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第5話

しばらくお休みしててすみません!

今日から再開です!!

久しぶりに書いたのでそうとう低レベルの文章となってます。


よろしければ感想などお待ちしております!!

カツカツと、チョークが黒板を刻みよく叩く音と、担当物理教師である桂先生の抑揚のない声が教室中に響いている。授業を聞き取ることを二の次に、必死な思いで板書をノートに書き写す。桂先生の授業は、赤点をとっても、ノートさえキチンと提出したら少なくとも単位を落とすことはほぼない。物理の授業は苦手だが、桂先生だと話は別だ。隣の特別進学クラスの物理の担当教師は授業の進行度合いも定期考査の難易度も桂先生とは雲泥の差らしい。白鳥が嫌な笑顔を貼り付けて言っていた。アレはムカついた。

板書している手は止めることなく横目で周りを見渡すと、他の生徒も同じように視線を黒板に固定して、手元は忙しなく動いてる。皆、考える事は一緒らしい。ただ一人、前方に座っている五反田を除いて。主に後頭部しか見えないのでどんな表情をしているかさっぱりだが、どうせつまらなそうな顔してるんだろう。辛うじて見える左手に握られているシャーペンは、俺たちとは違った意味で慌ただしい。ペンがクルクルしてる。コイツ、ペン回ししてやがる。


「は~い。今から書くところ、テスト出るのでしっかりノートとって下さい」


そういって、黒板の左半分を大急ぎで消していく桂先生。って!そこまだ写してないいいい!!!

俺の心の訴えが桂先生に届くはずもなく、無情にも左側は新たな数式に様変わりしていた。書いてない所を空けて板書してもいいが、いちいち余白を気にしながら書くのも野暮ったい。あと十五分でこの授業も終わる。次は昼休み。その時にでも誰かからノート借りよう。そこまで考えてからペンを置き、ノートを閉じる。机の上に散乱していた消しカスを纏めて机の下に吐き捨てて、教科書とノート、筆記具を引き出しにしまう。物が何一つなくなった机の上に右の頬を押し当てる。ヒンヤリ冷えていて心地良い。そのまま寝てしまおう。考えてみたら俺今日一睡もしていない。睡眠を取ってないことを自覚した途端睡魔に襲われる。限界だ。瞼が徐々に落ちていく。意識が落ちる前、最後に見た五反田の手元は、休むことなくペンを回していた。



次に目が覚めたらそこは異世界でした。

なんてことはなく、目に飛び込んだのは机の木目だった。あ、涎垂れてる。上体を起こしつつ、そしらぬ振りしてワイシャツの袖でぬぐう。涎まみれの袖をまくって、状況確認を行う。黒板は数多の数式で埋め尽くされている。桂先生の姿はもうない。いろんな食べ物の匂いもする。時計に目を向けると、昼休み開始時間から二十分先に指針を進めている。状況を把握するのにたっぷり三十秒を費やした。


…三十五分もたってやがる。寝すぎた。時間の流れの速さにちょっとばかし戦慄を覚えながら、左手で制服のポケットにしまっていたスマホを取り出す。起動ボタンを長押しすると、モノクロの林檎のシルエットが浮かび上がった。そのシルエットを一瞥し机の上にスマホを据える。あと数秒も経たずにいつも見ている画面に切り替わるだろう。スマホを置いた左手をそのまま机横のフックにスライドさせ、掛けていたリュックサックを膝元に引き寄せる。チャックを開け、中にあった半透明のビニール袋を引っ張り出す。リュックサックはチャックを閉めて元の位置に掛け直した。ビニール袋の中は総菜パンやら菓子パンやらが乱雑に入っている。ひとつひとつ中身を取り出し、机上に並べる。今日の昼飯だ。まずホットドッグの封を切る。マスタードとケチャップの香りが鼻腔を通り抜ける。開封していない方からパンを押し出してそのまま齧り付いた。登校前にコンビニで購入したため、多少冷めているが特に味に問題ない。咀嚼している間にスマホを手に取る。画面を付けるとメールが届いていた。アマゾンからだった。そしてここで重要な事に気付く。アマゾンからのメールの下にとある既読済みのメールを見つけた。時刻は一限の授業が始まる前、差出人は……


名前を見た瞬間、食事を中断し急いで後ろの扉から教室を飛び出す。目的地は校舎裏。廊下で談笑している生徒にぶつからないように全速力で走る。もうとっくに頭は覚めていた。




走ること一分。ここの角を曲がれば校舎裏に辿り着く。全力疾走したことであがった息を整えながら角を曲がる。


……いた。


栗原薫は柱にもたれかけながらスマホに視線を落としていた。


それがあまりにも絵になっていて、思わず見惚れてしまう。そんな自分に嫌悪感を抱いた。頭の片隅で黒い染みが滴った気がして思わず頭を振る。まるで白い画用紙に墨汁を垂らしたような。


「悪い。遅れた」


やっとのことで平静を取り戻した俺は、薫に近付きながらそう声をかけた。その声で薫はこっちを向く。後ろで纏めているポニーテールが可愛く揺れ、少しドキッとしたが、必死で顔に出さないように努める。染みはどんどん広がっていく。


「もう。遅いよ~」


スマホを持っている方の右手で手を振る。その何気ないしぐさが気に障った。どうやら俺は、初恋が叶わなかったことに、そしてその要因である彼女自身にどうしようもなくイラついているらしい。


「だから悪いって。それで?話って何」


彼女に当たり散らす前に。この場から離れる必要がある。話を急かされて、彼女は拗ねたような表情を浮かべえる。


「あのね。実は」


「白鳥と付き合ったことなら知ってる」


彼女の言葉を遮るように言葉を紡ぐ。まさかもう既に知っていたとは思わなかったのか、唖然としている。居心地の悪い沈黙が流れる。先に口を開いたのは彼女だった。


「知ってたの?」


「まあな」


「…そうなんだ」


またも沈黙が空間を占める。その後も大した話は出来なかった。両者間の距離は一メートルも離れていないのに、ここまで距離が遠く感じたのは初めてだった。頭の片隅に広がっていた染みは裁断なく滴り続けている。


「もう戻っていいか?メシ食べてないんだよ」


そう言うなり、踵を返してその場を立ち去ろうとする。もう限界だ。


「待って!最後に一つだけいい?」


「…なんだ?」


「これからも仲良くできるよね?白鳥君と三人で!」


「は?」


…彼女は何を言っている?二人の関係を一番近い所で見れとでも言うのか?そんなのまるで性質の悪い拷問じゃないか。


「白鳥君と仲良いんでしょ?白鳥君も新とこれからも仲良くしたいって言ってたし。勿論私も!」


白鳥がそんなことを?どんだけ性格悪いんだアイツ。


「…どうだかな。二人の邪魔はしたくないしな」


そんな内心はおくびにもださないように、無理矢理笑みを作る。俺は今どんな表情をしているのだろう。それだけが気掛かりだった。

俺の返答をからかっていると解釈したのだろう。彼女は顔を真っ赤にして、目に余る程狼狽えている。


「じゃ、もう行くわ」


返事を待たずに歩き出した。背中にじゃーね!と投げ掛けられたが、振り返らずに右手を軽く掲げるだけにした。染みはもう既に染みではなくなるほどに埋め尽くされていた。



教室に戻った時には、もう昼休みの時間は五分を切っていた。食べ掛けのパンと未開封のパンをビニール袋にしまって、机右側のフックに掛ける。メシは部活前に食べるとしよう。次の授業は得意科目の現代文だ。引き出しから筆箱と教科書、ノートを取り出す。


「…ん?」


ノートの中に見知らぬ付箋紙が貼られている。ピンクの熊がプリントされている。はっきりいって覚えがない。ノートを付箋紙が貼られているページまでパラパラとめくる。全貌を現した付箋紙の内容は。


「部活終わったら学校前の喫茶店に集合 五反田」


……いろいろ言いたい事あるけど。

この付箋紙はお前のキャラじゃねーだろ。


一難去ってまた一難。心なしか、胃が痛くなった。これが空腹によるものなのか、はたまたストレスによるものなのか、俺が知るよしはなかった。





















あ、実はまた新しいヤツも書き始めました!!


よろしければそちらも!!!

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