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死人(sibito)  作者: 山田健一郎
4/10

ナイヌの浜

10分も歩いただろうか・・・・・

北側の砂浜から森の入口の近くで座り込んでいる男が見える。

野草かなにかをむしっているようだ。隣には黒い犬が座っている。

俺は近づいて声をかけた。

「こんにちはー、それは食べられる野草ですか?」

男は立ち上がり振り返った。

老人であった。60代後半といったところか。

俺のことをじっと見ている。

耳が遠いのかと思い、俺はもう1度挨拶をした。

「こんにちは」

老人はようやく口を開いた。

「この草は薬草じゃよ、食べても美味く無い。儀式に使うのじゃ。」

「その格好はキャンプしにきたのかね?」

「あ、はい、しばらくこの辺に滞在しようかなと思っています。」

その老人は俺のことを値踏みするようにジロジロと眺め回すように見ている。

黒犬も俺のことを観察するようにじっと見ている。しかし儀式って何だろう?

後でそれとなく聞いてみよう。

老人はしわくちゃな顔を歪めながら笑っているような感じで喋り出した。

「キャンプするならこの先にいい場所がある。付いてきなさい。」

老人は歩きながら俺に話しかけてきた。

「わしは金城、コイツはクロ」

黒犬だからクロか・・・・・ダルメシアンとなにかの雑種だろうか?

大型犬だがとてもスリムな体形だ。身体の色は黒だが薄く茶色の斑点模様が見える。

目の色が変わっている。赤みがかった茶色だ。始めて見た。

「俺は中山といいます」

「中山さんは今いくつかね?」

「42歳です。」

俺は正直に答えた。

「わしはもうすぐ70じゃ、若い人が羨ましいわい、フェフェフェ」

(金城さんか・・・なんか笑い声がキモチワルイ)


しばらく歩き続けていると砂場から岩場に変わって移動が辛くなっていった。

だが金城さんと黒犬は器用にひょいひょいと岩場を移動して行く。

しばらく岩場を歩き続けて俺の体力もそろそろ限界に近づいた頃、

ようやくまた砂の浜辺が広がり始めた。

俺の心臓はドキドキと強く脈打ちだした。

(ここだ!俺は興奮していた。)

金城さんが俺を見つめながら言った。


「ここはナイヌの浜だ。この場所に滞在するといい。」

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