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原因究明①

こちらキャラクター設定です。

http://ncode.syosetu.com/n7236dl/

 早朝のホームルームで、ラーニアの口から告げられたミストレアの代表辞退――俺たち二年の教室は、昼休みになった今もその話題で持ちきりだった。


「まさか……ミストレア先輩が……」

「……代表、やめる?」

「……なんで、やめる?」

「代表の交代は、毎年、一人二人はいるらしいですからね。

 その原因は怪我などの外的な要因がほとんどだったそうですが……」


 今回の問題は、自ら辞退したという事だ。

 三年生であるミストレアにとっては、最後の学院対抗戦。

 学院対抗戦は冒険者候補生にとって夢の舞台。

 そこでの活躍は、冒険者ギルドに所属する為の近道とまで言われているらしい。

 しかし、ミストレアは自らそのチャンスを捨ててしまったのだ。


「具体的な原因はなんなのかな?」

「本人の口から聞いたわけではないが……」


 戦闘バトル委員会コミュニティでの敗北が尾を引いているのは間違いないだろう。

 プライドの高さゆえに、自らの力で勝利を掴めなかった事をミストレアは悔やんでいるのかもしれない。


「本人が決めたことなんだろ?

 だったらオレらが、とやかく言う事じゃねえさ」


 確かにセイルの言う通りではあるが……。


「……でもあの先輩、チームメイト」

「……ご主人様と、同じ競技に出るはずだった」


 ルーシィとルーフィの言う通りだ。


「ミストレア先輩の代わりに、チームに入る生徒の事は知らされているの?」

「いや……」


 エリーに尋ねられ、俺は小さく首を振った。

 鬼喰デモンイーターには、ミストレアの代わりとなる生徒が入る事になる。

 それは、補欠のメンバーから選ばれるのだとは思うが……。


「なんだかイヤな雰囲気だよね……。

 学院対抗戦が始まる前から、みんなの戦意が下がっているっていうか……」


 学院全体が不穏な雰囲気に包まれている事は間違いない。

 それは今回の事だけが原因ではない。

 魔族襲撃の件も含めて、良くない事が重なっている。

 そう考えてしまう生徒が大半だろう。

 だが――ミストレアの代表辞退をチャンスとみる生徒たちもいる。


「……これで一名、欠員が出来たって事だよな?」

「なら、俺たちも代表に選ばれる可能性あるんじゃないか?」

「でもでも、だとしても選ばれても補欠なんじゃない?」


 こんな話が出るくらいには……。

 しかし、追加で代表が補充されるかはまだわからない。

 今日中にその発表はあるのだろうか?

 そんな想いを抱えながら昼休みを過ごした。




      ※




 ミストレアがいない状態のまま、競技の訓練は続いた。

 競技のメンバーであるイーリナもコルニスも訓練に没頭している。

 そのせいか、ツェルミンとノノノは気まずそうに口を閉ざしていた。

 チーム内が重い空気で包まれる中、


「あんたたち、ちょっといい」


 声を掛けてきたのは、ラーニアだった。

 そして隣には見知らぬ生徒。

 その生徒が鬼喰の新メンバーとしてチームに入る事が告げられた。




      ※




 訓練が終わり、放課後を迎えた。

 鬼喰では指揮官――チームメンバーのリーダー格でもあったミストレアが抜けた事で、メンバーの士気は勿論、チームワークは悪化。

 現状、俺達は問題を多く抱えることになってしまった。


「……参ったっすね……」

「ミストレア先輩……どうして辞退なんて」


 犬耳をペタンと垂れさせ、頭を抱えるコルニス。

 ノノノはミストレアが代表を辞退したのが、未だに信じらないようだった。


「落ち込んでいても仕方ないだろ!

 安心したまえ!

 この僕が――新たなチームリーダーとして君たちを勝利に導いてみせようじゃないか!」


 ツェルミンは胸を叩いた。

 一応これは、この男なりにチームを鼓舞しようとしているのだろう。

 多分。


「……ミストレア……なんで……相談もせずに……」

「そうっすね……。

 せめて自分らには、相談してほしかったっすよ」


 イーリナとコルニスは、唐突にミストレアがやめていった事もショックのようだ。

 三年間――共に切磋琢磨してきた仲間だと、彼女のことを思っていたのかもしれない。

「二人は今も、ミストレアから話を聞けていないのか?」

「……まぁ……そうっすね。

 ミストレアのこと、友達……だと思ってたんすけど……」

「…………」


 友達……そうか。

 なら、何も言ってくれないのは寂しい。

 もし友達が苦しんでいるなら、きっと力になってやりたいと俺なら思う。


「なら――今からミストレアに会いに行こう!」

「え……今からって……」

「……どこにいるか……知っているの……?」

「わからん!

 でも、どこかにいるだろ?」

「ど、どこかにって……そりゃそうっすけど」


 コルニスが苦笑した。

 俺は変なことを言っただろうか?

 二人はミストレアと話す必要がある。

 そう思っただけなのだが。


「……いいわ。

 ……ミストレアを……探しましょう……」


 そうして俺とコルニス、そしてイーリナはミストレアを探す事になった。




         ※


 だが――


「マルス君、少しだけ宜しいでしょうか?

 今から生徒会室まで来てください」


 学院に戻った直後、アリシアに生徒会室に呼ばれるのだった。

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