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死人(sibito)  作者: 山田健一郎
9/10

死人

金城さんは俺に近づくと優しく話しかけてきた。

「いやー危ないとこだったよ。今日見えない何かがあんたに話しかけてきただろ?あれ、あんたを連れて行こうとして声をかけてきたんだよ。クロに見張らせておいてよかった。」

俺は金城さんが何を言ってるのか理解できなかった。

(何を言ってるんだこの人は・・・あの手に持っている奇怪な恐ろしい物はなんだ?)


「あんたが今寝ている場所は霊の通り道でね。

今から儀式をするからね。そのためにあんたをこの島に呼び寄せたんだからね。

いやー逃げられなくてよかったよー。ヨウコも悦んでいるよ。」

そう言って金城さんは両手の上の不気味な何かの頭を撫でた。


金城さんが近づいて来た。俺のすぐ横にしゃがみ込んだ。

そして俺の胸の上に恐ろしい化け物を置いた。

そのとたん俺の体温が急激に下がった。

まるでマイナス20度の冷凍庫に放り込まれたように身体が震え出した。

死の直前の痙攣・・・俺の体の中に何かが入って来た。

複数の霊が体の中に入って来る・・・・・

次から次へといろいろな感情と映像が頭に流れ込んで来る。

赤いワンピースを着た長い髪の美しい女性が海に入り死んだ。

とても強い感情、悲しい、くるしい、辛い、許さない!

炭坑から逃げ出し連れ戻されリンチされて殺された男。

目がない。真っ黒な穴。

(ゴガガごぐぐぐ 頭の中を音が意識が映像が感情が・・・・・)


気がつくと俺は白く光り輝く球体の中にいた。

まるで太陽の様な強い光の意識の集合体のようなもの。

音は無い。自分の名前も記憶も全部無くなった。すべての感覚が無くなり時間も止まった。

いや1秒も100年も同じになった。

悲しみも苦しみも無く喜びも楽しみも無い。

何も考える事も出来なくなった。

植物になったみたいだ。

ただ自分の魂だけが存在する。

ここは死んだ者がたどり着く魂の源だ。

どれくらい時間が経ったのだろうか?10時間?100年?1秒?


しばらくするとだんだん意識がはっきりとしてきた。

ああ不意に俺は思い出した。

 ここは前に来た事がある・・・・・前に死んだ時だ

前に死んだ? 違う俺はだいぶ前から死んでいたんだ。

俺は 死人 だ


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