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争いの前兆

 どう回答するのが正解なのか。

 考えた結果、


「――なら全員で頼む!」


 俺が決定を伝えると、


「ぇ……?」

「「全員?」」

「ハーレムをお望みですかっ!?」


 三者三様の返事。

 しかし、誰か一人選んで問題が起こりそうならこうするしかない。


「ダメか?」

「だ、ダメではありませんが……。

 むぅ……やはりイーリナ先輩の言っていた通りの結果に……」


 イーリナの?

 この不可思議な状況は、イーリナによって作り出されていたものというのは想像が付いていたが、俺がする選択まで読んでいたのだろうか?


「ご主人様が望むなら」

「全員でご奉仕する」


 ルーシィとルーフィはマッサージでもするみたいに俺の腕を揉んでくる。


「じゃ、じゃあ私はマルスにお茶をれるね」

「エリシャさん、マルスさんではありません!

 今はご主人様です!」

「ご……ご主人様に、お茶を淹れさせていただきます」


 ラフィが注意すると、エリーは羞恥に顔を染めながら言い直した。


「エリー、無理しなくていいぞ?」

「う、ううん。

 私、頑張るよ!」


 何を頑張るつもりだ。とは口に出すことは出来なかった。

 ここは冒険者育成機関のはずだが――いつの間にか、家政婦メイド育成機関に変わったのだろうか?


「……な、なあラフィ、これはいつまで続くんだ?」

「勿論、ご主人様に満足していただくまでです!」


 恐らく、満足することはない。

 なぜなら戸惑いばかりだからだ。


「……友達に奉仕されるというのは、なんだか違和感があるんだが……?」

「それはもしかして、恋とか愛を感じてしまう前兆なのでは!?

 普段は見られない家政婦メイド姿のラフィに、ご主人様は胸をときめかせて――」

「兎にご主人様の胸が」

「ときめくはずがない」


 ラフィの言葉を遮る双子。

 相変わらずいい連携だった。

 兎人ラビット闇森人ダークエルフが舌戦を繰り広げている間に、


「はい、マルス――じゃなくて、ご、ご主人様」


 エリーがお茶を淹れてくれた。

 お茶というのをあまり飲んだことはないが、なんだかいい香りがする。


「これ、ネルファさんお勧めの茶葉らしいんだ。

 マ……ご主人様が来る前に飲んでみたんだけど、香りもいいし、苦味も少ない。

 なんだかほっと落ちつく味だったよ」

「そうなのか。

 それじゃあ、ありがたく飲ませてもらうぞ」

「うん!」


 早速お茶を飲もうとしたのだが、


「……ルーシィ、ルーフィ、手を離してもらってもいいか?」」


 俺が頼むと、二人は直ぐに腕を開放してくれた。

 そして、カップを手に取ろうと手を伸ばした。

 しかし、


「ご主人様、まだふーふーが済んでませんよ」

「ふーふー? なんだそれは?」


 尋ねると、ラフィがカップに顔を近づけて、


「ふーふー」


 唇を突き出し、お茶に息を吹きかけた。


「ご主人様が火傷しませんように、しっかり冷まさせていただきます!」


 なるほど。

 確かに淹れたばかりのお茶は湯気がたっており熱そうだ。


「兎、その役目はずるい」

「ふーふー、私達もする」


 そして闇森人ダークエルフの姉妹も、


「「ふーふー」」


 ラフィと共にカップを覚まし始めた。


「エリシャさん! なに一人ぼけっと突っ立てるんです!

 家政婦メイドらしくご主人様にご奉仕です!」

「わ、私も……?」

「ほ~、できないんですか?

 つまりエリシャさん、ご主人様のことがお嫌いだと?

 ふーふーするのもイヤだと?」

「そんなこと言ってないよ!

 ……わ、わかった、すればいいんでしょ!」


 四人がカップに向かって「ふーふー」としている。


(……き、気まずい)


 正直、帰りたかった。

 だがここでみんなを置いて行くわけにはいかない!

 これは俺の為にやってくれていることなのだ。

 仮にこれで俺が嫌がれば、その想いを無碍にすることになってしまう。


「……そ、そろそろいいんじゃないか?」

「もう少しお待ちください」


 この状況はいつまで続くのだろう。

 そう思った時だった――バンバンバン! と激しいノックが聞こえ、


「ま、マルス先輩! 失礼します!」


 意外な人物――生徒会の一年であるセリカが、委員会部屋コミュニティールームに入ってきた。


「ぁ――」


 入ってきてしまったのだ。

 そして案の定、見てはいけないものを見てしまった。

 そういう顔をして室内の光景に目を丸めていた。


「せ、セリカ、ちょっと待て。

 これは違うんだ」

「お、お楽しみの最中、し、失礼致しました!」


 いや、お楽しみではない。

 それは断じて勘違いだ。

 どちらかといえば苦行に耐えていたと言っていい。

 しかし、この状況をどう判断するのかはそれを見た第三者であって俺ではない。


「で、ですがアリシア会長から急ぎの言伝が!

 マルス先輩を急ぎ戦闘バトル委員会コミュニティに連れてきて欲しいと言われ……その……」


 セリカは完全に焦っていた。

 が、


「アリシアが? 何かあったのか?」


 戦闘バトル委員会コミュニティと聞いて、嫌な予感がした。


「は、はい! ミストレア先輩が戦闘バトルの委員会に所属するグループと喧嘩……いえ戦闘になっていて――」


 状況を伝えられた俺は、急ぎ戦闘バトル委員会コミュニティに向かった。

キャラクターの設定など忘れてしまうというご要望が以前からございましたので、

簡易的ではありますがキャラクター紹介を投稿致しました。

http://ncode.syosetu.com/n7236dl/

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