12 突破と出会い
よろしくお願いします。
俺と師匠は現在旧コウチェン王国、国境の関近くで関をうかがっている。と言うのも、関に明らかに雰囲気の違う気配を感じたからだ。このまま進んでしまえば危ういと感じ一旦様子しているわけである。
それが昨日の話である。だいたい、向こうの戦力は把握した。ほとんどがゴブリンなどの魔物たちでどうやら司令官の指示で動いているような行動をしている。統率がとれているとは厄介なこときわまりない。
「師匠、どうやりましょうか?」
「多数相手の時はまず大将を討つのが基本だが、大将が見えんからな……見たところ手下は雑魚ばかりだ、蹴散らして大将の首をとったらすぐさま離脱でいいだろう。」
「そうですね、統率がとれるようなやつは後々怖いですから今のうちに殺ってしまった方がいいですね。」
「話しは決まったな……ならば、戦といくか。」
師匠はそういって口許をつり上げながら笑っている。目は、鋭くなりめちゃくちゃ怖い。敵じゃなくて本当に良かったと思う。
「では、先陣は俺が勤めよう。入り口のやつらは皆、一瞬で吹き飛ばしてくれよう。」
そう言うと師匠は目にも止まらぬ速さで駆け出し、あっという間に入り口へ。そこから師匠が槍を一突きしたと思ったら、槍の直線上にいたやつらは貫き殺され、周囲のものは師匠の言葉通り吹き飛ばされていました。イッタイドウヤッテルンデショウカ……わかりません。
俺も、出遅れてではありますが関に向かってトップスピードで駆け出しました。
師匠は槍を手足のように扱ってどんどん敵を殺しています。マジ半端ないです。
「ナマケ!!遅いぞ!!お前の足は豚足2本か!!」
「すいません師匠!!」
戦闘しながら渇が飛んでくるとは、やっぱり余裕なんだな。
そんなことを思いながら俺も刀を抜き放つ、師匠が大半を殺しているようだが一部殺していないやつがいるからだ。
「ナマケ、そいつらはちと他よりできそうだ。お前の訓練にはちょうどいい。殺し尽くせ。」
だそうです。言葉からして俺よりは強くはないのでしょうが10匹は多くないですか?まあ、師匠は20~30をさっきから相手してますけど……
切り替えていきましょう。
ゴブリンたちに囲まれるのはうまくないな、一対一の状況で確実に殺りたい。突きで一匹貫いて突進するか?いや、うまくないな、ならば……そう考えながら俺は、刀を上段に構えた。標的は目前にいるゴブリン、考えることはただひとつ奴を切り裂くことのみ。
俺は、集中する。 そして、一気に踏み込み切り捨てる。ゴブリンは真っ二つ分かれ、それらは地に倒れ、地を赤く汚した。
「「ゴギャッ!?」」
仲間を一瞬で切り捨てられ、自分達の囲みを突破された残りのゴブリンたち驚愕している。先程までとはうって代わり隙だらけである。これならば一気に斬り伏せられるだろう。そう思い俺は、流れるように刀を振った。呆気なく残りのゴブリンたちは、ただの肉へと変わった。
師匠の方を見てみると、あちらもすでに終わったようである。
「ナマケ終わったようだな。しかし、どうやら大将のお出ましのようだ。」
そう言って師匠は上を指差した。俺は、そのまま上を見上げた。そこには、何かが落下してきているのがはっきりと見えた。
ドオオオオオオン!!!!
それは、地面へと轟音をあげて着地した。砂煙が舞い上がり、それが収まるとそれは姿を表した。
その姿を見て俺は呆然とした。頭には角が生えており、口からは牙が見える。体躯は2mを越え巌のようであり、肌は黒く、重厚な鎧を見にまとい、大きな斧を携えて立っていた。
「貴様らが我らに仇なすものか、主に歯向かい邪魔するごみ。我が力をもって叩き潰してくれる。」
それは、力強くそう言うと俺に向かって斧を振り下ろした。俺は、一瞬虚を突かれ固まっていた。このままでは防ぐことができない。クソッ!!考えるな今はただ早く避けなければ!!しかし、斧はすでに目前まで迫っている、もはや避けるのはかなわない。
だが、俺は見た視界のはしで動く何かを……
ガアアアン!
気がつけば師匠の背中がそこにあった。
「おっと、出か物さん俺のかわいい弟子に何しようとしてやがる?この俺がそんなおせぇ攻撃から弟子をかばえないとでも?笑わせてくれるな!!」
そう言って師匠は槍で受け止めた斧を弾き返した。奴は数歩後退すると油断なく斧を構えた。
「ふむ、ごみかと思ったがなかなか、元気のいい畜生も混じっておったか。」
「ぬかせ、出か物。我がなはイッシン=ヘイオウ、貴様の息の根を止めるものだ。混成の最後に心に刻むが良い!!」
そう言って師匠は槍を構えた。更に俺は師匠に集中する。すると、師匠の体には静かでありながら力を感じさせる魔力によって覆われていた。既に師匠が身体強化を行っている証拠だ。それほどの相手と言うことなんだろう。俺では邪魔になるだけ、後退し両者の間合いから外れ様子をうかがうことにした。
両者はジリジリと間合いを詰めていく、やがて二人の間合いが重なりあう。最初に仕掛けたのは異形、先程よりも早い斧の振り下ろしである。しかし、師匠はそれを受け流し異形の側面へと回り込む。そこから脇腹めがけて槍を突き出す。だが異形もそれを身を捻って交わす。師匠はそこからノウモーションで追撃する。さすがの異形も避けきれず師匠の槍を喰らった。しかし、どうやらかすっただけでたいしたダメージではないようだ。異形は斧を横に薙ぎながら師匠から距離をとった。
「デケェわりによくかわすじゃねえか。だが、もう次は当てるぞ?」
「畜生が、だが我とここまで戦える貴様には我が名を名乗ろう。
主より賜りし我が名は"イガチャン"、主の第一の僕にして、人間どもへの先陣を任されし者。貴様らごとき人間に遅れはとれぬ。」
「そうかい、だが敗者なんぞの名を覚えとけるほど俺も義理堅くなくてねぇ。さっさと仕舞いにさせてもらおう。」
そう言うと両者は濃厚な殺気を発して構えた。イガチャン?は斧を斜に構え、師匠は相手の視線に槍先を合わせる基本の構えだ。
両者はそこから動かない、互いに気を読みあっているようだ。瞬きほどの時間が永遠のごとく感じられる。しかし、それは破りさられた。
先手はイガチャンの斧による振りおろし、今までとは比べるべくもなくベラボウに速い!!しかし、師匠は不適に微笑んでいた。気づけば師匠の槍がイガチャンの斧を絡めとり地に受け流していた。イガチャンはそれを呆然と見ていた。さらに、師匠は槍をしならせ、イガチャンの手の腱を切り上げる。切り上げた槍を矛のごとく打ち下ろしイガチャンを吹き飛ばすと神速の突きを放ちイガチャンの眉間を貫き去った。
イガチャンは言葉もなく崩れ去り、地に付した。
「やはり、敗者は貴様だったようだな、出か物よ。」
そう言って師匠は槍を納め、こちらを振り返って歩いてきた。だが、背後でイガチャンがムクッと起き上がった。
「……グハァ……畜生に遅れをとるなど……主に面目がたたぬわ。我は主により召喚されたもの……我を真に滅せる者など主以外におるものか。」
そう言って起き上がったイガチャンだが既に虫の息だ。しかし、体の傷がごく僅かだが治癒していっているようである。
「ふ、往生際の悪い。貴様は既に負けたと言うのに。」
そう言って師匠は槍を構え直した。しかし、そこに俺が割って入った。先程やつのステータスを鑑定したところ神に選ばれし者、または、召喚者以外には殺されぬと言う、称号「不死なる使い魔」と言う者があったからだ。
「師匠、止めは俺がやります。」
「なに? 俺の獲物をとる気か?」
「いいえ、師匠。そいつは俺か召喚者以外の攻撃以外では死なない不死属性を持っています。故に俺が止めを差すしかありません。弱ってる今なら俺でも行けます。」
師匠は一瞬迷ったようだが、「死にかけの奴ほど用心しろ。」とだけいって、俺に譲ってくれた。
俺は、全身に魔力をまとい身体強化を行った。詠唱する必要がなくなったのは、師匠との修行の賜物である。
抜刀の構えをとり、自信の持てる最強の技を繰り出した。
技の名は一刀一閃、神速の抜刀により敵を切り裂く必殺の技だ。イガチャンが本調子だったならば決まらなかったかもしれないが、今の瀕死の状態では避けることすら叶わず、首を切り落とされ、本当に最後を迎えた。
俺は、一気に息を吐いて刀を鞘に納めた。危うげなく、事がすみ安心した。
だが、そこえ女性の声が響いた。
「あなた方が勇者一行でしょうか?」
声が聞こえた先を見ると、そこには金髪、碧眼の美しい女性といかにも歴戦の将という風貌の男が立っていた。
果たしてこの出会いは、なにを意味するのか。ただ、物語はここから急速に巡り出す。それは間違いないだろう。
全面戦争まで残り2ヵ月と少し、時間は迫る。
因みにイガチャンのレベルは52程です。イッシンの旦那よりステータス上はちょっと強いですが、身体強化の熟練度の差が出た感じです。
戦闘を長々と書いてみました。ストーリーもようやく中盤を越えました。ここから私もさらに頑張って行きます。
暖かい目でお付き合いください。




