日常生活6
あー16時になっちゃったな。家に着くのは16時30分ぐらいか。とりあえず現場はけっこう時間に余裕は作ったつもりなんだけどね。靴を買いに行く為にな。頑張らせて頂きましたよ。口にした事は守るようあいつらに言ってるだけに俺も守らないとね。とりあえず家に連絡入れておこう。
『もしもし?悠?今家に向かってるから16時30分ぐらいには着くよ。龍と虎はいる?出る準備しといてよ!』
『もしもし?慶兄?うん。わかった。でも龍はいるけど虎はいないよ!』
『はあ?もうどこ行ったんだよあいつは。ちょっと公園でも見に行って連れて帰っといてくれよ!』
『うん!わかった』
もうなんなのあいつは。忙しい所を無理して帰ってきてるっつうのに。夏服も買っておかないといけないよな。去年のなんてどうせ着れないんだろう?あいつらが着てるのはどこのブランドなんだ?子供服のブランドだよな。百貨店かな?3人共に同じブランドなんだろうけどお義母さんどこで買ってたんすか?4月に春物とか必要なものはお義母さんが準備してくれていたから俺はゲーム以外買ってなかったもんな。あれからもうすぐ3ヶ月なんだ。子供って日に日に成長していくんだね。お義母さんは悠達に受験させようとはしなかったんですか?親父も俺で学んでうるさく言わなくなったのかな?失敗作が俺だもんね。悠達が辛い思いをしてないなら良かったよ。それより虎のわがままは俺だけのせいじゃないぞ。絶対に親父達も甘やかしてたな。俺と住み始める前からすでにわがままだ。末っ子だからかな?よし着いた。早く行かないと。
『ただいま!おい!お前ら行くよ!』
『おかえり!慶兄!』
『おかえりー慶太郎兄ちゃん!抱っこして!』
『慶太郎兄ちゃん!おかえり!僕も抱っこして!』
『はいはい!おいで!虎は公園にいたの?今日靴買いに行くから待っててねって言ったんだけど!』
とりあえず俺の顔を見ると飛びついてくるように抱っこをねだる双子。かわいいぞ。かわいいんだけど虎は本当に話し聞いてねーな。
『だって忘れてたもん!』
『あーそう。まあいいや。行くぞ!はい!2人共おろすよ!靴履いて!』
同時に抱くのはいつまで出来るかな。まだ軽いからいいんだけど。まあ低学年ぐらいまでか。抱っこをねだってくれるのも。
『あー誰か来た!』
『コラ!虎!モニター見てないのに玄関は開けちゃダメ!知らない人だったら絶対に開けちゃダメっていつも言ってるだろ。お前モニター見ないで開けてないだろうな?インターホン鳴ったらモニター見て知らない人だったら開けなくていい!わかった?』
怪しい。絶対に怪しい。こいつら絶対にモニター見ないで開けてるんだな。ますます心配じゃねーか。やっぱ家政婦いるな。
『見てるよー!』
『見てねーじゃん!今開けようとしただろ!危ないから友達以外は開けちゃダメ!龍もだよ!わかってるの?』
適当な事を言うんじゃねーよ。
『わかってるよ!僕は見てる!』
『虎は!わかったの?』
『わかったよー!』
『はい!なんですかね?悠!車の鍵あいたから2人乗せてて!』
玄関を開けると門の前に訪問販売の営業マンらしき中年が立っていたがとりあえず俺は忙しいんだよ。門の横にあるガレージに向かって車のキーを開けたがさっさとこいつを立ち去らせたい。
『こんにちは!今、こちらの住宅街を回らせて頂いてるんですがお出かけですか?』
『車はどれで行くの?』
『今から出ますけどなんすかね?悠!エルグランドに乗せてて!んで要件は?』
どう見ても出掛けるに決まってんだろ。ウゼーな。とりあえず悠達を車に乗せて待たせ早くこの売り上げを上げれそうにないような営業マンが鬱陶しい。
『水道の浄水器なんですけどつけられてますかね?』
『あーつけてますよ。間に合ってますね。他あたってください。出かけるんで』
とっくについてるしお前みたいなトークでは買わないね。とりあえず空気読め。俺は忙しいんだ。
『はい。すいません。じゃあまた機会がありましたらお願いします』
『よし!行くぞ。悠之心くん!助手席座るんだったらシートベルトしてくださいね。俺点数ヤバイんで!龍!虎!さっきみたいに知らない人が来るんだから絶対にモニター見て知らない人は開けちゃダメだよ!わかった?』
また免停なんかになったら困りますからね。つうか絶対にわかってないよなこの双子は。まだチビだもんな。悠より早く帰ってくるしその間に居てくれる大人が必要だ。家政婦の手配急がないと危険だぞ。
『わかった!僕ガレージのボタン押したい!』
『わかったから僕もやりたい!』
『また帰ってくるんだからジャンケンして!はい!じゃあ虎だね!早くおろして!』
ガレージのシャッターはリモコンで上下に開閉する。これを毎回双子がやりたがるんだ。車の中でリモコンの奪い合いが始まる。何が面白いのかわからないんだけどな。もうさっさと走らせたいんですけどね。
『どっちのボタン押すのー?』
『左!虎!左わかる?』
『お箸の方でしょ!』
『うん。まあそれは俺と虎の場合だけどね。はい!いいよ。閉まったからリモコン返して!おもちゃじゃないの!』
偉そうにお箸の方でしょ!って言っちゃってるけどそういう覚え方間違ってるからね。悠と龍は右利きだし。
『わかったよ!』
『悠!夏服も買っとこうと思うんだけどそのブランドはどこの百貨店にお義母さんが買いに行ってたかわかる?』
『うん!わかるよ!』
『んじゃ靴もそこでいい?』
『えー靴はスニーカーがいいからスポーツ店がいいよ!そこではブーツしか買ってないし』
『はいはい。わかりました』
あー。一気には済ませられねーか。
『ダメだよ!虎!やめて!』
『うるさい!喧嘩しないよ!虎!何やってるの?余計な事をしなくていいからちゃんと座ってなさい!』
もうー!すぐ喧嘩になるよな。つうか基本虎がからむんだけど。
『だって龍が通信してくれない!』
『もう着くからゲームなんかしなくていいの!はい!龍!虎!降りて!危ないから飛び出しちゃダメだよ!虎!早く靴履いて!行くよ!』
車から降ろすってだけでも時間を食う始末だ。
『ゲーム持っていく!』
『服買うだけだから持っていかなくていいの!早くしなさい!』
車から降り店内に入るまでにもふらふらよそ見しながら歩く双子だ。あ、危ない。駐車場だって急に飛び出す。車が来るんだっつうの。毎度の事だがまだまだこいつらは本当に目が離せない。毎回言ってんだけど車から降りると前しか見ず走り出すからな。何度もその度に双子の尻を1発叩くんだけど危険と言う認識が薄い。まあズボンの上から軽く叩いてるだけだからな。俺が怖いんだよ。
『悠!子供服7階だけどここでいいの?』
『うん!ギャングってブランド。あそこだよ!』
『悠は自分で選んでね!龍!虎!お前らサイズ見せて!あっ!これかっこいいじゃん!これいる?』
虎は青系、龍は黄色やオレンジ系が入った色好むようだ。好みも違うんですね。
『うん!』
『僕は青い色!』
『他には何がいるかな?ズボンは?暑くなるから半パンでいいね!ちょっと履いてみて!お姉さん!試着させてもらっていい?』
『はい。こちらへどうぞ!』
『慶兄!このカバンも欲しい!』
『はいはい。悠!お前もズボン選んでてよ!パンツもここのブランドか?もう全部必要なものは買っといて!とりあえず一通り揃えておこう。靴下もあるじゃん!龍と虎は色違いでいいな』
買い物も大変だよ。何でもいいからとりあえず揃えといてくれないと困るよ。後からまた急にちっちゃいとか言われてもな。
『僕は青が好き!この帽子も買う!』
そうか。夏だしキャップもいるよね。危なかった。なんかクローゼットに帽子コーナーもありましたけど全部ちっちゃいのかな?把握出来ないからちっちゃいのは処分してほしいけどそんなのお前らが出来るわけないよね。服を着るのもままならない双子だからな。
『じゃあ被ってみろよ!いいの?』
『うん!僕かっこいい?』
『うん。かっこいいね。龍も同じのでいい?違う色?』
『違う色!この黒いのに黄色が入ってる方!』
『とりあえず10着ずつありゃ足りる?足りなかったらまた今度買いにこようね!どうせ来年には着れないんだろうからちゃんと着てよ』
『別々にお入れした方がよろしいですか?』
『うん。そうだね。三人分わけて袋に入れてくれる?』
『はい。かしこまりました。Tシャツが30点とズボンが30点、帽子が2点、カバンが1点、靴下が30点、下着が30点で合計が51万2800円になります。お支払い回数は1回でよろしいですか?』
『うん。1回でいいよ。悠は自分のを持ってよ!』
『うん!わかった。慶兄1回でってどういう意味?なんでお金払わないの?』
『カードで買ってるからだよ。後から引き落とされるの。1回って言うのは全額1回で払うって事だよ。お義母さんもカードで買ってただろ?』
『え?51万もするの?お義母さんそんなに買ってなかったよ!』
カードってすげー。お金いらないんだ。お母さんもカードで買ってたっけ?
『いっぺんに買ってないからわかんないだけだよ。ちょくちょく買ってたら合計はそれぐらいになるんだ!お前らのTシャツが一枚5千円ぐらいするんだからまあこんなもんだろ』
高いのか安いのかわかんないんだけど。すぐ着れなくなるから子供服なんてブランドじゃなくていいのか?よくわかんねーよ。俺だってブランド着てたからね。
『そうなんだ。知らなかった』
たけーじゃん!
『それをお前達はあっという間に着れなくなるんですけどね。親父が働いてたお金でお前達は服も買って貰ってたんだよ。あんな親父でもな。んで次は靴だね。スポーツ店はショッピングモールのところにある店でいいの?』
悠!俺もだけど親父のおかげで不自由なく生活出来たんだよ。それも当たり前の事じゃないんだ。あんな親父なんだけど。それには感謝しよう。
『うん!』
『はい!じゃあ行くよ!あれ?虎は?あいつどこ行ったの?』
え?また?もうー!一瞬目を離すといなくなるんだよな!あいつは!
『虎はあそこだよ!おもちゃのとこ!』
『虎!勝手に離れるな!迷子になったらどうすんの!早く行くよ!おいで!』
『これ!欲しい!』
『ダメ!買わない!服と靴を買に来たんでしょ!早く行くぞ!おいで!虎!お尻叩こうか?』
『やだ!欲しい!買ってよー!』
『いらない!どうせそんなものすぐ飽きるんだよ!早くおいで!靴買いに行かなきゃそれが1番のメインじゃねーかよ!買えなくなるだろ!早く来なさい!言う事聞かないんだったらお前お仕置きだな!』
出たよ。またグズって買ってもらおう作戦。時間ないから無理やり抱っこしてとりあえず次はショッピングモールだ。
『いやだー!うっく、ふぇっく、うっく』
『泣くな!泣いても買わない!早く行くよ!』
はぁー。疲れるなー。どうせまたショッピングモールに行けばまた欲しい物が出てくるんじゃねーのかよ。1つぐらいは買ってもいいのかな?お義母さん!お義母さんは虎のわがままにどこまで付き合ってたんですか?1つぐらいは買ってやってもいいの?俺わかんないよ。もう拗ねちゃってるから靴選んでくれないんじゃねーのか?今1番必要なのは靴だろ。たいして履いてもないのにちっちゃくなってしまってる靴を今日は絶対買ってくれなきゃ困るんですけどね。
『悠!2足ぐらいいるんじゃないの?』
『うん!ハイカットのスニーカーと普通のがいい!このブランドって何センチ?』
『お前が何センチだよ?出してもらえばいいんだよ!』
『俺23センチ!ちょっとでかいけどこれがいい!』
『ちょっとデカイなら22、5なんじゃないのか?』
『ちょうどすぎたらきついからこれでいいよ!』
『じゃあそれにしてください。龍!虎!これの色違いにしようか?軽いし走りやすそうだよ!履いてみて!』
『紐できないよー!』
『あーそうだよな。じゃあこっちは?虎はどれがいいの?』
お前らに紐なんか結べるわけないですよね。
『いやー!』
『いやじゃない!靴がなかったら外に出れないよ!早く選んで!どれがいいの?虎!本当に怒るぞ!靴買いに来たんだよ!もう帰ったらお仕置きするからな!』
ほら。もう靴なんか興味ねーんだろ。お前が自分で選びたいって言ったんですけどね。あーダメだ。尻叩くしかないな。
『いやだー!痛い!うわあーん、っく、うっく、うえーん!ふぇっく、うっく』
『まだズボンの上からなんだからたいして痛くないだろ!帰ったらもっとお尻痛いんだぞ!いいの?』
1発とは言え手加減なしだからね。
『っく、いやー!っく、うわぁーん!』
『うるさい!じゃあ早く選びなさい!』
靴がなきゃ困るじゃねーか!
『僕はこれがいい!』
『虎は?龍と同じのでいいの?どうするの?』
『っく、うっく、こ、これ!っく、うっく』
『これ?ちょっと履いてごらん?きつくない?いいの?』
『っく、うっく、うん!っく』
『よしじゃあこれにしよう!虎!もう泣かないの!おいで!抱っこしてあげるから!悠!龍を連れてちゃんとついてきてよ!』
『っく、うっく、ガチャしたい!っく、うっく、っく』
『はぁー。もう1回だけだよ!わかった?欲しいの出なくても1回しかダメだからね!』
『っく、うん!』
結局ショッピングモール内で夕飯を食わす為に上がった所にもガチャがあり2回やらせる事になった。もちろん龍もだけど。悠は興味を示さなかったが漫画を1冊買わされた。ついでだからと悠の誕生日プレゼントを買おうとテレビゲーム機の本体とソフト2つをプレゼントとして選びそれを見ている龍と虎が黙っているはずもなく2人にもテレビゲーム用のソフトを1つずつ買ってしまった。でもプレゼントなので誕生日まではお預けだけどな。時間を作るのが大変だと思いいっぺんに買い物を済まそうと手抜きをした俺が悪いんだろう。おもちゃ屋に行けばそりゃ欲しがりますよね。俺はやっぱり甘いのかな。とりあえず買い物するだけでも大変だ。