表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死人(sibito)  作者: 山田健一郎
7/10

朝 日が昇るとまず水汲みに行く。毎日20リットルくんでくる。

そして薪拾い。枯れた木や流木を大量に拾い集める。

そして洗濯だ。沢に行き汚れた衣服を手洗いする。

全部重労働だ!電気水道ガスが使える生活がなつかしい・・・

相変わらず毎日虫と戦っているのが辛い。


1番大変なのは食料の調達だ。

釣りをして、海に潜って竹ヤスで魚とり。岩場に張り付いている貝をナイフで剥ぎ取り、森に入ってキノコやキクラゲなどを採集し、沢でサワガニ、手長海老、タニシなどを捕まえる。


海岸沿いの林の中で暮らし始めて数日がたち、いろいろと慣れて来た頃にあの犬がやって来た。

クロだ。

金城さんの犬だ。

俺がキャンプしているところから金城さんの住みか迄は、だいぶ遠い。

歩いていくと1時間くらいか。

時間は午前6時、こんなに朝早く何しに来たのだろうか?


クロは俺の顔を数秒見つめ、そして直ぐに走り去った。

(あいつは何しにきたんだ?散歩でもしてたのか?)


俺は海岸を歩きながら食料や海からの漂流物を探していた。

ここ西表島は台湾のすぐ近くなので、台湾からいろいろな物が流れて来る。

木材、ドラム缶、家具、日用品、ロープなどだ。

使えそうな物を拾ってリサイクルする。

砂浜から岩場に変わっていく場所にたどり着いてすぐに、

海の中の大きな岩場からふいに俺を呼ぶ声が聞こえた。

「おいっ!!」

俺は驚いてその岩場の方に振り向いた。だが、そこには誰も居なかった・・・

確かに野太い男の声が聞こえた。俺は背筋が冷たくなった気がした。

俺は引き返し一旦キャンプ地に戻った。

とりあえすお湯を沸かし協同売店で買って置いた米でお粥を作って食べた。

(たぶん気のせいだ・・・それとも幻聴?)

気分転換に沢に洗濯しに行く事にした。

洗濯物を持ち沢の方に歩いていくと、いつのまにか隣にクロが歩いてついて来ていた。

「クロ、一緒に行くか?」

クロは俺の顔を数秒見つめ、目を逸らした。

しっぽを振るでもなく、吠えもしない。愛想の無い犬だ。


程なくして沢に着いた俺は洗濯を始めた。

手洗い洗剤無し重労働である。とくにジーパンみたいな固い生地は水を絞るのがとても大変。

クロは俺から5メートル位離れた所で寝そべっていた。

しばらく洗濯物と格闘していると・・・・・「おいっ!!」

頭の上から男の声が聞こえた!!

頭上を見るが何も居ない!

クロが凄まじい形相で激しく吠えだした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ