俺と彼女と愚弟の恋ゴコロ
「新島!!ちょっとあんたの馬鹿弟なんとかしなさいよぉっ!!」
教室で食べさしあいっこをしていた俺たちの前に、クラスメイトのクレーム。
「あー…有のことか」
「もうガチでアイツしつこい!あんた兄貴なんでしょ!?ちゃっちゃと追い返してよ!」
「ゆーくん、あいのちんのこと大好きだもんね~」
そう、俺の弟である新島有はこのケバい化粧をしたロン毛の女、逢野恵に淡い恋情を抱いている。
「ほんっと信じらんない、あいつの趣味って清楚なお嬢様でしょ!?それがなんだってこんなチャラい女を…」
「一応自覚あったのか」
「うっさい!」
肘で思いきり後頭部を殴られる。意外にも強いなコイツ。
なんてことを思っていると、
「恵せんぱーい!!お昼食べやしょーよー!」
「うげっ、きた…」
「いいじゃん、あいのちん。よかったら一緒に食べるー?」
「え、椚ちょっとそれは…」
俺が否定する前に逢野の瞳はみるみるうちに輝き、愚弟を呼ぶ。
「新島弟!!二人きりじゃなくてこのメンバーとでなら一緒に食べてやってもいいケド?」
おいおい、何言いたい放題言ってんだ。俺と椚の大切な時間を貴様らと一緒に過ごすだなんてお断りだ。即却下だ。
「え。マジっすか!?いやぁ~なんか悪いっすね、お二人のラブラブな時間にお邪魔しちゃって」
「うるせぇそう思うなら最初っからこいつを追わなきゃいいというか追うなマジで」
そうして俺たちは度々やってくる弟と逢野に挟まれて、昼食をとることになってしまったのだ。