学院対抗戦――参加競技決定①
更新、遅くなってすみませんでした。
16/01/27 22:05修正
競技人数を間違えていた為、修正を加えました。
申し訳ありません。
放課後、俺も含めた学院対抗戦の代表選手が四十人が戦闘教練室に集まっていた。
選手たちから少し遅れてラーニアやリフレを含めた七人の教官がやってきて。
「全員揃ってるわね。
学院対抗戦初参加の生徒もいるから、まずは競技について説明するわ」
ラーニアが口を開いた。
学院対抗戦の競技は全部で七つ。
・死旗
・動的
・身代
・奪還
・嘘庭
・鬼喰
・戦王
以上の競技があるらしい。
これら以外にも、一年生のみ参加する新人戦という特殊な試合もあるそうだ。
競技内容は通常の学院対抗戦と変わらないらしいが、あくまで一年生同士で競い合う為のものらしい。
有望な新人のチェックと言ったところなのかもしれない。
競技にはそれぞれ配点が決まっているらしく、三位入賞までは点数が得られ、全競技終了時の得点で順位が決まるそうだ。
各競技二チームまで参加可能らしい。
新人戦も順位に応じて配点があるので、総合優勝を狙うのであれば重要のようだ。
「理想を言うなら、全競技優勝ね!」
「みんななら勝ってくれるって、わたし~信じてるから~!
ちなみにみんなの活躍次第でわたしたちにも報酬が出るからがんばっーーぎゃん!?」
ラーニアの拳がリフレの被っている魔女帽をぺちゃんこにし、そのまま頭頂部に突き刺さっていた。
「っ~~~~いった~い!! 何するのよぉ~!?」
「あたしらの事情は気にしなくていいわ。
あんたたちは競技に集中しなさい」
プンスカプンと反論するリフレを無視し、ラーニアは生徒に無駄な重圧を与えないよう配慮したようだ。
「誰がどの競技の選手を務めるかはこちらで決めてるから、
詳しいルールはそれぞれの競技の指導教官から聞きなさい」
その言葉の後、各競技の指導を担当する教官と、各競技の参加選手が発表され。
エリーは嘘庭。
セイルは奪還。
ルーシィとルーフィが身代。
俺は鬼喰という競技の参加が決まった。
しかも、ツェルミンとノノノも一緒だ。
指導教官はラーニアだった。
一体、どんな競技なのだろうか? と考えているところに。
「最後――戦王の代表はマルス、あんたよ」
(……うん?)
再び名前を呼ばれた。
既に鬼喰の代表に決まっていたので、少し戸惑いを覚えたのだが。
告げられ瞬間――選手たちの間にどよめきが走った。
「やっぱ戦王の代表はマルスだったか」
「……三年以外が代表に選ばれることってあるんだな」
「まあ、妥当なんじゃねえの?」
などと、何人かの生徒が口々に漏らしていく。
「ラーニア、俺は鬼喰でも名前を呼ばれたんだが?」
「いいのよ。
戦王は、七つの競技の中で唯一掛け持ちが許された競技なんだから」
良くわからないが、俺は戦王という競技にも出場することが決まったようだ。
「これで各競技の代表は決定よ。
後は各競技の代表に別れて、指導教官から説明を受けなさい。
一年生は新人戦の説明をリフレから受けること」
王戦の指導教官は発表されていないので、取りあえず俺は鬼喰を担当するラーニアの下に向かった。
「マルス、貴様! 戦王に選ばれたからと言って調子に乗るなよ!」
「……ツェルミン、そういうのは後ね。
先に先輩方に挨拶しないと」
「む……た、確かにその通りだな」
ダダダダとわざわざダッシュで俺に近付き、ビシッと人差し指を俺に向けてきたツェルミンをノノノは冷静に説き伏せた。
集まったメンバーは全部で六人。
ツェルミンとノノノ意外は知らない生徒だ。
恐らく、三年生なのだろうけど。
「六人が鬼喰のチームメイトよ。
ただしここから、三対三に分かれてもらうけどね。
ルールの説明をする前に、お互い自己紹介でもしときなさい」
ラーニアに促され、ツェルミンとノノノが名前を名乗り簡単な挨拶をした。
続けて俺が。
「マルス・ルイーナだ。
全員先輩でいいんだよな?」
念の為、確認すると。
「ああ、全員三年だ。
ワタシはミストレア・ウェルミルだ。
宜しく頼むぞ、マルス君」
手を差し出された。
一目で利発だとわかる女性――少女というよりは女性という表現が当てはまると感じた。
赤みがかった茶色い髪が耳にかかる程度のショートヘア。
俺に手を向け微笑を浮かべるその顔は、爽やかで力強く美しい。
女性の中にある男らしいカッコ良さが感じられる先輩だった。
「宜しく頼む」
伸ばされた手を握ると、先輩はその手をしっかりと握り返した。
そして順番に、ツェルミンとノノノとも握手を交わした。
続いて。
「じゃ、次は自分っすね!
自分はコルニス・ノーマン。
皆さん、宜しくっす!」
剽軽な印象を受けるのは、この軽い言葉遣いのせいだろうか?
猫人族の男なのだが、ミストレアとは対照的に子供っぽい印象を受けた。
こちらは先輩ではあるが少年と言った感じだ。
手を差し出すと、両手でにぎにぎと握ってきた。
「ふふっ……最後は……私ね。
……イーリナ・ペルニクル……よ。
……よろしく……」
顔が見えなかった。
伸ばされた黒髪で顔が隠れている。
(……この人は、前方が見えているのだろうか?)
「見えて……いるわ」
「うん……?」
「よろ、しく」
手を差し出されたので、俺はその手を取った。
するとイリーナがぶるぶると身体を震わせた。
顔は見えなかったが、どうしてかイリーナが微笑を浮かべている気がする。
(……謎だ)
この学院に入ってから、色々な者を目にしてきたが、数百人いる生徒の中でもとんでもなく謎で、少し不気味な先輩だった。
「じゃ、自己紹介も終わったようね。
各人の能力はレポートである程度把握しているけど、相性もあると思うからチームを決めるのはそれを見極めてからにするわ。
と――その前に競技について説明か」
他の生徒はどうかわからないが、少なくとも俺は初参加なので説明が必要だ。
「ミストレアとイーリナは前もこの競技の代表に選ばれてたわよね?
どっちか、後輩たちに説明してやんなさい」
「わかりました」
イーリナと一切相談することなく、ミストレアが鬼喰という競技について説明を始めた。