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魔女×魔法少女×少女  作者: ヤマネコ
清水社巫女編(1)
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清水社巫女 (前編)

女子A「あんた見ているとムカつくのよ」


女子B「あなたなんで存在しているの? 目障りだから早く消えてくれない?」


女子C「あは、それは言いすぎだよ。それやったら私たちの財布が無くなるじゃん」


女子D「そうだよ、こんな都合の良い財布をわざわざ捨てるなんてもったいないよ。清水も私達に相手してもらえてうれしいでしょ?」


社巫女「…」


1人の少女が4人の少女に囲まれている。1人の少女は自分を囲んでいる背の高い少女達に囲まれて蹴られ、石を投げられている。少女の胸には小さな黒猫のぬいぐるみが抱かれていて、その黒猫に助けを求めるように強く抱きしめている。4人の言葉を聞くたびにビクッと震えて、その震える様子を見て4人はゲラゲラと笑っている。


女子A「ねぇ、社巫女~。無視は酷いよね?」


1人の女子が社巫女の髪の毛を思いっきり掴んで、顔を無理やり上に向かせる。他の女子が近くにいた芋虫を社巫女の顔に乗せようとしてきたのが見えて


社巫女「や、やめて!」


女子B「あはは」


上で掴まれていた手を離され芋虫が社巫女の額に落ちる。


社巫女「い、いやぁぁあ!」


女子C「あーもう、うるさいよ」


1人の女子が近くに置いていた生ゴミを社巫女の口いっぱいに放り込んで口を塞ぐ。


社巫女「…っ…っ」


涙目になりながら、助けを求めていると遠くから声が聞こえた。


???「やめなさいよ、そんなみっともないこと」


女子4人が社巫女から手を離してその1人の女子と対峙する。


???「なさけないわね~。数で囲まなきゃまともに人と話せないの?」


女子C「何よあなた? 私たちは友達よ? ねぇ、そうだよね社巫女?」


社巫女「ゲホ…ゲホ…おぇ」


口に放り込まれた生ごみの匂いで気持ち悪くなり、顔を振り回して鼻付近についていた芋虫を振り落とす。胃から何かが這い上がってくるのを感じて抑えようとするが、気持ち悪さに我慢できず口から汚物をまき散らしてしまう。


女子D「うわ、きたな」


女子B「吐くなよ~」


1人の女子が餌付いている社巫女の顔を蹴り飛ばす。


社巫女「がはっ」


蹴られて鼻から地面に倒れてしまう。4人は迷惑そうな顔をしながら


女子A「ちょっと、あんたが蹴ったせいでゲロが私の服に付いたじゃない」


女子C「あはは、受ける」


女子A「ちょっと社巫女。クリーニング代出しなさいよ」


社巫女の顔を思いっきり踏みつけた。それを見ていた知らない女子が


???「…あなたたちクズね。やっぱりブスは可愛い子を見るとクズになるのは本当なのね」


女子B「あ?」


女子D「なんか言った?」


女子A「あんた黙って聞いていれば何様?」


???「ちょっと、クズが話しかけないでくれる。クズ菌に犯されるから」


女子C「…お前、調子の乗るなよ。おい」


1人の女子が3人に顎を使うと、3人は何やら機械を取り出して何かをした後にへらへらし始める。社巫女は痛む箇所を手で押さえながら女子1人を見ると、社巫女を見て微笑んでいる。


女子B「うん、もう呼んだよ」


女子D「あーあ、怒らせちゃった~」


女子A「あはは、今度の犠牲者はお前だな」


???「何笑っているの?」


女子B「それはもう少しのお楽しみ…ってあれ。もう来たんだ早いね」


社巫女を庇っている女子の後ろから柄の悪そうな男子がランドセルを背負っていて、手には鉄パイプや野球バッドを持っていて、10人以上はいる。全員下品な笑いをしていて1人の女子を囲んでいる。


その子はとても呆れたため息をつくと、野郎どもは煽られたと思ったようで持っている武器を振り回して威嚇している。社巫女をいじめていた4人もゲラゲラと笑っている。この状況、誰が見てもあの子が勝てる見込みはないと思うだろう。実際素人が10人以上と戦う場合、戦闘の経験者でも厳しい戦いになる可能性は高い。社巫女も心配していたが、下手に声を出すとまた自分も攻撃される恐れがあるから黙っていた。


???「やれやれ…私は止めたからね」


男たちが女子1人に殴りかかる。予想される光景を見たくないため、社巫女は目を閉じる。しかしいつまで経っても、鈍器で殴られた鈍い音は聞こえず、少女の苦しむような声も聞こえない。それどころから自分の周りにいたこの4人の少女が驚きの声を上げている。


少女A「なにあれ」


少女B「お、おい。何している!? 早くやりなさい」


少女C「遊んでいるんじゃねーよ」


少女D「は、はやくそいつを殺しなさい!」


閉じていた目を開けるとそこには異様な光景が広がっていた。なんと少女を襲おうとしていた男子たちは時が止まったように、動きが停止している。だるまさんが転んだでもあそこまで固まることはない…。少女を見ると、その子は社巫女を見て「大丈夫だよ」と伝えるように微笑む。そして次の瞬間、止まっていた男達が動き出す。動き出した方向は社巫女のいる方向だ。


女子A「え」


女子B「おい馬鹿、こっちじゃないわよ」


女子C「ちょ、ちょっと」


女子D「なんでこっちくるの!?」


男達は社巫女を囲んでいた女子4人を襲い始める。社巫女の所から遠ざけて、何人かでそれぞれ1人ずつ抑えて拘束した。そして男子たちは女子4人を拘束したまま、また時が止まったように動かなくなる。


???「さてと、あなた」


社巫女「……え、わたし?」


???「そうそう、あなた。大丈夫?」


少女は社巫女に近寄り、しゃがみ込んで視線を合わせる。優しい目だった。


社巫女「あの…あなたは…」


???「私はただの通りすがりの一般人よ」


社巫女「…え」


???「別に名乗るようなことはしていないしね」


少女が指をぱちんと鳴らすと、男子たちは再び動き出して女子4人を拘束したまま人気のない山に入っていった。女子4人が悲鳴を上げているが、抵抗できずにつれていかれていく。


社巫女「あの…一体何を」


???「とりあえず顔と口を洗ってきなさい。家はどこかしら?」


社巫女「あっちです」


自分の家がある方向を指さす。


???「そう、もう1人で帰れるかしら」


社巫女「えっと…はい」


???「そう。じゃあここでお別れね。さようなら」


少女は社巫女に背を見せて歩き出し、ずっと見ていると少女はいなくなっていた。


社巫女「あれ…」


さっきまで向こうを歩いていたのに…瞬きをした瞬間にいなくなっていた。少女が歩いていたところには建物があるので、曲がって建物の裏に向かって歩き出したのかもしれない。



社巫女「誰か分からないけど…助かった」


少女4人がどうなったのか気になったが、もう関わりたくないと思い家に帰ることにした。一体彼女は誰だったのだろうか…。


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