とある死神の長期休暇__StillStay&SketchScraps Another Wonder
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「白き死神、ユアナよ……」
「急に呼び出してなんスか」
「そなたに『強制休暇』を与える」
時は天界、の最上層。天神の常駐する神殿にて、"白"の死神であるユアナは緊急の呼び出しを食らっていた。
「この間の冥界の大規模異変の解決、大変ご苦労であった」
「いや、まァ……あれは流石に死神長と俺等が出ないとまずかったからですし」
「よって、主力となって解決に励んだ4柱に休暇を与える」
霊界にも休暇制度とかあるんだっていうコメントは置いておいて、呼び出しはどうやら懲罰ではなく称賛のためだったらしい。
「にしてもなんで強制なんですか」
「じゃないと彼の黒と赫は休まないから……」
社畜というものは時に困ったものだが、どうやらそれは霊界においても同じらしい。さすがの最高神も顔がシワシワになる(ネットミーム)ほどに苦労しているようだ。
「一応同時に休むと支障が出るだろうから休暇の時期はずらしている、他の者へも追って伝えよう」
天神が指をぱちんと鳴らすと、ユアナの手元に指令書が舞い降りた。
「ただの休暇だと味気ないだろうから、行き先を手配しておいた。そこで普段の業務から解放されるとよい」
指令書には、ひとつ行き先であろう文章が記されていた。どうやら、物理界___現世のようである。
「現世って……人間になってこいってことですか?」
「そうだ、神格になってから永いだろうからの。不自由ないようにしておけば十分気晴らしになるだろう」
いつの間にか、持ち物が増えていた。今持ってきていたのは仕事道具だけだったはずが、知らない鞄が肩から下げられている。
指令書をよく見たら注釈に「名乗る名は『未門 柚希』とする」と書かれていた。覚えていないが、人間だった頃の名前とは間違いなく違うだろう名前。ただ、ネーミングに既視感がある。
「この『未門 柚希』ってなんですか」
「それはな……」
時を遡って、いつかの昼下がり(霊界時間)。休憩に来ていたユアナの同僚ナノハが天神と昼食を取っている頃。
「今度彼の白に休暇で物理界へ行かせようと思うのだが、仮名をどうするか考えていてな」
「日本名ですよね?じゃあ、『柚希』はどうですか?ユアナ、柚子好きって言ってたし」
「なるほど」
「苗字は~……適当に『みかど』でいいんじゃないですか?」
「……ということだ」
「あいつ、いつの間に……」
少なくとも、死神が物理界へ仕事以外で行くにあたって心配な点が一つ消えた。戸籍だとか面倒なシステムはおそらく神パワーで一時的にどうにかするのだろう、きっと。
「ということで、次の開始時間から休暇とする。しっかり休むように」
こうして、白の死神ユアナの、長くて短い長期休暇が始まった。




