この世界、やけに死亡フラグが多くない?
俺は転生した。
世界観はザ・スチームパンク。
蒸気銃やらが発展していてもの凄くカッコいい。機械マニアとしてはそそられる。
「……俺、祖国に帰ったら結婚するんだ」
パァーン!
「いいじゃん。俺、まだ生まれた子供の顔を見てないんだ」
パァーン!
「ほら、見てくれよ! 家族の写真!」
パァーン!
「さっきから、銃声聞こえない?」
「問題ない。気のせいだ」
パァーン!
「大丈夫だ。肩先をかすめただけだ」
パァーン!
「大丈夫だよ。敵はあの弱小国家だよ?」
パァーン!
これが日常茶飯事だ。
誰かが何か死亡フラグを立てるたびに、誰かが死ぬ。俺以外の。
これまでで見たことがある面白いのを挙げるとすると、
「そういえば、爺さん、この戦地で定年でしたよね?」って聞いたはなから爺さんが死んだり、
「頭を下げろ、そしたら生き残れる」ってアドバイスしてる人とか、
「……やったか!?」って、顔上げたり、
「砲撃がやんだぞ!」と言って塹壕から顔出したり、
うん。この世界、死亡フラグを多すぎない!?
そんな世界で俺は志願兵をやっている。
常に最前線地を盥回しにされ、俺の周りの人々は(死亡フラグを連呼して)次々と死んでいく。そんな課で生き残り、ついた異名は『不死身』。
「おい、ちょっと来い」
隊長に呼び出された。
「戦争が終わったら伝えようと――――」
隊長が狙撃された。
すごい。フラグ回収まで一秒なかったよ。
もう少し早く伝えておいてくれよ……。
「何だ何だ!?」
銃声を聞いた他の奴が走ってきた。
「まさか、お前が殺ったのか!?」
確かに、状況を見ればそうだ。
残されたのは小銃を持ってる俺と銃で撃ち抜かれた隊長。
「貴様ぁ! この最新鋭の三十六ミリ式銃の――――」
死んだ。
隊長と同じくフラグ回収までのカウントダウンが容易だったよ。
自分の持っている装備を自慢すると死ぬのはベタすぎでしょ。
「貴様、何をやっている!? 持ち場に戻れ!」
呼び戻された。
「今日は簡単な作戦だ。第八小隊が左から回って、囮となれ。その間に第六分隊が総攻撃をかける!」
成程。第六分隊の持ち場は集団自殺会場ってことか。
絶対合流できないやつじゃん……。
「敵の攻撃は軽微だ! どんどんのぼ――――」
何か、声張った奴が撃ち抜かれた。
「敵は疲弊してい――――!」
残念。俺たちも疲弊してまーす!
「こんな攻撃、俺の計算にはなか――――!」
メガネ君、死亡を確認。
上記三人含めて、死亡フラグは最後まで言わせてやろうぜ。せめて。
「おいおい……。嘘だろ……嘘だろ……。俺はこんなところで死ぬわけには――――!」
フラグ立てから五秒足らずでの死亡。
俺はスナイドル銃を構えて前進。
「けッ、馬鹿な奴め。この一度も撃たれた事のない鋼の肉体を持つ俺を殺そうとは、いい度胸じゃね――――」
注釈:このフラグは敵にも通用します。
上っていた崖を制圧して、俺の部隊が丘を駆け上がった。
「何人死んだ?」
パァーン!
「十五人だ……。思ったより少ないな」
パァーン!
「……だが、俺たちは生き残った! 祝杯だ!」
祝杯(水)が地面に転がり、血液と混ざった。
「にしても、明後日退役なのに、なんでこんなに面倒くさい任務を――――」
退役ネタ二周目。
「おいおい、見ろよ! これ、あの新式の試作蒸気戦車じゃねぇか!」
「あー、あの?」
「そうそう。ちょっと乗ってみようぜ?」
そう言って、二人くらいの兵士が、鹵獲した戦車に乗り込んだ。
『蒸気圧が高いな』
『問題ない。少し高いだけだ』
戦車が爆発した。
多分、絶対、大丈夫じゃない数値を『大丈夫だ』って言っちゃったんだろうな。
だが、なにはともあれ、この丘は制圧した。
俺たちの勝ちだ!
どこかで誰かが死んだ音がした。
おそらくは俺の発言の所為で。
「いい戦いだったな。君、名前は?」
「レイ・アルスター」
「へー、今日はいい指揮だったよ。君の隊だけでこの丘の大部分が制圧された。君とは国に帰ったら酒を酌み交わし――――」
今で良かっただろ……。何で国に帰る必要性があったんだろ。
「次の作戦は、あの東の敵陣地を落とす作戦だ! 今回は最新鋭の蒸気戦車を投入している。レイの率いる第二分隊はこれで攻撃をかけろ!」
成程。俺に死ねというんだな?
前の隊長が死んで部隊を引き継いだはいいけど、死にたくはないよ?
鮮血が舞った。
あ、フラグ踏んだ~。




