドにどう影響を及ぼしてくれるのか、大いに楽しみだ。



違和感を感じるのは、得意だ。

確かに炎光飛竜(ブライトドラグネル)は上位に位置する危険な凶竜だが、それでも何かがおかしい。

────強すぎる。

まるで、そう────

「後ろに、…………………」

みたいな。

ひとまず、こいつ(⚫︎ ⚫︎ ⚫︎)を片付けないことには、始まらない。

だから──────

「・・・リミットブレイク」

異能解放。

次にとる行動は、

「物理法則破壊」

手に、青白い光が宿る。

そのまま柄を伝い、剣先へ。

「全力だ」

普段の10倍ほどの瞬発力で地を蹴り、秒速46回の斬撃を叩き込む。

「・・・終了(フィニッシュ)だ」

言った直後、炎光飛竜(ブライトドラグネル)の体は血飛沫を散らしその場にへたり込んだ。

断末魔、なし。

さあ、引っ張り出すか。



「「な、何が起こった・・・!?」」

グレア、ナミリは一瞬の出来事に戸惑う。

各々がそれぞれ仕事をしていたなか、アルトが何かを察し、呟き、そして動いた。

だが、あの速度は常軌を逸している。

一秒間に、50回程度は斬っていた。

これが、生涯ソロプレイヤーの本気───────

畏怖、恐怖、そして戦慄。

改めて、自分たちが恐ろしい化け物を従えていることを実感した。

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