11 旅立ちと再戦
よろしくお願いします
旅立ちの準備を終えた俺と師匠は、宿屋の一家に別れを告げていた。
「今までお世話になりました。旅が終わったらまた立ち寄らせていただきます。」
「おう、うめぇ飯用意してやる。娘には指一本触れさせんがな。」
そう言ってサリーさんの前にたつボードンさん。いやいや、そんなこと言わなくても大丈夫ですよ……触るとかは置いとくとして……ハハハ。クソッ。あ、本音が……
「まったくあなたは過保護すぎますよ。でも、サリーに手を出したらナマケ君消し炭にするわよ?」
女将さんそんな真顔で言わないでください。本気で怖いです。
「ふふ、冗談よ。」
今さら遅いですよ、というか 目が全然笑ってませんよ!? うん、興味本意では絶対に手を出さない……本気の時はいいよね?
「ナマケさん道中お気をつけて。それから、ご飯一杯食べてくださいね。」
サリーさんのこの微笑み、ああ、名残惜しいよ。あんなことやこんなことはなかったけれどあなたは僕の天使でした。
「それでは、出発しますね。皆さん本当にありがとうございました。」
師匠は「また来る」とだけ言って先に進んでいるので、俺は、早足で師匠の方へ向かいました。
~街道~
俺と師匠は、コウチェン王国へ行くため街道を歩いていた。すると後ろから
「豚ども、待ちなさい。」
と言う声がした。振り返るとそこには修道女様がいた。
「あなたたちに知らせがあるわ、つい先刻コウチェン王国が帝国の異形によって攻め滅ぼされたわ。なんを逃れた一般市民は、教国と共和国で受け入れることになったわ。もうすぐ国境を越えてこちらを通るようだからあなた達も護衛を手伝ってちょうだい。」
何てことだ。王国が滅ぼされた? 俺が遅すぎたのか?いや、遅すぎたんだろう。
「ボサッとしてないで返事は?」
「御意」「はい!」
とにかく今できることをしよう。ん?御意?今師匠が聞きなれないことをいったような?まあ、いいか。今は難民のことだ!!
しばらくして難民たちが通りかかると修道女様が事情説明?をして俺たちも護衛に加わることとなった。
~トーニ教国~
約2週間程をかけて難民たちを教国まで護衛してきた。道中の魔物や害獣の類いはほぼ兵士が討伐してくれた。師匠曰く「自国民を守るのが兵士の勤めできるだけやつらにやらせればいい。俺たちはヤバイのが出たときだけ加勢するぞ。」との事だ。俺は、正直成長を感じるために戦いたかったが、兵士さんたちのやる気が強いので師匠の言葉にしたがった。その結果一度も刀を抜くことはなかったのだが……戦ってみたかったな……
~司祭執務室~
「やあ、よく戻ってきたね。」
安定の司祭様がそこにいた。うん、この人は以前と変わらんね。
「事態は、結構深刻なので手短に用件だけ言うよ。
3カ月後、2国連合軍によって帝国……今は魔境か、に進行することになった。そこでだ、君たちにはそれまでに魔皇帝ロクブンダを討って欲しい。無理は承知のうえで、君たちには受けてもらうしかない。
僕にはもう、祈ることくらいしかもうできないよ。」
いつになく真剣な目で司祭様は俺たちにそう言った。やるしかないようだ。
「そのはなし引き受けた。」「勇者としてつとめを果たします!!」
俺は、そう決意をかたく込めて返事をした。
~旧コウチェン王国国境付近の街道~
ここまで戻るのに1週間かかった。難民がいないぶんトップスピードため、移動時間は半分ですんだ。道中またあの宿屋に泊まることになりなんとも気まずい思いをしてしまった。でも、サリーに会えてよかったよ。うん。
閑話休題
そんなわけで街道を進行中の俺と師匠なのだが、どうやら前方に俺の宿敵狼がいるようだ。王国滅亡により森にも何らかの影響があったのだろう。何はともあれ再戦の機会がめぐってきたと言うことだ。
「ナマケ、お前一人で相手をしてみろ。」
「はい、師匠。」
俺は静かにしかし、意思をかたくして師匠の言葉に返事した。
俺は、狼6匹の群れまであと残り大股9歩ほどと言うところで止まり、刀を抜いた。
相手のステータスを見ることは敢えてしない。思えばこの能力のせいで奢っていたところが随分ある気がするからだ。
俺は、できるだけ隙なく自然体で構え、狼達を睨み付けた。
狼達も警戒しているのか、なかなか掛かってこない。しかし、一匹がしびれを切らしたように此方に躍り出てきた。だが、その行動は今の俺には止まって見えるようだ。
真正面から飛び上がってからの噛みつきか、以前の俺ならここでやばかったな。
そう思いながら俺は、右斜め前に出ながら狼を袈裟斬りにした。飛び込んできた狼は二分され地についた。
他の狼はそれを見るや俺を囲うようにして陣取った。どうやら囲んで一斉に襲いかかってくるつもりらしい。俺は、刀を鞘に納め腰を落として構えた。狙うは狼が飛び上がった一瞬、冷静に周囲の狼たちへ意識を向けていく。ジリジリと間合いを詰めてくる狼たち、しかし、まだ気は熟してはいない。
そこから、3秒ほどしてから狼は一斉に飛びかかっきた。
ここだ!!俺は、刀を抜き放った。音を置き去りにし、自身から半径3m以内の狼たちを全て一刀のもとに切り捨てた。
技の名を円斬一刀、俺が師匠の型から築いた技のひとつだ。まだまだ、荒いが威力は十分だったようだ。見れば狼たちは皆首を切り飛ばされている。狙い通り切れていてホッとした。
「上出来だナマケ。しかし、まだ仕留めるまでが遅いぞ。」
「次はもっと早く仕留めます。師匠。」
何はともあれ、俺はリベンジを果たせた。これならばこの先へもまだ進んでいけるだろうと自信をつけることができた。
残り2ヶ月と3週間ほど、決意を新たに先を急ぐナマケたちである。
ありがとうございました。
ナマケ強くなってますね。因みにまだ身体強化を使っていないので、本気は更にヤバイです。
あとしばらくお付き合いよろしくお願いします。




