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俺と彼女と三年目のクリスマス・イヴ
「眠いいいいいいい………」
「椚、ヨダレ」
「あっふ」
慌てて口元を伸びきったセーターの裾で拭う、俺の彼女。ああ可愛い。
彼女は椚伊吹。小柄な体躯に似合わぬダボダボなセーターは、彼女の体を包み込み、いやむしろセーターが彼女を着ている?まぁ、そんな感じの子だ。
「山ちゃん先生の声なーんか眠くなるんだよねぇ……ふぁぁ」
「ホラ、次移動教室だから。しゃんと立つっ」
「みにゃうっ」
脇のあいだに手を挟んでやって、そのまま上に高い高いをする要領で持ち上げる。すると椚は「こしょばいようにいじまぁ」と、けらけらわらいながら俺の手から逃れた。
「にいじま」
「何」
「きょー、何日?」
「…………12月、24日」
「にいじま」
「……なに」
「らいねんも、一緒にいて」
少しおっとりした、俺の大好きな彼女。
「……りょーかい」
俺はこの小さな小さな彼女を一生手放さないと誓った。
そんな、イブの日。