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第2話

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第1話…第2話…形式にしたいと思います。



バレー

バスケ

に変更しました。


俺の想い人、栗原薫が別のダレカに告白するという俺史に残る重大案件から一夜明けた午前六時。やはりというかなんというか、一睡も出来なかった。とりあえずもう朝なので体を起こすが寝付けなかったからなのか、身体がやけに重い。昨日の今日だからか、胸中は靄がかかっているような感覚で、思考も上手くまとまらない。おまけに視界もぼやけているときた。まぁ、視界がぼやけているのはコンタクトをしてないからなんだが。


長々と説明したが、俺の今日の体調は近年で一番と言っていいほど絶不調である。



体を起こしてから十分ほど経っても頭がスッキリしないので、シャワーを浴びることにした。冷水でも浴びれば少しはシャキッとするだろう。下着とハーフパンツを持って部屋を出る。部屋を出る前に確認したスマートフォンには彼女からのメールが届いていたが、読むのも億劫だったのでそのままにしておいた。


冷水を浴びても醒めたのは眠気だけで心の靄は相変わらずだった。今日は一日この調子だろう。その事に憂鬱になる。彼女からのメールは昨日一緒に帰れなかった事の謝罪と、今日は予定があるから帰れない。との事前報告だった。顔文字や絵文字がふんだんに使われている。所謂女子高生らしい派手なメールだ。そんなメールに、気にしないでいい。とだけ打ち込んだ味気ない返事を返しながらリビングに向かう。たしか一昨日購入したプリンがあるはずだ。甘い物でも食べて少しでも英気を養いたい。リビングの戸を開けると、そこには最近はめっぽう顔を合わせることがない妹の栞がソファーに腰掛けながらテレビを見ていた。


「あ?なんでお前いんの?」


久しぶりに話しかけたら、傍から見れば喧嘩売ってるように聞こえる口調になってしまった。そんなつもり全くないけども。

俺の喧嘩腰の口調(俺はそのつもりない)に、栞は眉を潜めながら、


「私がいちゃダメなわけ?アニキに関係ないでしょ。」


と、返答。いや、最初の俺の声の掛け方が悪いにしてもその返答はないだろう。どんだけトゲを含めてんだよ。ウニかよ。 あと睨みつけるな。すげぇ怖いから。


「まぁ、関係ないけどよ。お前朝練じゃねぇの?」


妹の眼力に、心の中ではノータイムで白旗を挙げながら問う。コイツも俺と同じバスケ部だ。しかもコイツの学校は全国でもそこそこ名の知れている強豪で、今月のバスケットボール誌でも特集が組まれていた。そんな学校が朝練をしないなんて事は万に一つもない。例え台風が来て学校が休校になっても構わずやるだろう。さすがにそれはないか。というか実際コイツ昨日も朝練だったはずだし。


「今日は授業終わったらレギュラー陣はそのまま遠征なの。明日からゴールデンウィークでしょ?だから私は今日は休み。」


脳内でうんうん唸っていた俺に、栞は勝ち誇った顔をしながら言う。俗に言うドヤ顔というやつだ。我が妹ながら腹立つ顔をしやがる。ん?ちょっとまて。


「は、お前レギュラーなの?一年なのに。」


先程も述べた通り、コイツの学校は強豪だ。部員数も三桁はゆうに超えるらしい。そんな環境で一年でレギュラーだと…。しかもまだ五月なのに。まだ一月しか経ってないのに。


「当然。私天才だもん。万年ベンチ温めてるアニキとは違うのよ。」


と、栞はとてつもなくいい笑顔で言ってくる。内容はかなりえげつないが。元々美形な顔の妹だ。ルックスは贔屓目なしでも可愛い部類に入るだろう。そんな妹の満面の笑みだ。やはり可愛い。だが憎い。可愛さ余って憎さ百倍とはこの事だろう。この諺を考えた先人は偉大だ。盛大な拍手を送ろう。心の中で。パチパチパチ。


「そーかい。まぁがんばれよ。」


これ以上会話してたら俺の精神はKOされるので強引に切り上げる。

生返事をする妹を余所に、俺は当初の目的であるプリンを食べる為に冷蔵庫を開ける。が、プリンがない。あれ?


「あ、アニキ。プリンの差し入れサンキューね。」


冷蔵庫の前で困惑している俺に栞が言う。栞の手元には空のプリンの容器が握られていた。


「てめぇこら栞!それは差し入れじゃねぇ!俺のだ!俺のプリンだ!!」


今日一の声量で怒鳴りつける。ふざけんじゃねぇ。コイツはどんだけ俺の心を痛めつければ気が済むんだ。


「ごめんごめん。でもさー、そこにあったんだもん。そりゃ食べるっしょ。それにアニキのモノは私のモノでしょ?違う?」


栞はケラケラ笑いながら謝る。というか全く悪いと思ってねぇ。こんな軽い謝罪は生まれて初めてだ。というか、どこのジャイアンだ。コイツは。


「もーいいよ。食っちまったもんはしょうがない。絶対許さねぇけどな。」


捨て台詞を吐いて部屋に戻る。もうコイツと話すのはコリゴリだ。当分は会話したくない。とはいっても、プリンはもう栞の身体の中だ。面倒だがコンビニに行くか。

財布とスマートフォンを持ち、玄関でサンダルを履いていると。


「あ、アニキ〜。コンビニ行くならハーゲンダッツ買ってきて。」


俺の精神がKOされた瞬間である。その言葉は聞かなかったことにした。




そんなこんなでいつもより騒がしい朝だったが、少しは靄も晴れていた。ちょっと癪だが、これも久しぶりに栞と話したからだろう。コンビニから帰った後もフルボッコされたけれど。それは置いておこう。主に俺の精神安寧のために。そんなことを考えながら歩く。今は登校中だ。

家から俺が通う高校までは、だいたい徒歩15分ほど。まぁ、近いの範疇だろう。


いつもは彼女と一緒に行くのだが、今日は一人だ。なにか用事があるらしく、もう既に学校にいるらしい。俺自身、どんな顔して会えばいいか分からなかったので丁度良かった。


だがそれも、高校に着くまでだ。学校に着けば嫌でも顔を合わせる事になるだろう。気が滅入りそうだ。


高校が近づいてくる。一歩一歩歩く度に嫌な汗が背中をつたう。我ながら小心者すぎるだろ。とりあえず好きな曲でも聞いて落ちつこう。そう思い、イヤホンを耳にはめる…


「だーれだ。」


…ことは出来なかった。後ろから目を塞がれた。俺にこんな事をするヤツはこの高校では二人しかいない。


一人は栗原薫。


そしてもう一人は、


「おはよう!」


手を剥がすと、そこには予想通りの人物がいた。


同じバスケ部の白鳥健吾。バスケ部のエースであり、イケメン。学校の人気者。そして、



昨日、栗原薫に告白された張本人である。










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