↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業無職の俺が冒険者を目指してみた。【書籍版:職業無職の俺が冒険者を目指すワケ。】  作者: スフレ
第一章――冒険者育成機関 『王立ユーピテル学院』
PR
111/201

クラス訓練④

「了解」


 ノノノは表情を引き締め、直ぐに行動を開始した。

 対照的に。



「私たち、ご主人様と別?」

「イヤ。一緒がいい」


 ルーシィとルーフィは首を横に振った。


「なっ――い、イヤだと!?

 し、指示通りに行動してくれないか?」


 そんな双子の態度があまりにも予想外だったのか、傲岸不遜な指揮官が多少下手になっていた。

 あまり思わしくない試合の状況に焦りがあるのだろう。


「ルーシィ、ルーフィ、頼む」


 俺からも二人に頼むと。


「わかった」

「従う」


 即答された。


「おい! なんなのだそれは! だったら最初から従ってくれ!」


 怒声を上げる指揮官の剣幕など全く気にした様子もなく、二人は直ぐに行動を開始した。


「む、無視だと……」


 地味にショックを受けているのだろうか。

 あんぐりと口を開いて固まっていた。


「ショックを受けてる場合か?

 さっさと行くぞ?」

「わ、わかっている!

 それに、ショックなど受けておらん!」


 声を張り上げて否定する辺り、図星をついてしまったようだ。

 だが、ようやく行動を開始することができた。


 白旗チームのフィールドは、黒旗(おれたち)のチームに比べて建物が少なく見晴らしがいい。

 今俺達が走っている方向には、図書館という施設があるくらいで他には目立つような建物はなかった。

 その施設もそれなりにでかくはあるが、俺達(こちら)のチームのフィールドには学院校舎や集会場、また宿舎がある為、旗(フラッグ)を目から遮る場所が多いという点では、白旗(あいて)チームより有利と言えるかもしれない。


 だからこそ、相手チームは旗(フラッグ)を消すという戦術に出たのかもしれない。

 現状、フィールドや状況に応じて確実に手を打っているのは相手チームの方だろう。

 相手チームの旗(フラッグ)の回収状況はわからないが、まだ負けが確定するほどの戦況ではない。


(……しかし)


 俺の前方を走るオールバックの指揮官だが、やはり走る速度は早いといえない。

 行動を共にしろと指示があった以上それに従うが、これ以上戦況が悪くなるようなら、単独行動を取らせてもらったほうがいいかもしれない。


(……チーム戦というのは、難しいものだな)


 走りながら、そんなことを思った。

 それから、図書館の裏からチームメイトが数人が駆け抜けるのが見えた。

 右に展開した班で間違いない。

 向こうも俺達に気付いたようで、こちらに向かってきた。


「はぁ……はぁ……お、お前ら、成果はあったか?」


 息も絶え絶えのツェルミンが、肩で息をしながらチームメイトの狼人達に尋ねると。


「ああ。だが、あいつら旗(フラッグ)を消してるみたいでな」


 どうやらこの班も旗が見えないという事には気付いていたようで。

 そう言いながら目付きの鋭い狼人が、右手をツェルミンに向けた。


「どうしたのだ?」

「旗(フラッグ)だ。魔術解除(ディスペル)できるヤツが班にいなかったから、このまま抜いてきた」


 狼人(ウェアウルフ)と犬人(ウェアカッツェ)によって構成されているこの班は、魔術ではなく身体能力に優れたメンバーを選び構成しているのだから仕方ないだろう。


 しかし、旗(フラッグ)を確認せずに抜くとは、思い切ったことをしたようだ。


「それは死旗の可能性もあるんじゃないか?」

「いや、死旗かどうかは抜いた瞬間に判断できるのだ。

 抜くと旗の布部分が燃えて棒だけになる仕掛けが施されているからな」


 俺の質問にツェルミンが答えた。

 ラフィが死旗には微量な魔力が流れていると言っていたが、そんな仕掛けが施されているのか。


「なるほどな。

 旗が燃えるなら気付かないわけがないか」


 俺は狼人(ウェアウルフ)が差し出していた旗(フラッグ)の布を摘み、魔術解除(ディスペル)を行使した。

 すると相手チームの白い旗が見えて。


「うむ! まず一本だな!」

「ああ。他の旗もさっさと回収しよう」


 微量な魔力を放っているのは位置(ポイント)は残り三箇所。

 位置はだいたい把握できている。

 俺はそれをチームメイトに伝えようと、口を開いたところで。


「や、やっと追いつきました……」


 ラフィの声が聞こえた。

 目を向けると、真っ白な肌をほんのりと赤くしたラフィが、小走りで(彼女は本気なのかもしれないが)やってきた。


 俺の寄りかかるように身体を預けたラフィがゆっくりと息を整えた後。


「相手チームの生徒から、全ての旗の位置を聞き出してきました。

 これで勝利確定です!」


 俺を見上げてニッコリと可愛らしい笑みで勝利宣言を口にした。

 誇らしそうに耳がパタパタと揺れていて、反射的にその耳を撫でてしまった。

 モフモフとして毛並みがよくサラサラだった。


「ぁ――も、もう、耳はダメですマルスさん」

「す、すまん。反射的に触ってしまった……」


 ダメと言いながらもラフィはイヤそうな顔はしておらず、気持ち良さそうに目をとろんとさせて身体をすりよせてくる。


「お、おい! ふざけている場合か!

 ど、どうやってそんなことをしたのだ!」

「……もう! 今からマルスさんとラブラブしようと言うところで、余計なチャチャを入れないでほしいのです!」

「貴様は勝ちたくないのか!」

「あなたは馬鹿ですか?

 マルスさんとラブラブすることより、ラフィが大切にしなければいけないことなどありません!」


 いやラフィ、そんな堂々と宣言しないでくれ。

 チームメイトたちが明らかな敵意を持って俺を睨んでいた。

 その目からは怒りだろうか? 何らかの感情が灯っていた。


「テメェー、マルス!

 前から思ってたが獣人の女神であるラフィちゃんを独り占めしてんじゃねえ!」

「そうだぞマルス君!

 女神とは信仰の対象なのだ! 独占していいものではない!」


(……女神って、何を言ってるんだこいつら?)


 彼らが発露している感情は怒りではないのかもしれない。


「お前ら! 試合に集中しろ!」


 一喝する指揮官。

 だが、遊んでいる場合ではないのは事実だ。


「ラフィ、話してくれるか!」

「はい! 勿論です!」


 輝くばかりの笑顔で即答された。


「おい! だったら僕が聞いた時にさっさと話さんか!」


 ツェルミンの悲しみの叫びが青空に響き渡った。

相手チームの視点でも書きたいのですが、物語のテンポが悪くなる恐れがあるので現状では省く予定です。

一章完結後くらいに付け足せればと考えております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。