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死人(sibito)  作者: 山田健一郎
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南の島

俺は夢を見ていた。

ここは多分南の島だ。青い空、コバルトブルーの海。

建物は無く、人影も無い。

どうやら無人島の様だ。

海岸線をしばらく歩いていくと岩場に変わっていった。

岩場を歩き続けていると、どこかの芸術家が作り上げた様なサイケデリックな石畳みたいな岩の連なりに出くわした。

地球上の風景と思えなかった。

規則正しく積み上げれれたサイケデリックな奇妙な岩場。

(ああ、面白い夢だな。)

俺はその美しく玉虫色に輝く岩場を歩き続けた。

しばらく歩き続けていると岩場からまた砂浜に変わった。

海岸の反対側の陸地は、濃い森が広がっていた。

何かの鳥の鳴き声が聞こえる。

ワライカワセミみたいな奇妙な鳴き声。

誰かが笑っているようだ。

ふと海岸線の先を見ると100メートルくらい先に人の姿が見える。

赤いワンピースを身につけた髪の長い女性だ。

20代くらいだろうか?

その女性は波打ち際に立って海を見つめていた。

そしてふらふらと海に向かって歩き出した。

スカートが波に濡れるのも気に留める様子もなく沖に向かって歩いて行く。

波が腰の辺りに来はじめた時、不意に俺の方を見た。

唇が動いた。

「来て」


俺はそこで目を醒ました。

肺がゴフュッと音を立てて空気を吸い込んだ。

肺と心臓が動き出した。

激しく咳き込みながら床の上を転げ回った。

心臓が速く遅く、大きく小さく、不規則に脈打ってる。

俺はまた意識を失った。


次の日目を覚ました俺は安堵した。

もう二度と目が覚めないかと思っていたからだ。

のろのろと身体を起こしパソコンの置いてあるデスクの前の椅子に腰を下ろした。

パソコンの電源を入れ画像検索で南の島の海の写真を見た。何時間も見た。

俺には確信に似た思いがあった。

あの島は実在すると。


俺は夢で見たあの景色を必死で探した。なぜか分からないが早く見つけなくてはという焦燥感に駆られていた。

そして数時間後、俺は見つけた。

そこは西表島だった。


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