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俺と彼女とお菓子作り
椚は今日も可愛い。
「きょうのオヤツ何がいーいぃ?」
なんて愛らしい顔で、しかも水玉ピンクのエプロンでこちらを覗いてくるものだからもう鼻血噴射寸前。目に刺激がきて、もうやばい。俺今なら血の涙ながせそうだ。
椚はこうやってたまに俺と一緒に菓子を作る。元々俺はパティシエ目指してたし、それなりに作れたりするのだが。
「昨日は爆発しちったかんねぇ~。今度はもう卵レンジに入れないっ」
「……椚、そのレンジは」
「んー?壊れちった!!」
ああああああああああもう。椚が言うとなんでも許せてしまう。重病は確定しているが、今俺のビジョンでは彼女の背中には羽が生えている。いやもうマジで。
「今日はマロンケーキ作ろうか」
「あっ、にいじまのマロンケーキ好きっ」
今日も俺の彼女は可愛い。
だがこのあと、彼女の持ってきた材料に俺は顔を青ざめることになる。
「にいじまぁー?どったの?」
「……流石に、唐辛子と栗のペーストは、ちょっと……」
彼女とのお菓子作りは、案外甘くないハプニングが起こることがある。
それを実感した、17の冬。