日常生活9
俺は千佳が引越すためにまとめていた荷物をとりあえず必要な物だけ車に乗せ千佳を初めて俺の実家へと連れてきた。女を連れてきたのは初めてだ。つうか男友達すら俺が住んでいた頃には呼んだ事がないから人を招き入れる事態初めてなんだけど。この家に戻りチビ達を育てると決めてようやく長い付き合いである大輔達が初めて来た事があるぐらいだけどまあ家の前に寄った程度で家の中までは入った事がないんだよな。俺が住んでいる場所は中学の時に把握していたらしいが俺の家に呼んで遊ぶなんて事はなかったからね。そもそも俺自身が俺の家だとは思っていなかったわけだから。
『はい。どうぞ。今日から千佳と俺達の子供の家だよ。人数多くて騒がしいだろうし大変だとは思うけどよろしくお願いします。チビ達は叔父さんになるわけだけどまあ兄弟みたいに育ってくれるといいね。楽しみだよ』
つうか俺の話し聞いてないよね?千佳は俺の家を見ながら呆然とつっ立ったままだ。それより慎二郎がまだ車を借りに来てないな。結局使わねーのか?
『慶太郎?慶太郎の実家がこんなに大きいなんて聞いてないんだけど』
えっ?なんか急に静かな住宅街に入ったなとは思ったけどビックリだよ!周りの家もなんだかみんな大きい気もする。暗くても大きいって事だけはわかるよ!
『うん。言ってないからね。実家は俺にとって捨てた家だったから二度と帰る事もないと思っていたしね。とりあえずガレージには車が三台あったでしょ?俺は普段仕事に行く時にはBMWを使っているからオペルかエルグランド好きな方を使ってくれていいよ。チビ達を乗せる時はエルグランドを使ってる。寝ちゃったりするからね。千佳の乗りやすい方で買い物とかに使ってよ。んで2階は今チビ達が寝てるんだけど一番奥が二男の慎二郎の部屋。今はマンション借りて大学通ってるからあんまり帰ってこないけどいつでも寝れるようにたまに掃除機かけてくれればいい。必要なものは持って行ってるし風呂入って寝るぐらいだからね。その隣が三男の悠之心の部屋で小学5年生。悠は自分で身の回りの事は出来るし俺より料理もうまいし掃除も自分でするからたぶん何もしなくていいと思うよ。慎二郎の向かい側が双子の龍之助と虎之助の部屋。今は2人同じ部屋なんだけど個室が欲しいって言い出したら部屋を分けようとは思う。悠之心の向かい側を龍と虎のどちらが使えるように部屋は空いてるから。龍と虎はまだ片付けも出来ないし手がかかるけどよろしくね。悠之心の左隣も空いているから千佳が使う?後に俺達の子が使う部屋になるかもね。その向かい側が一応俺の部屋。寝るだけだからそんなに汚れてないしたまに掃除してくれたらいいです。んで両隣共に物置があってどっちかに掃除機とか入ってるはずだよ。突き当たりはトイレと洗面所ね。下におりて玄関入って左側は俺の書斎。仕事はここでやります。あー散らかってますね。また今度片付けますよ。その隣は応接間だからまあお客さんが来たらここで対応してくれたらいいから。その向かい側は和室の客室だけど使ってないから綺麗でしょ。泊まる人が居ればここで寝てもらうかな。その隣は洋室でここも空いてる部屋だったんだけど俺が持ってきた荷物をとりあえずこの部屋に押し込んだから物置になっちゃってますがここもそのうち片付けます。その向かいがリビングでここにたいていチビ達もみんないるかな。リビングの隣がダイニングキッチン。ここのテーブルでご飯を食ってる。テレビはリビングにしかないから食事中にテレビは見れない。これは親父の躾らしく俺もそれでいいと思うし今後も置くつもりはないです。俺の物置部屋になってる隣がまた物置だけどここは食材や日用品の収納庫みたいだね。その隣がトイレと洗面所とお風呂でキッチンの奥と言うか廊下を挟んで1番奥が親父と悠達の母親の寝室だったんだけど使う事はないからいずれ片づけて俺達の寝室にしよう。その隣は親父の部屋だけど俺も入ってないし何もしなくていいよ。基本的に月に1回はハウスキーパーが徹底的に掃除はしてくれるから普段チビ達がすぐに汚すリビングとかキッチンぐらいの軽い掃除でいいし無理する必要はないからね。まあだいたいこんな感じかな?家だけは無駄にデカイからセキュリティはかけてます。カギが開くとモニターが光るし音もなるんだけど俺は朝方帰るし音がうるさいから消してる。解除なしに侵入すると警備はもちろん俺の携帯にも警報の連絡は入るから解除する事だけは覚えといてね。モニターはキッチンとリビング、玄関付近についてるからモニターを確認して玄関を開けるよう注意はしているんだけどどうやら双子のチビ2人は怪しいから出来るだけあいつらには開けさせないようにしてほしいかな。あー後洗濯物は庭と2階の物置のところにベランダがあってそこにも干せます。でも俺は乾燥機かけるから干してないけど。悠はシワが出来るからあいつが洗濯してくれる時は主婦みたいに干してるよ。お母さんの手伝いをしていたみたいだから覚えたんだろうね。とりあえず俺より悠に聞い方がよくわかると思う。起きたら紹介するよ。こんなもんでだいたいいいかな?何か質間はありますか?』
まあそのうち慣れますよ。とりあえず玄関の鍵を開けたら解除だけはしてくれなきゃ困るんだけど。
『ううん。何から質問していいかもわかんない。ちょっとびっくりして』
『まあごらんの通り片付けさえすれば部屋はあるから俺達の子供の部屋も問題ないと思うよ。とりあえず風呂に入ってくれば?』
その片付けが出来ないんですけどね。
『う、うん。わかった。どっちだっけ?』
『左だよ。ここね。1番奥に風呂がある。大人が5人ぐらい入れるんじゃないかな?親父は何故か子供がいっぱい欲しいって奴だったからね。たいして面倒見るわけでもないのに。もしかして俺の知らない所に俺の兄弟がいるんじゃねーか?って何度か思った事があるぐらいだから。ダイニングテーブルもでかすぎるでしょ?お客さん呼んで飲んだりしていたからね。12人ぐらい座れるのかな?今は基本4人しか座る事がないんだけど。これからは千佳と子供と慎二郎が帰ってくる日は7人は座るからまあデカくてよかったかもね。じゃあゆっくり入ってきてよ』
本当に部屋数が多く俺はどうして2階に6つも部屋があるのか謎だった。俺と慎二郎だけの時からだから2階を親父やお母さんが使っていた事もあった。お母さんが使っていた部屋を今は俺が使っている。俺が幼い頃から家を出るまで使っていた部屋は悠の左隣で今は空き部屋だ。全ての部屋がリフォームされているが俺が暴れた部屋でもあり壮ちゃんと過ごした部屋でもある。俺の16年間を見てきた部屋だ。俺が引越しをするにあたり空き部屋は2階に3つ選択できた。まあ龍と虎の隣で真ん中の部屋が階段が近くていいがどうせそのうち双子が部屋を移るんだし双子の隣は空けておくほうが部屋をわける時ラクかと思い却下し残るは昔俺が使っていた悠の左隣かその向かい側であるお母さんが使っていた部屋の二択が残り俺は結局お母さんが使っていた部屋を選択した。その時にはまだ昔の事を全てを受け入れる気持ちの準備が出来ていなかったのかも知れない。この家は廊下も無駄に広い。当時は掃除なんかした事がなかったから掃除が大変だろうなんて考える事すらなかったけど悠達のお母さんは家政婦を雇っていなかったから自分で掃除などもやっていたんだろうし大変だっただろうな。俺達のお母さんは家政婦を雇っていた。料理だけは自分で作って慎二郎には食わせていたけど掃除はおそらく家政婦任せだ。俺には壮ちゃんがベビーシッターとしてつきっきりだった。掃除機をかけたりベットのカバーは勝手に交換されていたけど洗濯物はいつもベットに置かれていた。あれはたぶん壮ちゃんの指示だと思われる。自分でクローゼットの中にしまうよう毎回やらされた。壮ちゃんが来てから急にだ。掃除してくれるおばさんに慶太郎の部屋や机の上に散らかっているものは触らないで下さいと言っていたのを聞いた事がある。でも散らかる事はなかった。壮ちゃんはちゃんと片付けが終わらないと次へ進まないからだ。どんなに眠くてもノートや鉛筆などを元の場所に戻してやっと終わりになるわけで復習が終わったからじゃあベットに行って寝なさいとは絶対にならないし着替えもたとえ時間がないとなってもちゃんとたたんで洗濯物のカゴに入れるまで移動はしなかった。俺がグズってやらないって言えば尻を叩かれるだけだ。当然その後やらなければならない。本当に幼稚園児の頃は片付けは出来ていたのにね。なんで今は出来ないかな?俺ちょーダメなパターンじゃん。
『うん。じゃあお借りします』
普通のお風呂じゃないじゃん。スパリゾートの小さい版みたいな感じ。シャワーが2つも必要なの?
『お借りしますって千佳の家なんですけどね』
まあさっき来て自分ん家って言われてもピンとこないのかな。
『そうだけどまだ弟君達に認められてないし頑張るよ!』
それだよ!肝心なのは!本当に私で大丈夫かな?慶太郎なんかちょっと変わった気がするのは離れてからなの?大事な宝物が出来たからだよね?だからこそ絶対守りたい。
『俺の弟達は俺と違ってみんないい子だからよろしくね。俺の大事な弟達なんだ』
本当に俺とは違っていい子に育ってるよ。まあちょっとわがままなんだけど。
『うん!わかってる。私も頑張って守るからね!守らせてね!』
『ありがとう!千佳。キスしていい?』
『うん!』
千佳には両親がなく親戚の元で育ったと聞いている。俺が千佳と初めて出会ったのは17歳になる少し前でその頃の俺はすでにホストでありたまたま街で出会った早生まれの千佳は2つ学年が上になる18歳の短大生だった。店に来るようなタイプでもなく俺が口説くのに1年もかかった女は千佳が初めてだった。ホストである俺を相当警戒していたよね。でも俺が初めて本気になった女は千佳だけだよ。俺が愛を知らないばかりに君を沢山傷つけてしまい俺と千佳は傷の舐めあいで愛ではないと言う決断に至り俺達は別れを選んだ。本当に俺達の愛は傷の舐めないだったの?まだ俺もよく愛がわからないけど俺達の子がまた俺達を結びつけてくれた。俺はもっと努力して今度こそ本物の愛を千佳に与えられるよう頑張るよ。俺達はやっぱり結ばれる運命にあったと思いたいしもう君を傷つけたくない。