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VSラーニア③

20180215 更新1回目


https://ncode.syosetu.com/n7236dl/


↑こちらキャラクター紹介です。

「そいつに手加減は要らないわ。やりなさい――イフリート」


 ラーニアの命令を受け、


「――***********」


 人の身では聞き取れない言葉をイフリートは口にする。

 直後、その背中から濁流のような激しい炎が噴き出した。

 それが徐々に翼の形に変化した。

 距離を取っても肌が焼け焦げそうになるほどの熱を発しながら、炎の化身は宙を舞い俺に迫る。


(……流石に素手じゃ辛いか)


 俺は魔石を手に持ち、魔力を流した。

 瞬間――大剣が形を成す。

 そして、


「はっ!!」


 イフリートに向けて全力で大剣を振った。

 暴風のような衝撃波が発生し、炎の化身を襲う。

 が――


「***********!!」


 バタバタバタ――イフリートは燃え盛る炎の翼が激しく羽ばたかせると、熱風を発生させた。

 二つの暴風が衝突した。

 瞬間――バアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 鼓膜が破れるような猛烈な爆音が響いた。

 炎の魔神にダメージはないようだ。が、動きを封じるには十分だった。


「っ!!」


 俺は暴風の中を突き抜ける。

 急接近する俺の姿をイフリートが捉えた。

 だがもう遅い。


「らあああああああああっ!!」


 イフリートの首を狙い薙ぐように斬撃を見舞った。

 その一撃は閃光のように煌めき、確実にイフリートの首を切断する。



「流石にやるわね」


 ラーニアが感心するような声を上げた。

 しかし、その声にはやけに余裕がある。

 同時に気になったのはイフリート自身の魔力が消失していないこと。


「……なるほど。

 この程度じゃ倒せないか」


 それどころか、ぶった切ったはずの頭部が再生していた。


「イフリートは炎の大精霊よ。

 あんたが得意そうな切る殴るは通じないわ」


 別に俺は切る殴るが得意なわけじゃないんだが……。


「そういうのはお前の方が得意そうじゃないか」


「むっ、あんたね! あたしが暴力教官だって言いたいの?」


「え? 違うのか?」


「――間違ってないわね!」


 ラーニアは姿勢を下げ疾駆する。

 その動きはかなり速い。


「はっ!」


 俺に対してラーニアは遠慮なく拳を振る。

 だが対応できない速度ではない。

 攻撃速度という意味では、ファルトの転移の方が厄介なくらいだ。

 はっきり言って避けるだけなら容易。

 だったのだが、


「***********!!」


 背後から迫る炎の魔神とラーニア。

 同時に相手をしなければならないのは厄介だ。


(……イフリートの相手をするのは無駄だな)


 召喚したラーニアを倒せば、イフリートは動きを止めるだろう。


「さて……そろそろ本気で来てくれるのかしら?」


「……一つ言っておくがな、ラーニア」


「何よ?」


「俺を本気で戦わせたいなら、お前も少しは本気になれ」


「……ふふっ、あは、あはははっ、言ってくれるじゃない」


 互いに笑みを交わす。

 この状況はまだまだ遊びのようなものだ、俺たちは理解していた。


「なら――もうちょっとだけ本気……見せちゃおうかしら!!」


 唐突に、ラーニアの紅蓮の髪が靡いた。

 そしてゆっくりとその真っ赤な髪の色が変化していく。

 赤く、何よりも赤く――変化していく。


「……なんだ?」


 ラーニアの体内に内包される保有魔力の量が増大していく。

 魔力が強くなっていくのではない。

 魔力量が明らかに増大しているのだ。

 それはとどまることなく、どこまで膨れ上がっていく。


(……どうなってる?)


 人が保有する魔力の絶対量は変化するものではない。

 少なくとも俺は、アイネからそう教わった。

 だがそのあり得ない現象が、今起こっていた。


「……少しは驚いたかしら?」


「ああ……魔力量の変化、なんてことが可能なんだな」


「それを可能にする奴もいるのよ」


 アイネが俺に教えてくれなかったこと。

 いや、師匠アイネですら知らない事もある。


「ラーニアに……初めて教えられた気がするよ」


「教官、舐めんじゃないわよ?」


 ラーニアはニヤッと挑発的な顔を向ける。

 面白い――面白くなってきた。

 久しぶりに感じる確かな高揚感。


「これなら少し楽しめそうだ」


 俺は剣を構えた。

 ラーニアも両手にナイフを構える。

 そして同時に俺たちは動いた。

 先程に比べて圧倒的な加速で俺に迫るラーニア。

 ラーニアに起こっている現象は、魔力量を増大させるだけではないのだろうか?

 明らかに身体能力が上がっていた。


 同時にイフリートが俺に迫る。

 この炎の魔神の熱気に触れるだけで、本来ならただでは済まなそうだが……火属性に耐性のあるラーニアは気にした様子もない。

 俺は水の元素を利用して、全身を覆う水の鎧を纏う。


「甘い!!」


 が、ラーニアがその鎧に触れた瞬間――蒸発した。


「でたらめなっ!」


「あんたに言われたくないわ!」


 俺の振る斬撃をラーニアは両手で持ったナイフで受けきる。

 高速の連撃を繰り返すが、その全てをラーニアは見切っていた。

 だが大剣を受け止めた瞬間、思い切り叩き付けて強烈なインパクトを与えてラーニアを吹き飛ばした。


「っ――」


 ――ザアアアアアアアアアアアアアアッ。


 戦闘教練室の地面が抉れ、通路のような跡を作った。


「馬鹿力!」


「……ノーダメージかよ」


 これは――長い戦いになりそうだ。

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