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ハローハロー、ハロー!
ふわふわ。ここは、宙に浮かぶ雲の上。
ハローハロー、こちら雲の上、聞こえますか。
ハローハロー。聞こえていますよ。だから、早く帰ってきてくださーい。
帰る?そんなまさか。
こんな心地良い場所から離れろと言うのか。僕はぶんぶんと顔を振り、耳を両手で塞いだ。
ハロー、ハロー、ハロー!
帰れなくなっても知らないよ。
そんなの構うもんか。そもそも、帰る場所なんてありゃしないだろう。というか、あったとしても絶対に帰ってやらない。
ハロー!ハロー?
………
ん?
突然、僕に呼び掛ける声が消えた。不思議に思って、雲の上から下を覗いてみると……
『は、や、く、起きなさーい!!』
ぺしーん!!
僕は、そんな腑抜けた音と一緒に、雲から突き落とされた。
と、同時に固いベッドの上に体を打ち付ける。だしーんっ!!
手の平の中で丸まるダンゴムシのようにうずくまる僕に、毎朝かかる怒号がかかる。
『早く起きないと遅刻するわよ!!』
『うへーい』
ハローハロー。本日晴天なり。本日晴天なり。寝坊最高記録は8時15分をまわっていました。